「パチプロ」に見る「全体最適」と「ポートフォリオ」。

昨日は、妻が大学院時代の研究室の会合があるとのことで、僕が保育園に迎えに行った。

ここ最近の我が子は、ひと頃は長蛇の列だった「キムカツ(ミルフィーユ状態のカツが人気!)」がお気に入りで、今日も「柚胡椒」風味のカツ(テイクアウト)を買いに行った。

その後は、ナチュラルソーロンと隣の総菜屋でいつものセット(ネギトロ巻きとお惣菜)を買い帰宅。

食事をして、歯磨きをして、お風呂に入れて・・・としていると、もう21時。

保育園のお迎え当番の日は慌ただしい。

ところで、昨日は、知り合いのベンチャー企業A社のBさんところに、僕の投資先のメンバーを連れて行った。

一時間半ほど質疑応答をさせていただいたが、その中でBさんが言ったひと言が、とても印象的だった。

「ベンチャー企業は、色々なことにチャレンジするのが仕事なわけで、失敗をするのは当たり前。でも、ポイントは、何が失敗の原因だったのか?きちんと『反省』すること。そうでないと、同じ轍を踏んでしまいます」。

好奇心が旺盛で優秀な人ほど色々なことに挑戦するし、失敗も多いのは、ドラッカーも指摘しているとおり。

でも、きちんと「反省」をし、そこから、次に繋げる何かを学べるか?が、その会社の正否を分ける。

法政大学経営大学院(MBA)でお世話になっている小川教授に、ある学生のことを「彼は、優秀ですよね」と言ったところ、「(優秀)だからこそ、失うものもあるよね」という返答をさらっと頂戴し、なるほどな・・・と思ったことがある。

なまじっか優秀だと、あるいは、中途半端な失敗だと、なぜ、失敗したのか?その「本質」を「とことん追求しよう」という姿勢が薄れがちなところがあるように思う。

僕自身の経験で言えば、ドリームビジョンで大失敗をしでかし失意のどん底に陥った時は、さすがに「反省」をしたが、僕を含めて並の人間は「痛い思い(必要に迫られる)」をしないと、自分自身を深く見つめること(ミンツバーグの言葉でいう「内省」)をしないのだろう。

当たり前のことを当たり前にできるかが、勝負の分かれ道ということだ。自分自身に言い聞かせよう。

ところで、Bさんは、大学には行っておらず、高校卒業後、一時期は「パチプロ」で食べていた。

当時のBさんは、ブログには書けない「額」を稼いでおり、僕が「どうやって、常勝を実現していたのか?」と質問したことがある。

その答えを聞き、並の戦略系コンサルティングファームの人達では勝てないだろう!というぐらい、非常に「ストラテジック(戦略的)」に考えて行動していたことを知り、衝撃を受けた。

同じレベルの人達(パチプロ)とチームを組み、どういう台が玉が出て、どういう台は出ないか?また、状況(何曜日だとか)による違いがあるのか?を徹底的に研究したという。

また、その「研究結果(つまりは「理論」)」をもとに、チームで「台」を「分担」し、成果はみんなで「山分け」する。

そうすることで、お互いのリスクをヘッジし、「全体最適」を実現していたわけだ。

いわゆる「ポートフォリオ」の概念であり、投資の「基本哲学」である。

その後、彼は、ある一部上場企業に就職し、営業職として頭角を現したそうだが、「学歴が無かったので、実力で勝負するしかなかったんです。とにかく、徹底的に『自分の頭』で考えるようにしていました」という。

もうひとつ、印象に残ったことがある。

それは、何がこのチームの「求心力」なのか?に関する質問をしていたこと。

彼は、何が物事の成否を分けるのか?の「本質」を理解しているように思う。

僕自身が、とても勉強になった一時間半だった。

「爆笑」を売る法則。

「爆笑問題」太田光さんの所属プロダクションの社長であり妻でもある、太田光代さんに関する番組を見た。それも、二晩連続で。

たまたまテレビをつけると、二日とも、その番組の放映時間だった。

光代さんは20代の頃、ご自身も芸人をしており、また、女優を目指していたそうだが、ある時、「爆笑問題」を売るにはこのタイミングしかないと思い、また、売れるのは「自分しかいない」と思い、自分の夢を捨てて、芸能事務所を立ち上げたそうだ。

顔立ち、表情、話の内容から伝わってくる考え方。

どれをとっても、経営者として才能豊かな人だということが分かる。

「売り難い人ほど、売れる」。

彼女が言っていた言葉である。

つまり、個性が強いことが固定ファンをつくるし、固定ファン(万人を相手にしてはいけない)をつくるには、強い個性が必要ということだ。

行動に移すのは簡単じゃないけど、人に嫌われたり、不要なものを捨てることができない人は「ブレイクしない」。

ドラッガーは「事業の定義」は必ず「陳腐化する」と言っていたが、「自分の定義」つまり「アイデンティティ」や「ポジショニング」も再考する必要があるということかもしれない。

「経営判断」と「顧客満足」。

昨日は、甥の結婚式で上京してきていた母親を迎えに行き、末弟家族も合流し、白金台の「八芳園」で昼食を食べた。

この暑さは「想定の範囲外」だっただろうが、何組ものカップルが挙式をしていたようで、都心とは思えない「素晴らしい庭園」には、入れ替わり立ち替わり、新郎新婦と親族の姿が見られた。

その素晴らしい庭園を見下ろせる日本食レストランで食事をするはずだったのだが、僕たち「8人」の予約が入っていない・・・という、お店側の手違いがあった。

代替案として、洋食のレストランに席を確保していただいたが、それなら、隣のRadison都ホテルの日本食レストランに行った方がいいと思い、お店の方に確認してもらったところ、生憎、満席。

どうしたものか・・・と思案していたら、支配人の方が、ブログにその内容を書くのは憚られるほど、とても粋な計らいをして下さった。

結果的には、素晴らしい庭園も満喫でき、美味しい食事も堪能することができた。

母は、あまりに申し訳なく思ったようで、我々のお土産に持ってきていたお菓子を、支配人の方に渡していた。

僕の妻は、八芳園から程ない高輪台で生まれ育ったこともあり、そのレストランには幾度となく来ており、僕も、どうせ食事をするなら素晴らしい庭園が堪能できた方がよいということで、久しぶりに誰かと会う時や法事の後などに、しばしば利用させていただいている。

僕たちの様子や会話から、そのことを察し、リピート顧客を失ってはいけないという経営判断だったのだと思うが、人間は、自分の想定(期待値)を上回る対応(サプライズ)によって、相手に対する信頼や好感度を強固なものにしていくのだろう。

ところで、その支配人の方と末弟の会話を聞いていて知ったことだが、八芳園は、明治の末期には「渋沢喜作」が所有し、第一次大戦後、一躍、新興財閥に仲間入りした日立製作所の創業者「久原房之助」が購入し、現在に至っているらしい。

詳しくは、ウェブサイトの「八芳園の歴史」を参照されたし。

さて、大きなミスを禍根として残してしまうか(リピート顧客を失うか)、こうして、頼まれたわけでもないのにブログで紹介することになるか(さらにファンにしてしまうか)、経営判断とはそういうことなのだろう。

とても勉強になった昼食だった。

後継者の条件。

久しぶりに、MacBook Pro 13インチで、恐る恐るアメブロの管理画面を開いてみたところ、フリーズせずに済んだ。

どうやらバグが解消されたらしい!!

実は、あるときから(たぶん、OSをVer.upしてから)、MacBook Pro でアメブロの管理画面を開くと、ピグのフラッシュか何かがあたっていたらしく、必ず、フリーズしていた。

それで、2006年式MacBook Pro 15インチでブログを書いていた。

何とも不便というか涙ぐましい努力をしていたわけである。

まあ、とにかく、本当にバグが解消されたのであれば、いちいち13インチと15インチを交換せず、ブログを書けるのはありがたい(本来は当然のこと)ことだ。

さて、今日のトピックスは、ソフトバンク「孫さんの後継者」問題か?
それとも、何十年かぶりに購入した「扇風機」?

まあ、書こうと思った順番どおり、孫さんの「後継者」問題にしよう。

僕は以前にも、孫さんの後継者に関するエントリーを書いたことがあるが、誰がやっても、うまく行くことはないと思う。

あれだけの創業者の後を継げる人なんて、いるはずがない。

その孫さんの「後継者選び」について、僕がお世話になっている法政大学経営大学院(ビジネススクール)の小川教授がご自身のブログに書かれている。

後継者の「選び方が間違っている」ということだ。

「ストックオプションを100億円ぐらいは渡したい」という孫さんの発言を、

「記事が正しいとすると、この中には、社会に対する貢献や、経営者としての資質に何の注釈もついていない。マネー(金)だけの評価の世界である。そんな人間に後継を託す人の気持ちが、わたしにはわからない。能力が高くても、募集には人格高潔で立派な人間は集まらないだろう。

成功した経営者こそ、社会性をもった新しい価値や、ひとびとの幸せに貢献するイノベーションを提供しなければならない。金銭的なモチベーションだけでは、大きな会社を後継できるものではない。それほど、世の中は甘くない」

と評している。

小川先生が批判していたスティーブ・ジョブスやYahoo!(ジェリー・ヤンのことか?)にしても、あるいは、Googleのラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンにしても、おカネだけがモチベーションではないのは間違いない。

自分の価値観や理念、ビジョンを世に問い、それを証明し、その結果としての富と名声を得たいのだろう。

10年それとも20年後、いずれにしても、歴史が証明してくれる。

追伸:孫さんにはとても期待している。

「数字」で見る「SAMSUNG(サムスン)」の強さ。

昨日のエントリーの「データ編」として、SAMSUNG(サムスン)とソニー、パナソニックの経営数値(出典:週間ダイヤモンド)を掲載しておこう。

1. 売上高(サムスン:2009.12期、ソニー、パナソニック:2010.03期、1ウォン=0.08円換算):

サムスン:  109,032億円
ソニー :  73,000億円
パナソニック:73,500億円

2. 営業利益(サムスン:2009.12期、ソニー、パナソニック:2010.03期見通し、1ウォン=0.08円換算):

サムスン:  8,736億円
ソニー :  -300億円
パナソニック:1,500億円

3. 時価総額(メリルリンチ証券:日時は不明):

サムスン:  1,011億ドル
ソニー :   288億ドル
パナソニック: 295億ドル

4. ブランド評価(Interbrand、10億ドル):

サムスン:   17.5
ソニー :   12.0
パナソニック: 4.2

5. 薄型テレビのシェア(2009年1~9月、金額ベース、米ディスプレイサーチ):

サムスン:   23.0%
ソニー :   12.6%
パナソニック: 8.5%

6. 米国特許登録件数(2009年、米IFI CLAIMS特許サービス):

サムスン:   3,611
ソニー :   1,680
パナソニック: 1,829

上記以外にもあるが、とにかく、サムスンの成績が断トツである。

諸事情により「日本市場」では「サムスン」は殆ど販売されていないため、僕も一昨年、ロシアに行った時に、至るところに「サムスン」があるのを知って驚いた。

「ガラパゴス化」している「日本市場」だけを見ていては、世界の現実は見えて来ない、ということだ。

久しぶりに会った彼は、経営者の顔になっていた。

今日は、ある人と会うために、久しぶりに渋谷マークシティに出掛けた。

彼は以前、ある未公開のベンチャー企業で営業責任者(だったと思う)をされていたが、1年半ぐらい前に、新興市場に上場するベンチャー企業の子会社の社長に就任された。

久しぶりに会った彼は、経営者の顔になっていた。

以前の会社で現場で働いていた時は、自分が事業を創っているという自負があったらしいが、経営者になってみて、今まで見えなかったものが見えたらしい。

以前は、調整というとAとBをどうするか?だったが、経営者になった今は、調整すべき要素がAからZまであるという。

そうなると、すべてを満足させることはできず、自ずと意思決定の「軸(判断基準)」が必要になる。

当然、嫌な思いもすることになる。

横から見ているのとは違って、自分でやってみて初めて見えることがある。

着実に成長の階段を登っている彼を見て、僕も頑張らなければと思った。

次回は、僕のベンチャー仲間でもある彼の元上司(彼の古巣の創業者)も誘って、3人で会いたいと思う。

「社員5人以下、年商3億円以下の会社に限定しています」。

今日は法政ビジネススクール(イノマネ)での授業の後、僕たちのような「外部」の教職員に対するオリエンテーションと専任の教職員の方々との懇親会があった。

その席で分かったことだが、ある教授とは以前に面識があり、尚かつ、共通の知り合いがいた。

共通の知り合いとは、僕の旧知の友人で、シリコンバレーに渡り、ip infusion という会社を立ち上げ、数年前にアクセスに売却した吉川さん(そういえば、彼も法政出身だ!)という方だが、その教授は以前、独立系ベンチャーキャピタルの経営に参加しており、ip infusion に投資していたという。

世の中は狭いということを実感した。

そのような実務経験のある教授陣を揃えているイノマネは、とても風通しがよいビジネススクールである。

学生の方にとっても、大きなベネフィットだと思う。

話は変わるが、先月の最終土曜日(5/29)、Klab株式会社という、ケイタイ関連を中心としたアプケーション開発会社が主催する、ゴルフコンペに参加させていただいた。

そのコンペ、そもそもは女性ベンチャー経営者の集まりとして企画されたらしいが、結果的には男女混合チーム計5組の賑やかなコンペとなった。

そのコンペで一緒の組でラウンドさせていただいた、アップウェブというウェブの企画製作会社を経営する藤田さんという女性の話が印象的だった。

「社員5人以下、年商3億円以下の会社に限定しています」。

彼女はそう言っていた。

特にベンチャー企業の場合、通常の感覚では、社会的信用を獲得したいという思いから、ついつい大企業というか有名企業を顧客にしたがるものだが、彼女は自社の経営資源や体力を考えて、冷徹な判断をしている。

つまり、自分達が「競争優位性」を持てる「顧客」に特化し、それが発揮できない顧客は「捨てる」ということだ。

ドラッガーのいう「劣後順位」である。

八方美人では、ビジネスはできない。

頭では分かっていても、なかなかできることではない。