第01回 岩瀬 大輔氏 vol.2 (4)

第01回 岩瀬 大輔氏 vol.2 (4)

20年続けます。

さて、そんな岩瀬氏であるが、世の中には冷ややかな目で見る人たちもいる。意地悪だとは思ったが、僕は彼らの代弁者になり、こんな質問をぶつけてみた。

「岩瀬さんほど優秀な人だったら、当然、いろんな話は来るし、好奇心も旺盛だし、はたして、いつまでライフネット生命の経営を続けていくのか?という声があるようですけど、それについてはどう思いますか?」。

写真:岩瀬 大輔 氏

自分も60歳になった時に、30歳の人と何か新しいことを始められたら、それは本当にすてきな人生だなって思います。

「20年続けます(笑)。雇われの身だったら飽きるかもしれないですけど、自分で社名を考えてロゴを作って、オフィスを借りて、プランを描いて、仲間ひとりひとりを雇ってと、ゼロから創っているので、自分の家族みたいな感じです。子供を置いて、夜逃げなんかしないですよね。それと同じ感覚です。たしかに、よく何年ぐらいやるつもりなんですか?とか聞かれます。背景にはいくつかあるんですけど、『岩瀬さん、生保なんて、そこまでおもしろくないでしょう』という前提があるようです。もっと大きいものとか楽しいものがあるんじゃないか、という考えです。でも、僕はぜんぜんそういうふうに考えていない。もっと大きくて楽しいビジネスって、他にありますか?と聞いてみたい。保険会社のポテンシャルとか裾野の広さっていうことの理解がぜんぜん違うんだと思う。AIGはグローバルでもかなり競争力がある金融機関です。今から投資銀行は創れないし、都市銀行も創れないし、けど、保険会社は、もしかしたら結構いい会社を創れるかもしれないですよね。そういう意味で、純粋にビジネスとしてものすごいポテンシャルを、大きな広がりを感じている。それは飽きずにいろんなことができるっていうのと、あとは逆に、みんながやらないことだからこそチャンスがあるし、やりがいがあるって思っているっていうのもありますね」。

20年後の岩瀬氏に会ってみたい。

※ 次回予告:来週は、ライフネット生命保険社長の出口氏をご紹介します。

文章・写真: 株式会社ドリームビジョン 平石郁生