第01回 岩瀬 大輔氏 vol.1 (3)

第01回 岩瀬 大輔氏 vol.1 (3)

魅力的な仲間との出会い。

BCGに決めた時も、ICGに転職した時も、リップルウッドに移った時も、そして、ライフネット生命保険を立ち上げることを決意した時も、彼にとって「誰とやるか?」は、とても大きな要素だった。

学生時代の彼は、司法試験の勉強をしていたこともあり就職活動はしておらず、コンサルティングファームという存在すら知らなかったらしいが、それにも係わらずBCG入社を決めた理由を、こう表現している。

「そこで働いている人達が、自分が今までに会ったことのないくらい、すごくステキだった。すごくスマートで洗練されていて、でも、温かみがあって、すごく世話好きで、会社の中がすごく活気があって活き活きと仕事をしていたんですよ」。
同じように、ICGではジョセフ・キム、ダニエル藤井から、ウォールストリート仕込みの米国的資本主義を学び、社内は英語。刺激に満ちた仲間と、刺激的な仕事をする国際的な環境があった。

リップルウッド時代は、日経ビジネスが「ハゲタカか救世主か?」という特集を組んでいたように、日本社会では社会的認知も評価も確立されておらず、優秀な人材が集まらずに苦労をしていたという。しかし、社長のティム・コリンズがとても魅力的な人物であり、彼と一緒にカルロス・ゴーンに会いに行く経験をさせてもらったりと、25才という年齢にも係わらず、とてもストレッチして仕事をさせてもらえる上司と環境に恵まれていた。

ライフネット生命保険でも、彼は素晴らしい仲間に恵まれている。尚且つ、今までの彼のキャリアにはない大きな要素がある。それは、彼が「一緒に働く仲間を採用している」という点である。

写真:岩瀬 大輔 氏

この仲間、このメンバーなら、何をやっても楽しいだろうな、何をやっても成功するって思う。そんな感じですね。

「働く相手を選べるってことは、普通はあり得ないわけじゃないですか。でも、僕は全員と面接して、この人はと思った人だけに来てもらっている。『企業風土』というものを自分で創っていける。そのことは、とても幸せなことですよね。ちょっとしたことですけど、準備会社の頃は、毎週水曜日のランチタイムは、皆でお昼を食べながら持ち回りで講師をやって勉強会をしていました。みんなが講師になり、生徒にもなる。聞く側に回ることで、それぞれから学べることがある。そうすると、それまではよく知らなかった人柄も分かるようになるし、ビジネスのナレッジマネジメントにもなる。そして、とにかく風通しの良い社風になるんですよ」。