第08回 津田 全泰氏 vol.2 (5)

第08回 津田 全泰氏 vol.2 (5)

そして、「Onlife(オンライフ)」へ。

さて、フォートラベルを価格.comに売却し、その後の責任も果たした津田さんは、社長を他の方に引き継いで、非常勤の取締役に就任し、事実上、引退した。

若くしてお金も手にし、「さて、これからどうするか?」となる。

色々と考えた結果、津田さんは、「僕はやはり、ネットビジネスが好きなんだ」ということに気づく。

では、ネットで何をするのか?

「僕は、インターネットで世の中を良くすることが趣味とも言えるくらい大好きなのです。それに気づきました。それなら、フォートラベルをやっていけばいいという話になるのですが、ただ、もう売ってしまったし、旅行分野については、フォートラベルのビジョンに共感してくれているスタッフに任せようと思いました。
そこで、旅行以外のどのような分野で、ネットで世の中を良くしたいのかといったら、公共サービス分野というのが出てきました。つまり、上場を目指すとか、 VCの資金が入っているベンチャーとか、上場した企業がやらない、やりにくい。けれども、消費者とかC側の立場としては、すごいニーズがある。まさに医療や教育なのですが、そういう分野こそ、インターネットってローコストなツールなわけで、パワーもすごいので、そういうプラットフォームがあれば、社会全体としても絶対にレバレッジが効く。でも、やらない。ああ、やっぱり、こういう分野って、長期的な資金がないとできないんだろうなと。つまり、楽天で上場を経験して、自分でバイアウトもしたし、そういういろんな経験の中で、資本主義、株式市場という力学の中では、これはやりにくい分野なんだろうなと思いました。今思えば、だから公共分野は国が税金を集めてやる分野なのですが・・・」。

写真:津田 全泰 氏

色々と考えた結果、「僕はやはり、ネットビジネスが好きなんだ」
ということに気づきました。

そのような経緯で立ち上げたのが、「Onlife(オンライフ)」というネットサービスだ。

ガンや難病等を患い闘病生活を送っている方、あるいは、肉親にそのような方々を持ち、家族として支えている方、また、そのような経験をされたことがある方々のコミュニティを作り、誰に聞いてよいか分からない悩みを相談したり、求めている情報を探したり提供したりできるプラットフォームをつくることにより、闘病生活をされている方々とその家族の方々を、情報面から支援するということが、オンライフのミッションである。

たしかに、なかなかお金にはなり難いだろうし、上場を目指しているベンチャー企業ではできないことである。

津田さんは、若くして得た貴重な「お金」と「経験」を、自分ができることに「再投資」することで、より良い社会を実現するために、日々、奮闘している。