第09回 塚田 寛一氏 vol.1 (2)

第09回 塚田 寛一氏 vol.1 (2)

ETICとの出会い。

塚田さんは、東京大学法学部の出身。いわゆるエリートだ。でも、そういう嫌味が微塵も感じられない。権力とか、支配欲とか、そういうものに興味がないのだろう。とてもしなやかな人である。

塚田さんは、東大「法学部」に入学したものの、特に、法律に興味があったわけでも、弁護士や検事を目指していたわけでもなく、こう言っては失礼かもしれないが、いわゆる「モラトリアム」だったのだろう。大学には、あまり行かなかったらしい。

「法律がおもしろくないので、学校もあまり行かなくなって自堕落な大学生活を送っていました。サークルも途中でやめて、バイトも家の近くで塾講師をやったり、あまり褒められた大学生活ではなくて・・・」。

さて、そんな塚田さんも3年生になり、就職活動の時期になった。

しかし、法学部の友人たちは、司法試験を受けるか、国家公務員の試験を受けるかで、民間企業に就職する人は殆どいなかった。

写真:塚田 寛一 氏

「学校にもあまり行かなくなって、けっして褒められた大学生活ではありませんでした」。

塚田さんは、色々な会社を調べたり、説明会に行ったりしていたが、「大企業に入っても、誰と一緒に働けるか分からないし、どの部署に行くかも分からないし、その中でうまくやっていく自信がなかった。楽しく仕事をしていけるかどうか、自信がなかった」そうだ。

その頃の塚田さんは、就職活動のために色々な会社を調べることとは別に、個人的な興味で読んでいた本で、インターネットで起業している自分とあまり年齢が変わらない人たちの存在を知り、興味を持つ。

かといって、いきなりネットで起業というわけにもいかず、友人からETICの存在を聞き、当時、秋葉原にあったETICのオフィスを訪ねたのが、彼の人生を大きく変えることになる。

何がその後の人生を大きく変えることになるか、その時は分からない。でも、ちょっとしたきっかけで、我々の人生というものは、大きく、そして、ダイナミックに変わっていくことがある。

ETICを訪問したことは、塚田さんの人生を大きく変える、小さな出来事だったのだろう。