初めてのインド。

初めてのインド。

 「大坂なおみ」選手の快挙には、本当に心を揺さぶられた!心からおめでとうございます!

ところで、僕の人生で「初めてのインド訪問」は忘れられない時間になった。インド工科大学主催の「E-Summit’19」という「イノベーション&アントレプレナーシップ」をテーマとした2万人以上が参加するカンファレンスに、光栄にもスピーカーとして招待され、尚且つ、2つも講演の機会を頂戴した。

ビジネスに関するプレゼンテーションであれば、海外での経験も何度かあり、英語であってもそれほど緊張しないが、今回は、僕の起業家人生から得た学びを「When to exit」と「Why startup?」という2つのテーマで「narrative(物語)」として話すという、いわゆるTEDスタイルで、実際に登壇するまでは、物凄く緊張していた。

でも、現地に到着し、会場の下見に行ってみると、大学特有の自由で創造的な空気のせいか、初めてのインドにも関わらず、不思議と気持ちが和らいだ。どことなく、UC Berkeley のキャンパスに似た雰囲気を感じた・・・。

初日のテーマは「When to exit」。インターネットリサーチ御三家と言われた、マクロミル、インフォプラント、共同創業者として立ち上げたインタースコープの軌跡とEXIT(Yahoo! Japanの子会社化)、そして、その後の「御三家合併」に至る経緯について話をした。

インドでは全く無名の僕のセッションを何人の学生が聴きに来てくれるのか? 正直、不安だったが、収容人数250人の会場の約2/3くらいの人たちが参加してくれた。

「When to exit」は「narrative」として構成したものの、その内容は3社の特徴や事業戦略で、僕というフィルター(演出)を通した客観的なストーリーとして仕立てたものだ。

もうひとつの「Why startup?」は、拙著「挫折のすすめ」の英訳タイトルとして、ベルリン在住の武田さんという方から頂いた「Dare to fail. Stand up stronger.」を副題に付けて、僕のパーソナルなストーリーにした。そのせいもあってか、1st セッションよりも多くの学生の方々が僕の話を聴きに来てくれた。

嬉しいことには、僕の話が終わった後、次から次へと学生の方がステージに集まって来て、質問とセルフィー攻めにされた・・・。

僕の話の中でも紹介したが、才能の欠片も無いくせに、あわよくばミュージシャン(ギタリスト)になりたいなどとバカげた夢とも言えない夢を持っていた少年だった僕にとって、音楽ではなくても、自分の想いを、自分の口から発する言葉とキーワードと写真とで表現し、それから何かを感じたり、掴み取ってくれたのだとしたら、そんな幸せなことはない。さすがに、それには照れたが、中にはノートを差し出し、僕の話をメモに取ったところにサインをしてくれという学生もいた・・・。

また、会場を出て、通路を歩いていると、「Why startup?」という単語が耳に入ってきた。カンファレンスのパンフレットを見ながら、僕の講演について話をしているらしかった。年齢も人種も人生のステージも社会的バックグラウンドも何もかも異なる人たちにも、僕の経験談が響くものがあったのだとしたら、そんな嬉しいことはない。

※写真上:彼からの一通のメールが僕の人生を変えたと言っても過言ではない。

昨年の夏、突然、インド工科大学からの一通のメールが届き、一体これは何なんだ?(新手の詐欺か?)と思った僕は、東南アジアやインドでベンチャーキャピタルを経営している、Rebright Partners の蛯原さんにそのメールを転送し、はたして、返事をしていいものか? と相談した。

そのメールを蛯原さんは、インドのスタッフに転送し、確認してくれたところ、由緒正しき、インド最高峰の「インド工科大学」が主催する有名なカンファレンスだという返事が返ってきた。

E-Summitは、学生が主体となって運営しているらしく(そういう仕組が素晴らしい!)、マーケティング責任者(スピーカー発掘と招聘)がネット上で様々なキーワードで検索するのだろうが、ビッグネームとは別に、カンファレンスのテーマである「イノベーション&アントレプレナーシップ」に関して、英語で講演をしてくれる人間を探していたようだ。僕が行った海外での講演や英語でのブログの内容を確認しており、僕のことをよく調べていた。

そんなことで、与えられた2つの「narrative」の入念な準備をし、僕にしては珍しく、相当に練習し、いよいよ、人生初めてのインドへの出発2日前になり、ひょっとして・・・と思って調べたところ、インド訪問には「VISA」が必要なことが判明! 六本木へ向かう日比谷線の中で、身体中が熱くなった・・・。

これまた蛯原さんにSOSのメッセージを送ると、VOA (VISA on Arrival)なる制度があることが分かり、事なきを得た。

そんな僕をインドは歓迎してくれた。

間違いなく、僕はまた、この国に来るだろう。

2019年1月20日@IIT Bombay ゲストハウスにて(Bombay は、Mumbai の旧都市名)。帰国後に加筆。

※写真上:2日目のセッション Why startup? を担当してくれたスタッフ。

※写真上:E-Summit ’18 (昨年)には、Uber 創業者 Travis Kalanick がKeynote スピーカーとして登壇!

※写真上:キャンパスの学生たち