Another Monday morning in the social distance, not Paradise.

2020年4月27日。偏頭痛の定期検診のため神谷町のクリニックに向かう。最寄駅のホームは閑散としている。当然だが、電車の中も空いている。混雑した月曜日の朝の風景は、もう過去の出来事になるのだろうか?

28歳の時、徒手空拳で起業してから29年。一時期は、100名を超える会社の経営をしていたこともあるが、ここ数年は数人の組織で、海外出張が多く、時差も手伝い、リモートワーク且つノマドな生活を送ってきた人間には、テレワークは新しくも何でもない。そして、ご多分に漏れず、新型コロナウイルス関連の記事や報道をチェックし、この先の社会の在り方を思案する毎日だ。

新型コロナウイルスの発生原因は諸説あり、素人の僕が講釈を垂れるにはあまりに複雑で未知の災難だが、前回のエントリーでも書いたが、地球環境の変化、ストレートに言えば、人類による地球環境破壊が無縁ではないと思う。

前回のエントリーで紹介したとおり、地球上に住む「人間」と「家畜」と「野生動物(陸上に棲む脊椎動物)」の「重さ」は、人間30%、家畜65%、野生動物5%である。この「不都合な真実」は、我々地球の主?にとって、どのような意味を持つのだろうか? その意味を僕は、法政大学経営大学院でお世話になっている小川教授から教わった。

この先の内容に関しては、小川教授のレポート(ブログにも掲載されている)とご本人から伺った話を僕なりに咀嚼したものだ。詳しくは、小川教授のブログを参照されたいが、学術的な内容で少々難解なところがあるため、より多くの方々に簡単に読んでいただければと思い、このエントリーを書くことにした。

小川教授との出会いは、インタースコープ時代に遡る。インタースコープでは、超優秀な学生インターンを採用していたため、法政大学で単位認定のインターン制度を導入する際、竹内淑子教授から相談があったのだが、その竹内教授から「きっと馬が合うと思います」と言って紹介されたのが小川教授だった。失意のドン底だった2009年の夏、法政大学経営大学院の小川教授から掛かってきた一本の電話で拾っていただき、今も経営大学院で、イノベーションと起業家精神について教えている。

ところで、皆さんは日頃、牛肉や豚肉、そして鶏肉をどのような頻度でどの程度、食べているだろうか?(僕は鶏肉は嫌いなので食べないw。)

環境科学者として世界的に有名なオランダ自由大学のハリー・エイキング博士によると、タンパク質の生産効率という観点で、豚肉エンドウ豆(pea)を比較すると、必要とされる土地面積には約10倍(エンドウ豆:1.3ha v.s. 豚肉:12.4ha)、必要な水量約60倍(エンドウ豆:177㎥ v.s. 豚肉:11,345㎥)の格差があるという。

尚且つ、エンドウ豆(pea)豚肉では、農業生産が生み出す環境負荷(排出物の指標)が大きく異る。

例えば、環境負荷の格差が大きいのは、1. 海洋と土壌の酸性化(Accification)は61倍2. 地球温暖化(Global warming:Co2の排出量)は6.4倍3.富栄養化(Eutrophication)は6.0倍である。「農薬や肥料」「水や土地利用」でも、格差は1.6倍から3.4倍に広がっている。

では、その原因は何なのだろうか?

「豚肉(タンパク質)」の生産のためには、穀物(大豆とでんぷん)を「飼料」として投入する必要がある。つまり、豚肉の生産では、投入される飼料やエネルギーの「タンパク質(豚肉)への変換効率」が良くない、ということだ。前述のエイキング博士によると、「牛肉」は豚肉と比較して、さらにタンパク質への変換効率が悪いことが知られている。

さらなるメリットとして、植物由来のタンパク質への転換を図ることで、オランダや欧州において農業に利用されている土地や資源(水や肥料など)を、現在の「5倍から6倍」程度、解放できるそうだ!つまり、その分を、放牧に利用したり自然に戻したりできるという。これは、環境負荷の低減という意味で極めて説得力がある。但し、エンドウ豆の栽培の途中では、タンパク質の副産物として、でんぷんが大量に産出されること、大豆の場合は、サラダ油が副産物として生み出されることを考慮する必要がある。

では、それにも関わらず、人類は何故、未だに大量の「家畜」を飼い、大量の「肉」を消費しているのだろうか?

米国発の「インポッシブル・バーガー」や「ビヨンド・ミート」が支持を得つつあることは周知のとおりだが、それでも、ヴィーガン食(完全菜食主義者)やオーガニック食品は、まだまだ極一部の人たちにしか浸透していない。

何事も「変化は痛みを伴う」が、人間は「食」に関してかなり保守的ということだ。生まれ育った食習慣を変えることは、そう簡単ではない。

マーケティング的には、新しい食品として売り出すよりも、「インポッシブル・バーガー」や「ビヨンド・ミート」の名前のとおり、従来の「肉」に関連付けて売り出した方が人々の心に響くし、「味」に関しても、いかにして「本物の牛肉」に近づけるか? が成功要因になる。

僕は今から2年前、シリコンバレーのレストランで初めてインポッシブル・バーガーを食べたが、牛肉とほぼ同じ食感で、牛肉よりもシツコクなく、個人的には「こっちの方がいいな(健康にも良いし)」と思った。

ここでは詳細なデータを紹介することは省略するが、温室効果ガス(CO2)の排出量に関しては、クルマの排気ガスがもたらすものよりも、畜産によりもたらされる量の方が圧倒的に多い。

特にアメリカでは、畜産業界は大きな「票田」になっていることもあり、政治的問題と密接に関係しており、一筋縄ではいかない問題であるのは間違いないが、「人類の未来」は「植物の時代」にしかないと断言できるだろう。

因みに、カバー写真は、妻が作った「ローストポーク(ローズマリー風味)」である。手前味噌だが、かなり美味しい。

肉食を完全に止めることは難しいかもしれないが、前述のとおり、自然に放牧されて作られた牛肉や豚肉なら、環境破壊を最小限に留めることができるし、それほど頻繁に牛肉や豚肉や鶏肉を食べる必要もない

僕の拙い知識に基づく考察ではあるが、皆さんは、どう思われただろうか?

May 2nd(Sun), 2020. Just another day on our rooftop in the Social Distance Days.