第03回 本間毅氏 vol.1 (3)

第03回 本間毅氏 vol.1 (3)

マッキントッシュとインターネットとの出会い。

1994年4月に中央大学に入学した本間さんは、その年の冬、大学の先輩を通じてインターネットの存在を知ることになる。その先輩はマッキントッシュ(以下、マック)を持っていて、パソコン通信経由でインターネットに接続し、ホワイトハウスやルーブル美術館の様子を見せてくれた。

当時のことを、本間さんは、こんなふうに語っていた。
「『これ何ですか、ソフトが入っているんですか?』と聞いたら『いやいや、これはインターネットに直接接続して・・』と。何のことやら分からないんですが、とにかく海外の情報がここに発信されてきている、しかもこれは始まったばかりだと。僕もそれを聞いて早速、自分でマックを買って、やってみたらおもしろいんですよ」。

尚、この話には後日談があり、本間さんにマックでインターネットを見せてくれた先輩は、後に、本間さんが立ち上げたイエルネットに入社することになる。

さて、話を本間さんの起業に戻すと、マックとインターネットとの出会いが、すぐに起業に結び付いたわけではない。

写真:本間毅 氏

先を走っているというプライドがちょっとあったんです。

本間さんにとっては、とにかく「会社を経営したかった」ので、極端な話し、それがラーメン屋だろうが、家庭教師の派遣業であろうが、何でもよかった。しかし、それらは本間さんにとって得意な領域ではないし、イマイチだなと思っていたところに、たまたま見た新聞で「大学生がインターネットのビジネスを始めている」という記事を見つけ、大きなショックを受ける。

「自分も早いうちからインターネットをやっているし、先頭を走っているというプライドがちょっとあったんです。起業もしたいと思っているし、志もある。ところが、既にやっちゃってるヤツがいる、大学生のくせに。『なんでコイツにできて俺にできてないんだ!』と・・。今となっては、その記事で見た人が誰かも分からないんですが、めちゃくちゃ悔しいという思いになったわけです」。

子供の頃から、自分より何かが上手にできる人の存在を傍観することに耐えられない性格だった本間さんは、それ以降、「自分はどうすればいいんだ・・・」と悶々とした日々を過ごしたそうだが、考えに考えた結論はシンプルで、「やればいいんじゃないの?」となる。

やり方が分からないとか、「できない理由は100万個でも見つけられた」が、結局は「やるしかない」ということで、紙と鉛筆を持って、思いついたことから書いていったそうだ。

始めは、洋書の販売とか、海外に住んでいる日本人向けに、現地では手に入らない食品を売ろうとか、B2Cのビジネスを考えていたが、最初のつまずきとして「先立つもの」がないとなる。あるのは、マックだけ・・・。

でも、インターネットのことは何となく分かっている。そこで最初に始めたのが、ビジネスの勉強を兼ねての「ホームページ製作」だった。

それが、イエルネットの始まりである。