第03回 本間毅氏 vol.3 (3)

第03回 本間毅氏 vol.3 (3)

「組織で働く」ことの意味。

本間さんは、こんな話もしてくれた。

「大企業の中で、どこが自分を主張すべきところで、どこが引っ込めるべきところかは、実はすごく簡単で、自分がこの会社の経営者だとした時に、何をやるべきかというプライオリティをつければいい。そうすると、限られたチャンスに自分がどういうカードを切るかというのが見えるんです。合っているかどうか知りませんよ。でも、考え方としてはそうです。例えば、みんなに反対されると分かっていても、そのプロジェクトを貫かなければいけないという話になるとする。なぜそうなるかと言うと、どうやったら会社のためになるか考えて、必要だということだったら、それはもうやるしかない。上司が喜ぶからとか自分がやりたいからとか、そういうことは理由にならない。もちろんやりたいことであって欲しいけど、『これをやれば他の誰よりも会社の役に立てる』ということが見つかった場合は、やるしかない。なおかつ、それが自分にしか考えつかないユニークなことだったら、もうシメたもの」

写真:本間毅 氏

常々、他の組織はどうなっているんだろう?学びたいなとは思っていたんですよ。

チャレンジがダイナミックになる。

本間さんは、どのような環境にいても、常に、そこから何かを学び取ろうとする、非常にポジティブな思考の持ち主である。

その本間さんにとって、ソニーのようなグローバルカンパニーにいることのメリットのひとつは、「チャレンジがダイナミックになること」だという。それは「規模」でもそうだし、地域的に「グローバル」になるということでもある。

説得する人が多いとか、たしかに、「制約」はある。

しかし、モノは言いようで、「制限の多い、融通の利かない大企業です」と言うこともできるし、「制約はあるけれど、ダイナミックにチャレンジできるのが大企業です」という言い方もできる。そのダイナミズムの1つがグローバルということであったり、経済的な規模であったりする。

そんなふうに、本間さんは語っていた。

そして、「売上の80%が海外」というグローバル企業のソニーにおいて、自分が貢献できることを、どうやって最大化するかということを考えた時、本間さんは「アメリカでチャレンジすること」を選んだ。

本間さんにとってアメリカは、「未開の地」である。そのことを、こう表現していた。

「アメリカに行って今、感じているのは、これって起業と変わらないってことです。だって、『人脈ない、知名度ない、実績ない、部下いない』。会社だからファシリティはありますよ。だからどうにか頑張りなさいと」。