「想い」は「数字」があって「初めて具現化する」。

先日のエントリーで、今のところ、暑い夏を楽しんでいると書いたが、昨日から少々熱っぽい。

精神的には夏バテしていないつもりだが、身体は疲れているのだろう。

ところで、4月からお世話になっている法政イノマネのメインカリキュラムと言ってもよい「プロジェクト(事業計画立案)」なる取り組みの「中間発表」が、この月末月初に行われる。

一人当たりの持ち時間は、発表25分、質疑応答20分。

その準備に、学生の皆さんは、一生懸命に取り組んでいる。

昨日も「プロジェクト」の授業(ゼミ形式での指導・議論)があったが、それを通じて僕自身が学ばせてもらっていることを書いておこう。

何か事業を興そうと思うのであれば、その根源となる「想い」が必要なのは言うまでもないが、想いだけでは事が前に進まず、大切なことは「数字(売上・コスト・利益・客数・単価等)」と、その根拠である。

その緻密さが、勝敗を分けると言って間違いない。

今までの自分を振り返ってみると、そこが甘かったと素直に認めざるを得ない。

それでも何とかやって来れたのは、平均以上の「幸運」に恵まれたからに他ならない。

もうひとつ大切なことは、経営チームをどう創るか?(創れるか?)である。

2008年度の下半期に、法政のもうひとつのビジネススクールでご一緒させていただいた田路先生の著書に、「経営チームの大きさと成長性の高さには相関がある」ということが書いてある。

また、前刀さん(元アップル日本代表、元祖ライブドア創業者)から「経営チームを創れるかだよ」というアドバイスを幾度となく頂いていたが、それは本当にそうだと思う。

インタースコープの頃は、様々な問題があったにしても、山川さんと僕を中心とし、他の創業メンバーを含めて、事実上、5人で創業している。

それと比較すると、ドリームビジョンの場合、事実上、僕ひとりで経営してきており、その違いが如実に結果に表れたと思っている。

さらに、もうひとつ重要なことは、経営チームで「カルチャー」が共有されていること、具体的には「同じ組織で働いた経験」を持つメンバーで経営チームを構成すると、コミュニケーションが円滑になり、意思決定がスムーズに行われるということ。

因みに、インタースコープの時は、この点に難があった。

こうして文字にすると当たり前のことだが、その当たり前のことを「実現」するのは、容易ではない。

リクルート出身の人達が創った会社は成功することが多い(少なくとも僕の周囲では)のは、上記の2点を満たしやすいからだろう。

では、どうすれば、上記の2点を満たした「経営チーム」が創れるか?であるが、それは「起業家」自身の人間的魅力や器が重要のは間違いないが、もうひとつ、成し遂げようとしている「テーマ」の社会的影響力(の大きさ)が大きいと思う。

その事業が成功した時、社会にどんな「変革(イノベーション)」をもたらし、社会をどう変えられるのか?ということである。

つまり、個人レベルの欲を超えて、どれだけ社会的なインパクトを考えられるか?だが、それを左右するのは、その人の「原体験」だろう。

僕の身近なところで言えば、インフォプラント創業者の大谷さんプロジェクトニッポン(ドリームゲート)の松谷さんは、成し遂げようとしていることのスケールが大きく、一個人のレベルを超えている。

ソフトバンクの孫さんは、幼少の頃、日本人として認められたいという強烈な動機があったそうだが、それが原動力となり、日本に対する愛情に繋がっていったのだろう。考えさせられる話である。

さて、話が大きくなってきたが、学生の皆さんのプランを伺い、それをブラッシュアップすることをお手伝いさせていただいていることが、ボク自身の学びになっているのは間違いない。

ゼミの運営をご一緒させていただいている小川先生が、学生の皆さんに対して「平石さんをあまり『こきつかわないで』ください」と言って下さっているが、学生の皆さんが僕をこきつかってくれるのは(そうは思っていないのでご安心下さい/笑)、「僕との議論が有益である」という評価だと理解しているので、「扱き使われている」うちが「花(華?)」だと思っている。

また、彼・彼女達との議論を通じて、僕自身がもう一度、何かをやりたいという「想い」を刺激されている。

残りホールが、まだあるうちに・・・。