「沈まぬ太陽」と「渡辺 謙」。

はやいもので今日から11月。駒沢公園では、落ち葉が風に舞っていた。

ところで、数日前の日経夕刊で、「沈まぬ太陽」主演の渡辺謙氏のインタビュー記事を読んだ。

今、日本中を騒がせているJALをベースとした小説の映画に臨むにあたり、実在の人物をベースとした主人公の恩地が何故、長い間、孤独や疎外感に耐えられたのか?単に強い人間で、強靭な精神力の持ち主なのか?の答えを探るため、クランクインの前に、ひとり、アフリカの地を訪ねたらしい。

そこで、その疑問が解けたという。

アフリカの大地が持っている底抜けの明るさ、陽気さ、すがすがしさ。人が人として生きて行くためのエネルギーを感じることで、組織の不条理に悩む主人公は救われたと感じたそうだ。

「(恩地は)苦しみから目をそらさなかったから、最後にアフリカと出会って、苦しみに静かに寄り添えたんだと」。

このひと言には、自分が演じる「役」の人間性をとことん追求する姿勢に感動を憶えた。

そして、もうひとつ、僕が勇気をもたったひと言がある。

「僕ら俳優なんて、次の仕事が来なくなったら無職。(中略)だから、不安定な仕事に就いている人の気持ちはよくわかる。

(中略)何であの役があいつに行くんだと悔しい思いをしたり。若いときは理不尽なことばかりだった。でも、こんな仕事無駄だと思ったことが、今振り返ると思わぬ鉱脈につながっていた。だから、若い人には歯を食いしばって、まず一つところを掘ってみろと言いたい。

きちんと仕事をしたら必ず自分に戻ってくる。

僕も最近やっとそう思えるようになった」。

今やハリウッドから仕事が来るほどに登り詰めた渡辺謙ほどの人であっても、「最近やっとそう思えるようになった」というひと言に、とても勇気づけられた。

人生は、まだまだこれから。