第09回 塚田 寛一氏 vol.2 (3)

第09回 塚田 寛一氏 vol.2 (3)

50年計画で考える。

ところが、津田さんはなんと、塚田さんのオファーを一度、「保留」にした。

「塚田くん、コーディングできるの?」「できません」。

それが、理由だったらしい。

楽天時代もフォートラベルの時も、自らプログラムを書いてサービスを開発してきた津田さんは、スクラッチから数人でネットビジネスを立ち上げるには、全員がプログラムを書けないと戦力にならないと思っていたのだろう。

津田さんは、ご自身でも言っていたが、とにかく「サービス志向(プレーヤー志向)」なので、ついつい上記のように考えてしまったそうだが、ふっと冷静になって考えてみると、「自分達の資金」でベンチャーを立ち上げるわけで、極端な話、「50年」というスパンで考えることができることに気づき、それであれば、塚田さんのような存在はとても貴重であり、組織の幅を持たせることに繋がり、「むしろ、強みになる」と思ったという。

塚田さんのような優秀な人を惹きつけられる津田さんもまた、素晴らしい人である。

写真:塚田 寛一 氏

「動」の津田さんと、「静」の塚田さん。
写真は、ヨセミテ国立公園。
「ヨセミテ」のこれからが楽しみである。

ところで、塚田さんの話を聞いていて、感情の起伏が少ないというか、安定しているというか、彼には「安定感がある」と感じた。

自分の持ち味に気づき、自分が我武者羅に頑張るのではなく、周囲が我武者羅に頑張れるよう、当事者でありながら、自分たちの状況を客観的に把握し、的確な判断をする。

きっとそんなふうに仕事をしているから、「心が凪いでいる」のだろう。

「動」の津田さんと、「静」の塚田さん。

「羊系」の「ヨセミテ」のこれからが、とても、楽しみである。

文章・写真: 株式会社ドリームビジョン 平石郁生

※次回は、本シリーズ「挑戦する生き方」の最終回(10人目)として、女性起業家の「江原理恵さん」をご紹介します。
ご期待下さい。