泉岳寺

何年ぶりだろうか? 本当に久しぶりに「泉岳寺」の駅に降り立った。昨日の午前中のことだ。

車の法定点検を依頼したディーラーが、たまたま泉岳寺の近くだった。

「泉岳寺」には、1998年から1999年にかけて、多い時には毎日のように通っていた。2000年に一緒にインタースコープを創業した山川さんが当時、エムアンドシーという小さな会社を経営しており、オフィスが泉岳寺にあった。

駅はだいぶキレイになっていたが、すぐ横のそば屋は今もあり、周辺の景色は変わっていなかった。エムアンドシーのオフィスが入っていたビルの1階にあったコンビニは無くなっていたけれど。

その頃は、後にウェブクルーという会社を設立した渡辺さん(当時はペガジャッパンというネットベンチャーを岐阜の春日井というところでやっていた)達にシステム構築の面倒をみてもらい、インターネットリサーチの事業化を進めていた時期だった。当時は、僕も山川さんも、そして、渡辺さんも本当に貧乏だった。

渡辺さんは後にウェブクルーを上場させ、今ではヒルズ族のひとりだが、当時は東京に出張に来ると、僕の安アパートに泊まっていた。

今、改めて振り返ってみると、あの頃はあの頃で幸せだったと思う。マスターカードのTVCMではないが、「お金では買えない」何かが、お金がないからこそ、僕らの生活にはあったような気がする。

こうして、ブログを書いていて、それは「物事に感謝する」という姿勢だったのではないかと思った。10万円の売上に、20万円の売上に、心から感謝していた。

僕だけなのか?他の人もそうなのかは分からないが、僕は、楽しかったことよりも、辛かったことをよく思い出す。

それも、楽しく思い出す時と、感慨深くしみじみと思い出すことの両方がある。昨日は「しみじみ」系だった(笑)。それは、もう一度スクラッチから会社を立ち上げることの大変さを、改めて感じているからだろう。

そして、そういう(物事に感謝する)「心」を忘れないように、辛かった頃のことを思い出すのかもしれない。きっと神様が「いい気」になりやすい僕のために、そういうDNAを植え付けてくれたのだろう。

話しは変わるが、今日はインタースコープの取締役会議があった。僕は取締役は退任しているが、創業者ということと、今も尚、大株主のひとりであることから、オブザーバーとして出席している。

取締役会議の後、社外取締役の小林さん(グロービス・キャピタル・パートナーズ)とブログの話しをした。小林さんのブログは、なんと、月間ユニークユーザーが「7,000人」もいるらしい!!! すごいのひと言だ。

では、何故、小林さんのブログを読む人がそんなに多いのかというと、彼のブログは「情報量が豊富」だからだと思う。それも、「旬」な話題や情報が多いからだろう。

デジタルガレージ共同創業者の伊藤穣一氏(通称Joi)が言っていた「ブロガーの影響力」とは、こういうことを言うんだろう。Technorati Japanを設立するために議論を重ねている時に、Joiから米国のブログ事情はよく聞いていたが、こうして身近なところにパワフルブロガーが存在していると、身をもって、その意味を理解でききるようになった。

またまた、話しは変わるが、あるリサーチプロジェクトで、「会ったこのとない有名な専門家」の意見と「自分の知り合いで信頼がおける人」の意見と、どちらが信頼できるか?というテーマがあり、後者の方が信頼できるとする人が実は多い、ということが分かったことがある。パワフルブロガーというのは、ある意味、その両者の中間ぐらいの存在なのだろう。

さすがに7,000人ともなると、小林さんの知り合いよりも、知らない人の方が多いと思うが、僕のブログを読んでくれている人は、半分ぐらいは「知り合い」ではないかと思う。因みに、月間のユニークユーザーは知らないが、デイリーのユニークユーザーは、だいたい「100~200人」ぐらいなので、おそらくそういうことだろう。

小林さんに「平石さんのブログは長いので(読むのが大変です)・・・」と言われた。(ごめんなさい)

僕は小林さんのように「ジャーナリスティック(ビジネス情報誌的)」なブログは書けないが、読んでくれる人に対して、時間の無駄になるような内容では失礼だと思っているので、僕なりに必ず、何らかのメッセージを込めて書いている。多少なりとも何らかの参考になるようであれば幸せである。このブログで1円も稼いではいないが、プロフェッショナルとしての意識を持って書いている。それで短ければより良しということか。頑張ろう。

僕がもし、小林さんのようなジャーナリスティックなブログを書けと言われれば、マーケティングなり、起業にまつわる話しは書けなくはないかもしれないが、要するに、そのことに「価値」を見出すかどうか?なのだろう。

そういうテーマであれば、僕よりも読者の方々にとって有益な情報を書ける人はたくさんいるということと、起業のことならともかく、マーケティングに関する話しを書く(解説する)ことに興味がないのである。

好きこそモノの上手なれということだろう。これからも「自分らしく」生きていこう。