「ニーチェの言葉」。

今日はこの4月からお世話になりはじめた「法政ビジネススクール(イノマネ)」での3回目の授業。

授業とは言っても、学生の方が今年一年間を通して取り組むテーマに関するプレゼンテーションを聴き、それについて質問やコメントをするというもので、僕が何かをレクチャーするわけではない。

以前にも同様なことを書いたかもしれないが、僕がイノマネでの仕事を始めて実感するのは、ドラッガーの言葉である。

ひとつは、人類史上初めて、「働く人(知識労働者)の寿命」が「組織の寿命」よりも長くなったことで、誰もが「自分を再生」させる必要があるということ。

もうひとつは、高度化・複雑化・肥大化した現代社会においては「投票」と「納税」以外には「社会参加」の機会が得難く、「市民性」が失われ、その結果、新たな形での「社会参加」欲求が生まれること(その受け皿としてNPOが台頭してきている)。

また、上記と同根のこととして、企業で働く上での「モチベーション」が失われ、自分の「存在意義」を確認しようという欲求がNPOやNGOという活動への参加欲求(モチベーション)となることである。

守秘義務の問題があるので具体的なことは書けないが、イノマネの学生の方々の多くは30代~40代だが、中には50代、60代の方もいる。

それぞれの方に共通するのは、自分の人生に正面から向き合い、これからの人生の「視座」を構築しようとされていることである。

今日の授業では、50代の方と60代の方のテーマ発表があったが、元銀行員の60代の方の発表には、大きく心を動かされた。

人間は「教える時に最も学ぶ」というが、育児は「育自」とい言葉同様、学生の方々の自己実現のお手伝いをすることで、僕自身も学んでいきたいと思っている。

ところで、話は変わるが、最近読み始めた「ニーチェの言葉」という本の中に、「好奇心に振り回されない」というタイトルで、とても意味深いことが書いてあった。

「身の周りや世間で起きているいろいろな事柄に、そのつどごとに首を突っ込んでいると、結局は自分が空っぽになってしまう。(中略)好奇心は、自分の能力を発火させるためには大切だが、世界のすべてを見聞きできるほど人生は長くは続かない。若いときに自分が関わる方向を着実に見定め、それに専念していくほうが、ずっと賢く、自分を充実させていくことができる」。

考えさせられる話である。

一昨日のエントリーで書いた「石川遼」君と「イチロー」が小学校6年生の時に、それぞれ「ゴルフ」と「野球」の道で生きていくと決めた話と通ずると思う。

では、何故、彼らは、人生の早い時期に、それも小学校6年生という時期において、自分の「人生」を決めることができたのか?

その原因を知りたい(興味を持った)とも書いたが、ニーチェの言葉を読んで、その理由は、彼らが幼い頃から「自分のアイデンティティ」を確立できたからではないかと思った。

次の質問は、では何故、彼らは幼少期に「自分のアイデンティティ」を確立することができたのか?ということだが、素地があったことに加えて、彼らの両親が、彼らに「自分で物事を考える」ことを促し、彼らの言動を「肯定」してきたからではないかと思う。

自分自身を「否定」され続けてきた人間は、自分を信じること(自信を持つこと)ができなくなり、何かを「捨てて」、何かを「選ぶ」ことができなくなるはずである。

「教育」は、個々人の人生はもちろん、社会全体をも「レバレッジ」する。

さて、話を戻すと、僕自身、人生のパラダイムシフトの最中にいる。

そういう意味では、これ以上ないタイミングで、イノマネでの仕事をさせていただくことになった。

そのことに感謝したい。