第06回 保坂 高広氏 vol.1 (3)

第06回 保坂 高広氏 vol.1 (3)

ジム通いの毎日。

「日曜日以外は毎日ジムに行って、夜も走っていました。練習が終ってからですね。それか朝。学校に行く前に走って、学校に行くと、みんなは缶ジュースを飲んだりして談笑していましたが、僕は授業が終るとすぐにジムに行った。家に帰ってご飯を食べて、でも、1時間ぐらい休まないとお腹が痛くなっちゃうので、 1時間ぐらい休んでから走ってと、そんな生活をしていました。元旦も走ってましたよ(笑)」。

最初は、なかなか上手くならず、「どうやってプロになるんだよ?やっぱり、なれるわけないよな」と思っていたらしいが、「いや、俺ならできるかな」と自分に言い聞かせているうちに、どんどん強くなっていった。

「自分でやった分が結果に結びつくのがボクシングの楽しいところ。サッカーをやっていた時は、点を入れられたら、キーパーを責めたりしていたんですけど、(ボクシングは)殴られて鼻血がブーブー出ても、自分の練習が足りないだけ。自分の責任なのでどうすることもできないし、練習するしかないと思いました」。

写真:保坂 高広 氏

ボクシングって、何で疲れるって、『恐怖心』で疲れるんですね。

「普段しゃべっている人でも、リングに立つと顔が別人になるんです。スパーリングって、物凄い恐怖心があって、その『恐怖心』でスタミナがどんどん削られていく感じなんですよ。何で疲れるって、『恐怖心』で疲れるんですね。それも楽しいんですけど」。

さて、そんなふうにボクシングというものと格闘していた保坂氏だが、いよいよプロテストを受けることになる。

「(大学を)卒業する前、3月14日に落ちたんですよ」。

ボクシングにはバンテージという、拳に巻くものがあるが、それはいつも練習前に丸めておかないと上手く巻けないらしい。それを毎日、丸めてくれていたのが、ボクシング好きのお祖母さんだった。