「額」ではなく「率」。

僕がインタースコープを立ち上げて間もない頃、インターンの学生として面接にやってきたジローが一昨日(4/18)、ドリームビジョンのオフィスを訪ねてきた。正確に言うと、彼のことを僕らのサイトで紹介しようと思って、彼の話を聞くために(要するに取材)、僕が彼を呼んだ。

彼はインターン終了後も学生を続けながら契約社員として働き、新卒でインタースコープに就職した。2003年2月に辞めるまでのほぼ4年間、事実上、インタースコープの創業メンバーとして会社の成長に貢献してくれた。

一昨日、そのジローの話を聞いて、僕の方が学ばせてもらったことがある。

『「MAXの額」ではなく、「率」なんだと思った』ということ。

彼はインタースコープを退職した後、某外資系消費材メーカーに転職をした。
その会社はマーケティング的にとても進んだ会社として認識されており、
そこでも彼は徐々に認められていったらしい。

その会社での経験を通じて彼が感じたことは、
仮に、5,000億円の売上規模の会社だった場合、
売上に対して「1%」の貢献をすれば金額換算して「50億円」になるが、
自分で何かを生み出している、あるいは、貢献しているという実感を得る
という意味では、売上1億円の会社で50%の貢献の方が、
その実感を覚えられるし、やりがいを感じるということだったらしい。

僕のような人間にとって彼の考え方は違和感はない。
というよりも共感すると言った方がよい。

しかし、世の中は様々な見方があるのも事実だし、
人によっては異なる考え方をするだろう。

ある時、グロービスの会合でグッドウィルの折口さんの話を聞く機会があったが、彼は「(持ち株の)シェアは10%でもいいが、その額には拘る」と言っていた。

別の機会に、GDH(アニメーションの会社でマザーズに上場している)の石川さん(僕の好きなベンチャー企業の創業経営者のひとりである)も、正確な数字は忘れたが「時価総額100億円の会社の50%のシャアを持っているよりも、5,000億円の会社の10%(500億円)を持っている方がよい」という趣旨のことを言っていた。

たしかに、そういう考えも一理あると思う。

要するに、自分が何をしたいのか?ということや、どういう立場にいるのか? どういうステージにいるのか? ということによって、答えは異なるということだろう。

僕は、インタースコープの10%弱の株主であるが、ドリームビジョンは80%以上のシェアを持っている。
時価総額の話をすれば論を待たないが、今の僕にとってはシェアの方が大事である。

もちろん、これからドリームビジョンの事業を拡大させて行く際に、先行投資のための資金調達を行う局面が必ず出てくると思うが、その時も、僕は自分のシェアを守るために資本政策を練るつもりである。

ジローは今、彼を含めてたった5人の会社で働いている。
社長もよく知っているが、まだ、30才になったかならないかの若い人である。

そこでの彼は、会社のブランドではなく、自分のブランドで勝負しており、とてもいい顔をしていた。
アントレプレナーシップ溢れる人間である。