シリコンバレーで起業した「3人」。

今日の午前中は、シリコンバレーに来て会社を設立し、頑張っている方々をパネラーとしてお招きして、パネルディスカッションを行った。

今回の jannovation week での僕は添乗員のような立場のはずだったが、急遽、今日のセッションのモデレーターをすることになった。

パネラーは、以下の3名の方々。

ひとりは、Miselu, Inc. Founder の吉川さん。僕にとっては20年来の友人である。

もうひとりは、fluxflex, Inc. CEO, Co-Founder の久保さん。
実は、もうひとりの Co-Founder の深海さんには、僕が主催者のひとりとして運営している「Innovation Weekend」に登壇していただいており、何かの「縁」を感じる。

3人目は、Smash Booth, Inc. Founder の船木さん。数年前に学生ビザでサンフランシスコに来て、そのままこちらに残り、会社を設立された。

僕は、吉川さんから色々な話を聞いているので Big Surprise はなかったが、日本に限らず、シリコンバレーも「コネクション」社会であり、現地のローカル(起業家)コミュニティに入れるどうか?がKeyだという話は、僕がひと頃、関わっていたロシアでも同じである。

また、吉川さん曰く、「絶対に帰らない」という姿勢がないと、こちらの投資家から資金を集めることはできないという話は、僕が社外取締役を務めるラソナ創業者の岡村が、スペインの画家の登竜門で日本人で初めて優勝したにも関わらず、結婚していないという理由でギャラリー(スポンサー)がつかなかったという話を思い出させた。

それ以外の話では、EXIT(出口)に関する議論は、参加者の方にとって参考になったと思う。

Apple, Google, facebook, Twitter といったスマッシュヒットは天文学的確率の世界であり、現実的には、5億、10億、15億、30億といった規模でのEXIT(M&Aで売却)を想定して会社を創り頑張ることは、特に、20代、30代前半の人であれば、まず、最初のトラックレードをつくることにもなるし、経済的にも報われるという意味で、狙っていくべき姿ではないか?というアドバイスは、そのとおりだと思う。

fluxflex の久保さんは、そのような姿勢を「凡人でも成功できるやり方」と称しており、共同創業者の深海さんは「早期のEXITを狙っています」と言っていた。

また、Smash Booth の船木さん(現在28歳)の「経済的成功は求めたいです。今の状況では、家族を持つという選択肢は考えられないし、理想的には、あと2~3年で最初のEXITを達成したいと思っています」という発言を聞き、自分自身が20代の頃のことを思い出した。

キレイごとではなく、大きなリスクを取り、人生を懸けて頑張っている「起業家」にとって、「経済的な成功」を求めることは当然のことである。

僕(達)がインタースコープをYahoo! JAPANに売却した際、ベンチャー仲間からは「おめでとう!」というメールや電話があったが、大企業に勤務する、ある知人からは真逆の反応があったりもした(一方、大企業に勤める知人でも、お祝いの宴席を用意してくれた方もいた)。

いずれにしても、インタースコープは業界有数の会社になり、売上も「成長」していたし、尚かつ「黒字」だったわけで、たしかに、IPOは断念したが、僕たちにとっては「成功」以外の何物でもなかった。

ドラッカーも言っているとおり、起業は「経済的行為」であり、自分の人生(時間)という最大の資産を懸けるという意味で、最大の「投資行為」とも言える。

但し、大きな経済的リターンは、社会を変えたり、社会に大きな価値をもたらすことで初めて実現される。

つまり、「自分のリターンが先ではない」ということだ。

今回のツアーに参加している方々の中から、ひとりでも多くの方が「EXIT」を実現し、そして、また、次のチャレンジに向けて頑張っていく人が現れることを期待したい。

そして、次のチャレンジは、再度の起業でもいいし、NPOを創るでも、学校で教えるでも、エンジェル投資家として次世代を育てるでも、はたまた、世界一周の旅に出るのでもいい。

何をするにしても「自分にとっての成功」を定義し、それを追求することが大切である。

他でもない「自分の人生」を生きているわけで・・・。