「若者」は本当に「公務員」になりたいのか?

昨日のエントリーで、僕にとっての成功は「プライベート」なことが中心であり、仕事はそのための「手段」に過ぎなかったと書いたが、では、おカネになれば何でも良かったのか?というと、勿論、そうではない。

もし、そうだったのであれば、わざわざ起業する必要もなく、また、これほど苦労せずに済んでいるはずである。

僕が目指していたのは、下のグラフで言えば「左上」であり、自分なりに一度は成し遂げたし、一度は成し遂げるプロセスに参加した。

さらに言えば、プライベートを含めて左上のような「���き方」に拘ってきた。

つまりは、極めて「難易度が高く、成功確率は低い」選択をしてきたということだ。

妻に言わせれば「(自分の能力を顧みず)なんでわざわざ好き好んで困難な道を選んでいるのか?」ということであり、誰のせいでもなく、自分自身の「選択(責任)」である。

シリアルアントレプレナー  「3度目の起業」と「初めての子育て」
※出典:「企業家とは何か(J.A.シュンペーター、清成忠男訳:東洋経済新報社)」より。

さて、前置きが長くなったが、今日のエントリーは、年初のエントリーで書いた「数字」に関するもの。

実は、その「数字」に関するエントリーについて、かれこれ10数年来の友人から、「平石さんの数字を挙げての論を読みたいとは思いません。それなら大前研一を読みます」というメールを頂戴した。

因みに、その彼は、僕のブログを初回から一度も欠かさず、すべて読んでくれているという。

彼の言いたいことは、僕の「持ち味」や「良さ」は、数字や理論にあるわけではなく、別のところにある、ということだった。

たしかに、そうなのだろう。

ところで、彼とは2~3往復ほどメールのやり取りをしたが、今度は「数字」に関するお題を頂戴した。

彼はそのメールで、ある「調査結果」を紹介し、それについて僕のコメントを求めてきた(質問設計者がどこかは分からないが、調査実施機関がマクロミルというのが何とも因縁深い)。

その調査では、職業に関する「選択肢」がいくつか並んでおり、一見するとたしかに「公務員(19.8%)」が最もスコアが高く、「若者(新成人)」は公務員を志望しているように見えなくもない。

でも、他の選択肢を見て欲しい。

「会社員(技術系)」「会社員(事務系)」「会社員(サービス系)」
「会社員(労務系)」「会社員(その他)」

「会社員」を合計すると、「35.4%」となる。

つまり、「会社員(35.4%)」v.s.「公務員(20.0%)」というのが正確な「数字」の見方である。

僕は、調査設計者の「意図」を感じた。それは、僕の勘ぐり過ぎだろうか?

因みに、調査の世界では「分析3年。(質問)設計8年」という格言がある。

また、文中にある「具体的にどのような不安を感じているのか」という、不安の「中身」に関する質問の回答として紹介されているのは、「先輩たちの就職難を見ているから」「ニュースで雇用の悪化が伝えられているから」等、不安を感じる「理由」に関するものとなっており、質問に対する答えになっていない。

ところで、ある人から「某省庁」が「求人」で苦労をしているという話を聞いた。

この話は彼からだけでなく、マスコミも含めて、よく聞く話だが、「東大卒=国家公務員(官僚)」という「構図が崩壊」し、給料の良い外資系の投資銀行やコンサルティング会社等に、彼らエリートを奪われているということだ。

「数字」は「説得力」を持つ。

だから、世論を「ミスリード」するリスクがあるし、数字を述べる際には、その「責任」を「自覚」する必要がある。

彼の意見に真摯に耳を傾けて、自分自身の良さを大切にしたいと思う。