日経新聞の取材と「なぜ、今なのか?」。

一昨日、1年半ぶりに日経新聞の取材を受けた。

因みに、一昨年の取材は、東証マザーズ開設10周年記念の特集に関するものだった。

一昨日の取材の趣旨は、僕がサンブリッジの仕事として始めた「Innovation Weekend」という、創業間もない(中には例外もある)ベンチャー企業とエンジェル投資を行う(行う可能性のある)人々をマッチングさせる取り組みに関してだが、記者の方から「なぜ、今なのか?」という質問を頂戴した。

理由は色々ある。

ひとつは、環境面の変化。

「クラウド、ソーシャルメディア、スマートフォン」という「3つ」の変数により、起業に必要な「資金的ハードル」が大幅に下がった。つまり、数百万円の資金でも意味があるようになった。

梅田望夫さんがご自身の著書「ウェブ進化論」で言及されていた「チープ革命」が更に進んだと言ってもよい。

ふたつ目は、「資金の出し手」が変わった(現れた)ということ。

僕を含めた「Web1.0世代」は、インターネットの本格普及と新興市場が整備されたことが相まって、ベンチャーキャピタルからの資金を調達しやすくなった恩恵を受けたが、それでも、億単位のおカネを調達するのは簡単では無かったし、エンジェル投資家と言われる人達は数が限られていた。

エンジェル投資家に関して補足すると、当時はインターネットの何たるかを理解してリスクマネーを提供しれくれる人は極々限られており、「海のものとも山のものとも分からないビジネス」に「擦っても仕方ない」と思って貴重な資金を出してくれたのは、家族親戚、友人知人を除けば、医者や弁護士、中小企業のオーナー経営者といった人達だったが、現在は、Web1.0世代で成功した(インターネットの何たるかを理解している)人達が「資金の出し手」になっている。この事実は大きい。

3つ目は、日本社会の構造変化を知識的にも直感的にも理解した若い人達が、最初から「世界市場」、少なくとも「アジア圏」を見据えてビジネスをしようとしているということだ。

僕らがインターネットリサーチ(インタースコープ、現マクロミル)の事業化を始めた時や自動車保険の見積り比較サイト(ウェブクルー)の事業立ち上げに参加した時は、世界市場なんて、夢物語にしか思っていなかった。

しかし、政治は「期限付き大連立」だのと訳の分からないことを言い、放漫経営でジャブジャブになっていたにも関わらず、整理解雇は許せないだの、OBに至っては企業年金の減額は許せないだのいう「大人達」を目の当たりにし、尚かつ、巨額の財政赤字と少子高齢化による人口減という「現実」を突きつけられた20代の若者は、この国にしがみついていても明るい未来はないと思っても当然である。

未来永劫、ガラパゴス諸島でいられれば幸せかもしれないが、そうは問屋が卸さないだろう。

さて、今週金曜日は、慶応大学の起業サークルでの講演を頼まれている。

彼らの人生に影響を与えられるような話をしたい。

頑張ろう!!