第08回 津田 全泰氏 vol.1 (7)

第08回 津田 全泰氏 vol.1 (7)

努力しただけじゃ、ダメなんだ。

ここで津田さんは、とても重要なことを学ぶ。

それは、「努力しただけじゃ、ダメなんだ」ということ。そのことを、こんなふうに語っていた。

「僕は開発部からシステム担当という立場で参加し、システムの外注管理をすることになりました。楽天として初めてシステム開発を外注をしたので、僕も今までの能力を総動員して頑張ってやったんです。楽天市場は開始1年後からの参画でしたが、トラベルに関しては本当にゼロからだったので、それこそ起業の疑似体験ができるということで、本当に喜んで参加しました。もう無我夢中で立ち上げました。

ここではシステムのことだけじゃなくて、業務フローをつくるというところから、営業までは直接しませんでしたが、営業サポートみたいなところまで全部業務フローをつくって、ほとんどのビジネスプロセスみたいなものをつくりました。これが経験できたのがすごく大きかったですね。楽天に入って4年目ぐらいでした。

写真:津田 全泰 氏

僕が学んだことは、ビジネスというものは、
「努力しただけじゃダメなんだ」ということです。

それで、当時の事業部長と二人三脚でサイトは立ち上がったのですが、全然ダメなわけです。伸びない。それは、僕らの能力不足が原因だったのですが、そこで学んだのは、『努力しただけじゃダメなんだ』ということです。楽天市場の時も、すごく頑張って努力してやりました。それで大成功したわけですよ。もちろん、それは僕の力だけではないですが。一方、楽天トラベルもそれと同じぐらい、もしくはそれ以上コミットしてやったのですが、全然ダメ。そこで、単純に労働時間を投下すればいいものではない、ということが分かりました。ビジネスモデルだったり、当時の競合環境であったり・・・。当時は、『旅の窓口』というサイトが絶対的にあったし、『じゃらん』も『一休』もあった中での楽天トラベルだったので、そこはすごく勉強になったなと思っています。

(中略)僕にとっては、楽天市場は大成功、楽天トラベルは自分の能力のなさで大失敗。そういう経験を『他人の金』でさせてもらったということが、すごく大きいですよね」。

次回に続く。

文章・写真: 株式会社ドリームビジョン 平石郁生