スーツケース。25年。鱗雲。

スーツケースにいつもの荷物を詰め込み、羽田までのタクシーを予約し、あとは当日、パスポートさえ忘れないようにすれば、いつでも飛行機に乗れた日々が嘘のようだ。新型コロナウイルスなどいう怪物がこの地球上を支配し、昨年は計5回も行ったヨーロッパに、今年は一度も行っていない。

何故か突然、頭の中にメロディーが浮かぶことがある。残念ながら作曲のことではなく、昔、よく聽いていた曲のことだ。昨年9月のパリ、サンジェルマン大通りから一歩入ったところにあるお気に入りの小さなホテルの部屋で、何故か突然、井上陽水の曲のサビを思い出した。

頭に浮かんだ歌詞をグーグルで検索すると、それは「恋の予感」という歌だった。井上陽水の歌詞は理解不能で、彼が何をイメージして作った曲なのかは分からないが、凡人には思いつかない言葉と言葉が紡がれており、何やら神秘的な雰囲気だけは伝わってくる。

今年2月に、Infarm HQの Japan Expansion チームと共同創業者でCEOのErez Galonska が週替りで来日。TOA (Tech Open Air) World Tour Tokyo 2020なるイベントの壇上で、JR東日本からドイツ法人へのご出資と紀ノ国屋での導入、そして、ムロオ(チルド物流大手)との業務提携を発表。その後、コロナでスローダウンを余儀なくされたとはいうものの、切れ目なく日本ローンチの準備を進めてきており、問題を解決しては、また新たな問題が発生し・・・ということを、ここ数ヶ月、続けているせいか、さすがに僕も、少し、精神的に疲れていることを実感している。

そんな時、井上陽水の神秘的な歌詞と耽美なメロディは、「まあ、そんなにシリアスになるなよ。大丈夫だって!」という感じで、サプリメントというか、心のビタミン剤のような効能がある。坂本龍一の「戦場のメリークリスマス」も、ここ最近のお気に入りだ。

僕と親しくしていただいている方の中には、長男が「音楽デュオ」を結成して、YouTubeにオリジナル曲をアップロードしていたり、この夏は「ZIP-FM」なる名古屋のラジオ番組に出演したことをご存知の方もいらっしゃると思うが、彼らの曲は、今流行りのヨアソビヨルシカ的なアップテンポの曲で、ジョギングの時にはいいんだけど、今この瞬間のような少々心が疲れている時には聴けないんだよね・・・。

中高生の彼らに、還暦が視野に入った起業家の心に響く曲は無理かもしれないけど、僕が書いた歌詞に、曲を付けてもらおうかな・・・。

井上陽水の「恋の予感」を聴きながら、こんなエントリーを書いていたら、少し、元気が出てきた。

さて、オフィスに行きますか!!

追伸:タイトル中の「25年と鱗雲」の意味は、次のエントリーで解説します。