僕の人生が「ケース」になった。

僕の人生が「ケース」になった。

この家に住み始めてから今月下旬で丸2年になる・・・。既に、春夏秋冬を2回経験したことになるが、感覚的にはまだ一年ぐらいしか住んでいない気がしている。

恵比寿のマンションは、JR恵比寿駅から徒歩6-7分、地下鉄からなら4分という好立地で、尚且つ、恵比寿とは思えないほど静かな場所にあり、ベランダ越しの借景は四季折々の表情を見せてくれ、文句のつけようのない住まいだった。

11年慣れ親しんだ恵比寿を離れ、今の家に越して暫くは、正直、恵比寿の街とそのマンションに未練を感じていたが、ここ数ヶ月ぐらい前からだろうか、今の街に帰ってくるとホッとするようになった・・・。恵比寿から僅か3駅しか離れていないにも関わらず、閑静な住宅街は落ち着いた雰囲気で、小学校に通う子供たちや自転車の後ろに小さなお子さんを乗せたお母さんたちとすれ違う。サンブリッジグローバルベンチャーズの社長を退任し、ある意味で自由な立場になったこともあり、平日に近所のスーパーに行けたりと、何気ない日常が楽しくなった。

ところで、とある方のご尽力により、僕の今までの起業家人生が「MBAのケース」題材になった。とても名誉なことと思っている。

三木谷さん、南場さん、藤田さんといった成功者の方々のストーリーでは、ケースにしたとしても、誰のことだか見当がついてしまうだろうし、かと言って、何の挫折も成功もない人生ではケースにならないだろうし、ある意味、僕ぐらいの人がちょうど良かったのだろう・・・。

それぞれの人生の転換期にMBAで学ぶことを選択した人たちの中で、何人かの方々が僕の人生をケース題材にして議論をしてくれるというのは、なんとも幸せなことだ。その方々にとって、少しでも何かを得るキッカケになれば幸いである。

話を今の住まいに戻すと、猫の額ほどの吹き抜けがある・・・。南国のビーチが好きな妻のチョイスで我々家族は、グアム、サイパン、ケアンズ、ハワイと、子供たちの成長と共に行く場所もグレードアップしてきたが、そこで泊まったコテージに付いていた「天井のファン」が気に入っていた長男は、その猫の額ほどの吹き抜けの天井にファンを付けたかったようだ。しかし、建築家の方の説明を聞いて、そのスペースでは意味がないことを理解した彼は諦めた。

恵比寿のマンションはリビングが今の住まいよりも3畳ほど広く、ほぼ全面が窓に面していて開放感があり、実際のスペースよりも広く感じたが、今の住まいのリビングは実際のスペースよりも狭く感じる・・・。でも先日、久しぶりにソファーに横になり、猫の額ほどの吹き抜けを見上げてみると、猫の額は猫の額なりに、なかなかいいものだと思った。因みに、壁にかけてある絵は、画家だった妻の父が描いたものである。

僕が子供の頃は、福島県郡山市という地域や、1960年代から1970年代という時代もあり、周囲にマンションというものはなく、殆どが一軒家だったせいか、今の街には、都会の住宅街にも関わらず、郷愁のようなものを感じている。特に今の季節は、自宅の上に広がる青空と雲を見ていると、子供の頃の夏休みを思い出す。

この春から中1になった長男と小1になった次男のせいかもしれないけど・・・。