何かを手放さないと、次の何かはやって来ない。

もう一年以上も前のことだが、横浜FC会長の奥寺さんのブログを製作される際に、投資先のイミオのボール(SFIDA)を演出小物として使っていただいたことがある。

三ツ沢の球技場に行き、観客席ではなく、ピッチに立ってみると、何とも言えない雰囲気があった。

その時の製作を担当されていたのは、ファニーズという、文字通り、おもしろい社名の「映像・音楽」製作会社を経営されている中道一将さんという人だった。

中道さんは、ロン毛をポニーテールにした、見た目もおもしろく、とても個性的な人である。

その中道さんから一昨日、「心の垢すりシリーズ」なる、これまたおもしろいタイトルのメルマガが送られてきた。

僕は、彼の経歴や詳しいことは知らないが、中道さんは、とても人間臭く、そして、アイデンティティをしっかりと持ち、自分を肯定的に生きている人だと思う。

「黄色」の名刺には、大きな文字で「圧倒的」クリエイティブ、圧倒的企画力、と書いてある。

ウェブサイトも「黄色」。メルマガ(ブログといった方がいいかもしれない)は、映像や音楽とは関係のない「人生」や「生き方」に関するもの。

でも、こうやって書きながら、そうか・・・と思ったが、ブログのコンテンツには、彼が注目するCMが組み込まれてあったり、トピックスはピクサーのアニメだったりと、映像製作が仕事である人間だからこそ書ける内容である。

そのブログ、今日のコンテンツには、ピクサーの「カールじいさんと空飛ぶ家」という映画を引き合いにして、こんなことが書いてあった。

「仏教の教えの中にも、
 何かを手放さないと次の何かはやって来ない。
 というものがあるそうで、

 血はたえず巡り続けるように、人も世も動き方は同じ。
 血が凝り固まったり、滞ったりすると身体はどうなるか・・・
 つまり、消極的になって停滞することが
 いかに危険で無意味なことか、分かってきます。

 凄く大切な真理ですが、
 僕らはそんなに強い人間ばかりじゃないから
 今持っているものを手放すなんてすごい怖いことですし、
 過去の美談をどんどん忘れることなんて決してカンタンじゃない。

 でも、この映画は、たえず僕らの肩を
 ぽんぽん叩いてくれて、こう言うんです。

 「ええねん!」

 中略

 ひとつは、今のままのお前で『ええねん』ってこと。
 自分を好きになってええねん、もっと自信をもってええねん。
 それこそ、カールじいさんの半生ぐらい素敵やねんで
 と言ってくれてます。

 そしてもうひとつは、手放して『ええねん』
 大切なものを捨ててもええねん。また次来るからええねん。
 それは、この映画のストーリーのようにまた素敵やねんで
 と言ってくれています」。

彼の凄いところは、変に格好付けない、ということだ。

見習うべきことが多い人である。

ところで、先程、「贈ります!」と約束したまま僕の自宅に置いたままになっていた「SFIDA」のボールを箱に詰めた。

彼のメルマガのお陰で、一年越しの約束をはたすことができそうである。