自分の知識・経験を必要とするのは誰か?

4月からお世話になり始めた法政ビジネススクール(イノマネ)だが、今月半ばから、プロジェクトと呼ばれている「事業計画(通常のビジネススクールの修士論文に相当)」策定に関する指導教員決定のための面談が行われている。

ありがたいことに、新人の僕にも面談依頼が来ており、既に何人かの学生の方々とお会いした。

彼・彼女たちとの面談を通じてとてもよく分かったことは、日本には、まだまだ「たくさんの事業機会」があるということ。

自分の「知識と経験」だけで世の中を判断することがいかに危険であり、ミスリードするリスクがあるかが、よく理解できた。

彼・彼女たちが考えている「事業アイディア」を具現化するために「必要な知見やリソース」と事業化のプロセスに潜む「リスク」を見極めることと、それらについてアドバイスをすることが僕の責任である。

僕にどれだけの能力があるかは別として、今までに「計6社の創業に関わった経験」が生きる仕事かもしれない。

僕は創業期(最初の2年ぐらい)しか関わっていないが、ウェブクルーの上場を横で見ていたことや、自ら社長として創業したインタースコープを、上場準備をしていたにも関わらず Yahoo! JAPAN へ売却した経験と、ドリームビジョンとして経験した「痛い失敗(事業撤退)」から学んだことは、これから事業を立ち上げようとしている学生の方々にとっても役に立つと思う。

僕にとっては「余計なこと」だったが、特に「痛い失敗(事業撤退)」から学んだことは、文字どおり、反面教師として、学生の方々に参考にしていただければ嬉しい。

話は変わるが、ゴルフファンの方は既にご存知のとおり、女子ゴルフの「宮里藍」選手が、今季4勝目を挙げ、6/21(月)に発表された「世界ランク」で「1位」になった。

物凄い「快挙」である!!

ところで、僕は宮里藍選手の活躍を見ていて、男子ほどは「体格差」がハンディにならないんだろうと思っていた。

詳しくは知らないが、おそらく、宮里藍選手は、ドライバーの飛距離が240ヤードぐらいだと思う。

女子の場合、ロングホール(Par5)は470~500ヤードぐらいなので、短いホールであれば2オンは可能だし、それが無理でも3オンは問題ない。

藍ちゃんは、100ヤード以内の精度が非常に高いらしい(そこを集中的に練習してきたそうだ)ので、3オンでのバーディの確率が高いのだろう。

それと較べると男子の場合、長いPar5 だと「600ヤード」を超えるホールもあり、ドライバーで300ヤード以上飛ばないと、3オンにしても長い距離が残り、バーディチャンスにつけることが難しくなる。

先週末の全米オープンで解説をしていた青木功プロが、石川遼選手(174センチ)へのコメントを求められた時、「もっと背が伸びて欲しいね」と言っていたことが、男子の「体格差」を物語っている。

因みに、1980年の全米オープンで、ニクラウスとの死闘の末、日本人最高位の「2位」になった青木功プロの身長は、180センチである。

さて、ビジネスに話を戻すと、インターネット関連のビジネスは米国がオリジンであり、ある意味、ハンディを背負っているとも言えるが、日本人が日本でビジネスを行う場合、ハンディにならないやり方もあるだろうし、そもそもハンディにならない業界もあると思う。

また、今後は、そもそも日本でビジネスを行うのではなく、最初から「海外」でビジネスをすることも視野に入れる必要があるとも言える。

いずれにしても、学生の方々が「起業」できるよう、最大限の協力をしたい。

ドラッガーの言う、「自分の知識・経験を必要とするのは誰か?(誰にそれらを提供する必要があるか?)」という問いの答えのひとつかもしれない。

いや、そうに違いない。

「ゆとり教育」の現場。

先週土曜日は、公開「授業参観」なる小学校の催しに参加した。

他の区でもやっているのかどうかは知らないが、渋谷区では、年に1回(たぶん)、授業参観日を地域の住民にも公開しており、未就学の子供を持つ親が、どんな授業をしているのか?を見学しに行くようだ。

ということで、僕たち夫婦も子供連れで見学に行った。

渋谷区では、自分たちの「学区」で決められた小学校でなくても、区内の小学校であれば、どこでも入学することができる。

但し、学区外の小学校の場合、定員オーバーとなった場合は「抽選」となる。

そのような制度ということもあり、御多分に漏れず、我々も含めて、自分たちの学区以外の小学校にも見学に行く人が多いようだ。

さて、その授業参観であるが、僕たち夫婦は「ゆとり教育」の現実がどういうことかを初めて理解した。

「国語」と「算数」の授業を見学したのだが、「4歳児」でも既にできることを、懇切丁寧に教えているのである。

例えば、ひらがなの書き方であるが、どこがどこよりも長いとダメだとか、そんなことは「知能の発達」に関係ないだろうということを、時間をかけて教えているのである。

因みに、僕が小学校に入学した時は、かなりの子供たちが「ひらがな」を書けていたと思う。

算数に関しても、5-2=3 というようなことを、金魚の絵を使ったり、積み木のようなものを使ったりと、何度も何度も教えている。

「できる子」にしてみれば、退屈極まりない授業だろう。

ついていけない子を出さないという考え方は分かるが、「才能を伸ばす」という思想がなく、「これでは、日本の学力は落ちるはずだよな・・・」と思った。

僕は、日本の教育がどのような仕組みで運営されているのかをきちんと理解していないが、「文部科学省」「教育委員会」「日教組」と、いくつもの組織が、それぞれの役割と権限で活動をしており、それらが「統合」されていないと聞く。

どういう思想や理念のもとに「教育カリキュラム」が改訂されていくのかは知らないが、大人の議論によって出された結論で、被害を被るのは「子供達」である。

保育園仲間のご両親たちと一緒に見学に行ったのだが、その帰りの「昼食会?」では、当然のことながら、小学校をどうするか?の話題で持ち切りだった。

あの授業を見せられたら、経済力がある家庭は、小学校から「私立」に行かせたいと思うはずである。

尚、誤解のないように書いておくが、これは現場の先生方の責任ではない。

「教育カリキュラム(学習主導要領)」をつくっている人間(組織)の責任である。

僕たちの子供が小学校に入学するまでに、今のカリキュラムが改訂されることを切に望みたい。

久しぶりの横浜。

先週後半は、数ヶ月ぶりに子供が発熱し、僕たち夫婦は慌ただしい数日を過ごした。

こういうことがあると、「丈夫で健康」ということは、何よりの親孝行だということを実感する。

ところで、今日は久しぶりに「横浜」へ出掛けた。

目黒通りを通って第三京浜に入り、首都高速を通って「みなとみらい」の出口で降りるまで、約30~40分。

第三京浜を走っているのは、15分ぐらいだろうか。でも、走る距離は、20km以上はあるはずだ。

料金は「250円」。渋滞は滅多にない。

都内で首都高に乗ると渋滞でも「700円」。そう考えると、高いと言わざるを得ない。

さて、そんなことを考えながら「横浜赤レンガ倉庫」に到着。

まだ寒い頃、2月頃だっただろうか?に来て以来だった。

子供がまだ本調子ではなく、公園で長時間、遊ばせるのは心配だし、かといって建物の中にだけいるのも運動不足になるし・・・ということで、ちょうどよくお店も公園もあり、尚かつ、帰りはクルマの中で昼寝をするだろうということで、久しぶりの横浜へ出掛けた。

病み上がりでまだ疲れているのだろう、行きの車中から眠っていた。

赤レンガ倉庫のバルコニーのような場所でランチを食べた後、以前に来たときに鳴らした「ウエディングベル」がある2Fに行ってみた。

子供は、そういうことは憶えている。

さて、その後は1号館と2号館の間にある広場へ。

クライスラー「JEEP」のイベントが開催されており、中古車がたくさん展示されていた。

その横にはゆっくりではあるものの、試乗できるエリアもあった。長蛇の列である。

展示されていたあるJEEPのドアを空けてみると、トランク部分が折りたたみ可能なシートになっており、計7人乗り。

これなら、2家族でも十分乗れる。弟家族と一緒に帰省することも可能だ。

ワンボックスはNo thanks の僕も、これは気に入った。

尚かつ、BMWやAUDIと較べると、格段に安い。

問題は車幅が広く、僕たちのマンションの駐車場に入るかどうか?という点である。

さて、そんなことを考えながら第三京浜を東京に向かい、スーパーに寄って帰宅した。

帰りの車中は勿論、妻が買い物を終えるのを待つ車中でも、彼は熟睡だった。

やはり、まだ本調子ではないようである。

今週は、元気で過ごしてくれることを祈りたい。

シリアルアントレプレナー  「3度目の起業」と「初めての子育て」
★ランチを食べた赤レンガ倉庫のバルコニーから見た横浜の中心部。

シリアルアントレプレナー  「3度目の起業」と「初めての子育て」
★こちらはベイブリッジ。お台場のレインボーブリッジができる前は、かなりの人気だった。今もそうなのかもしれない。

シリアルアントレプレナー  「3度目の起業」と「初めての子育て」
★ウエディングベルを鳴らす僕たちの子供。ベルの向こうはベイブリッジ。

IMFに「箸の上げ下げ」まで注文をつけられないように。

菅首相が消費税率10%に言及したことに対し、IMF(国際通貨基金)は消費税率を22%に引き上げるか、社会保障費の抑制を前提として、消費税率を14%に引き上げることを提案しているという。

竹中平蔵氏が今年2月5日のある講演で、今の日本に必要な財源を「消費税だけ」で賄おうとすると、税率は「25%」になると言っていたが、そういうことなのだろう。

それを考えると、10%という数字は「甘い」と言わざるを得ない。

僕は以前から、赤字国債は「返済不可能」だと思っている。

何故なら、国債を発行して調達したお金で、国民に「公共サービス」を提供するということは、つまり、「現物」で返済していることであり、尚かつ「現金」でも返済するということは、どう考えても「二重払い」としか言いようがないからだ。

「二重払い」の負担を軽減する唯一の方法は、「経済」を「発展」させ、今の10兆円の価値を、国債返済時には「実質的に目減りさせる」しかない。

高度経済成長期であればそれは可能だったかもしれないが、人口が減って行く、つまり、マーケットが縮小していく日本において、それは、どう考えても無理な話だろう。

因みに、著名投資家の「ジム・ロジャーズ」氏は、日本人が取り得る「選択肢」は「3つ」しかないと言っていた。

1. 子供を産む(増やす)
2. 移民を受け入れる
3. 生活レベルを下げる

僕は、現在のままで行くと、「3. 生活レベルを下げる」になる可能性が高いように思う。

でも、まだ時間はある。

様々な思惑があるとは言え、選挙前に、首相自らが「消費税の増税」を言及したことは、変化を嫌い、リスクを先送りする傾向が強い日本においては、大きな前進だと思いたい。

消費税の増税だけでは、経済発展は実現できないが・・・。

日本が取るべき選択肢を、僕自身も勉強していこうと思う。

IMFに「箸の上げ下げ」まで注文をつけられないように。

「社員5人以下、年商3億円以下の会社に限定しています」。

今日は法政ビジネススクール(イノマネ)での授業の後、僕たちのような「外部」の教職員に対するオリエンテーションと専任の教職員の方々との懇親会があった。

その席で分かったことだが、ある教授とは以前に面識があり、尚かつ、共通の知り合いがいた。

共通の知り合いとは、僕の旧知の友人で、シリコンバレーに渡り、ip infusion という会社を立ち上げ、数年前にアクセスに売却した吉川さん(そういえば、彼も法政出身だ!)という方だが、その教授は以前、独立系ベンチャーキャピタルの経営に参加しており、ip infusion に投資していたという。

世の中は狭いということを実感した。

そのような実務経験のある教授陣を揃えているイノマネは、とても風通しがよいビジネススクールである。

学生の方にとっても、大きなベネフィットだと思う。

話は変わるが、先月の最終土曜日(5/29)、Klab株式会社という、ケイタイ関連を中心としたアプケーション開発会社が主催する、ゴルフコンペに参加させていただいた。

そのコンペ、そもそもは女性ベンチャー経営者の集まりとして企画されたらしいが、結果的には男女混合チーム計5組の賑やかなコンペとなった。

そのコンペで一緒の組でラウンドさせていただいた、アップウェブというウェブの企画製作会社を経営する藤田さんという女性の話が印象的だった。

「社員5人以下、年商3億円以下の会社に限定しています」。

彼女はそう言っていた。

特にベンチャー企業の場合、通常の感覚では、社会的信用を獲得したいという思いから、ついつい大企業というか有名企業を顧客にしたがるものだが、彼女は自社の経営資源や体力を考えて、冷徹な判断をしている。

つまり、自分達が「競争優位性」を持てる「顧客」に特化し、それが発揮できない顧客は「捨てる」ということだ。

ドラッガーのいう「劣後順位」である。

八方美人では、ビジネスはできない。

頭では分かっていても、なかなかできることではない。

「子供の発熱」と「役割分担」。

今日は天気予報よりも早めに雨が上がり、真夏のような太陽が顔を出した。

久しぶりに夏がやってきたという感じがした。

ここ数年は、あまりの暑さに夏は嫌いになっていたが、今年は今のところ、本格的な夏の到来を楽しみにしている。

子供の頃の夏休みを思い出す。

ところで、その「子供」であるが、昨日の夜、僕らの子供が急に発熱した。

昨夜は妻の仕事の関係で僕が子供を保育園に迎えに行き、一緒に夕食を食べ、お風呂に入り、寝かせようとしたところ、彼の身体がちょっと熱いな・・・と思い、熱を測ると37.9度。

こちらが心配すると本人も心配するので「大丈夫だよ」と言いつつ、今日のアポのことが気になっていた。

23時頃だっただろうか、妻が帰ってきたので、ベッドから起き出してリビングに行き、子供の具合を説明し、再度、熱を測ると39.1度。

今までに何度も書いているのでご存知の方もいるかと思うが、妻の仕事は「臨床心理士」で、少々特殊な仕事なため、急な面談のキャンセルがし難いという事情がある。

そういう僕は、午前中はラソナの経営会議が入っており、午後は、この4月からお世話になっている法政ビジネススクールでとあるアポがあり、それらのことが気になって、昨夜はあまりよく眠れなかった。

今朝起きて、子供の熱を測ると38度。保育園は無理だ。

妻と相談をし、結局は僕の予定を調整することにした。

朝早くから関係各者に電話をし、お詫びをしたり、予定を再調整していただいたり・・・。

やはり、どちらかの両親が近くに住んでいたり、どちらかが仕事をしていない状況でないと、子供を育てていくのは大変である。

こういうことが起こる度に「病児保育」を検討しようかという話もするが、普段からそういうサービスや施設を利用していれば話は別かもしれないし、個人差もあると思うが、具合が悪く、ただでさえ精神的にナーバスになっている子供が、見知らぬ人や施設に預けられることをすんなりと受け入れるとは思えない。

彼がまだ1歳ちょっとの頃、どうにもならず、病児保育に一度だけ預けたことがあるが、38度以上の熱があるにも関わらず、僕らが迎えに行くまでに一睡もしなかったらしく、その数日後、肺炎になったことがある。

また、それから暫くは情緒不安定な日々が続いていて、僕はそのことが頭から離れなかった。

そんなことを考えると、経済的なことはさておき、2人目を・・・なんてことは非現実的である。

因みに、僕たち3人兄弟は、一緒に住んでいた父方の祖父母に育てられたわけであり、また、隣りの市に住んでいた叔母は、彼女の子供を僕らの祖父母に預けて仕事に行っていたりと、そういう環境が整っていたわけである。

特に、都会での子育ては経済的な負担が大きいのは事実だが、「子供手当」を支給することが「子育て環境」の「改善」に繋がるかというと、そうではないだろう。

「では、どうすればいいか?」と言われると、明確な解はないが、高度経済成長を通じて、様々な分野で進んだ「役割分担」のあり方を、これからの時代を見据えて、見直すことが必要なのだろう。

仕事のことでご迷惑をかけた方々にこの場を借りてお詫びを申し上げると共に、これからの「社会のあり方」を改めて考えたいと思う。

「心はいつもサレンダー、人生緩やかに流浪していきたい」。

今日は「えびばで号」なる一風変わった会社名のベンチャーを訪問した。

名前の由来は「Everybody Go!」。

一瞬、ギャグかよ?という感じの社名だが、経営しているのは、とてもマジメな熱い人達である。

社長の土屋さんはSFC出身(厳密には、4年生で中退!)で、その風貌に似つかわしくない?インテリジェンスの持ち主である。

アポのきっかけは、同社の創業メンバーのひとりである大西さんが僕のブログを読んでくれ、僕と土屋さんは価値観がとても似ていると思ってメールをくれたことだった。

ところで、iPhoneでGoogle Map を見ながら彼らのオフィスに向かう途中、ちょうど彼らのオフィス近辺に差し掛かった時、僕たち家族が住むマンションの開発会社から電話があった。

トイレの水道蛇口の横が、ちょうど壁紙の「張り合わせ」になっており、数ヶ月前から壁紙が剥がれてきており、施工を担当したゼネコン経由で、そのクレームをつけていた。

僕の常識では、「蛇口の横」に「壁紙の張り合わせ」をもってくるというのは、どう考えても「購入者(顧客)」のことを考えていないとしか思えない。

だって、手を洗う度に「壁紙の張り合わせ」のところに「水がかかる」わけであり、そんなことは、ちょっと考えれば(考えな���ても)分かることである。

実は、たまたま別件の「定期点検」で「ゼネコン」の方がいらしたので、状況を確認してもらったところ、「自分ではどういう対応をすればよいか判断ができないので、上司に確認して連絡をします」とのことだった。

しかし、一週間が過ぎても電話がないので僕から電話をしたところ、販売会社と言ったか、ディベロッパーと言ったかは覚えていないが、既に「連絡をしてある」という。

それこそ「僕の常識」では、偶然とはいうものの「自分が窓口」になっているわけで、自分から「これこれこういう対応をしましたので、これこれの方から連絡がいくと思います」という連絡をするのが筋だろうと思うのだが、そうではないらしい。

因みに、僕らが住んでいるマンションは、旧財閥系の大手ディベロッパーが建てたものだが、今回の件に限らず、対応が酷い。

とにかく、対応が「遅い」。

マンションの場合、「開発会社(ディベロッパー)」→「ゼネコン(建築施工)」→「子会社の販売会社」→「孫会社の管理会社」という「重層構造」になっており、その「バリューチェーン」の「頂点」に立つ「開発会社(ディベロッパー)」としては、とにかく「手離れ」をよくしたいのだろう。

また、バリューチェーンを構成する各社が、「責任」を取りたくない(面倒を引き受けたくない)のだろう。

いつもこうである。

僕が「蛇口横に壁紙の張り合わせを持ってくる」ということ自体が「常識では考えられない(僕らだって、壁紙が剥がれてきて初めてそのことに気がついた)」ので、とにかく「修理」して欲しいと言ったところ、「保証期間の2年を過ぎていますから、それは出来ません」のひと言だった。

現場を「確認」もせずにである。

尚かつ、「我々は壁紙の張り合わせの位置の指定はしていない(ゼネコンの判断でやったことであり、我々の責任ではない)」という。

そんな細かな指示を出すわけがないのは当然である。

でも、自分達が発注したゼネコンの仕事は、発注主の責任ではないだろうか?

クルマであれば、こちらからディーラーに持って行くことができるが、「マンション」はそういうわけにはいかないのである。

クルマより「一桁」多い金額のマンションを買っているにも関わらず、現場を確認しようともしない。

「企業のブランド」に「胡座(あぐら)」をかいているとしか思えない。

「競合」にあたる他の旧財閥系だったら、対応が違ったのでは?という淡い期待もある。

ところで、僕に電話をかけてきた方は、声の感じから50代半ばと思われる男性だった。

彼と話しても埒があかないと思ったので、彼の「上司」の名前を聞き、その方に直談判をさせてもらうと言って電話を切ったが、今回の件に関しては、実のところ、僕はもう諦めている。

それだけのエネルギーをかけてまでクレームをつけること自体がバカバカしいと思ったからである。

僕に電話をかけていた男性は「一流大学」を出て「一流企業」に入ったにも関わらず、50代半ばにもなって、こんな「壁紙一枚」のことでの「クレーム」対応をさせられて・・・と思っている「気の毒な人」なのだろうと思った方が、僕の「精神衛生上」はもとより、彼の「精神衛生上」もいいわけであり、「無駄な努力」は止めた方がいい、と思うことにした。

その方の「上司」にあたる方には電話をしようと思うが、今回はそこで止めておこうと思っている。

ところで、今日のエントリーは、こんな「下らない事」を書きたいわけではない。

「えびばで号」なるベンチャーのオフィスを後にして、地下鉄の駅に向かう途中、「BIG ISSUE(日本版)」販売員の男性と遭遇した。

その瞬間、「渋谷南口に立っている、いつものあのオジさんから買ってあげたいな(彼に悪いかな・・・)」と思い、その場を通り過ぎようとしたが、いつ渋谷南口に行くかも分からないし、何となく気になって、今日初めて会った彼から、最新号を買った。

ページを捲るとリレーインタビューというコーナーに俳優の「三上博史さん」が出ていた。

僕と同い年であり、彼(僕)が20代の頃から気になる俳優のひとりだった。

その彼のインタビュー記事の冒頭に、こんなことが書いてあった。

「転機なのかよくわからないけれど、40歳を過ぎた頃から、人生流れのままにゆだねようって考えるようになってきたんですよ。人生、自分で切り拓くなんて、実は幻想に過ぎなくて、素直に流れに従った方がいいんじゃないかってね。

 これって、かつての自分とは真逆の考え方。若い時はとにかくゴリゴリしてて、人生はすべて自分の責任で、世の中には黒と白、成功と失敗しかない。やりたいことやほしいものは、自分で手に入れるーそのためなら何でもするっていう勢いでしたからね。それが空回りしてうまくいかないことも多かったですよ」。

また、俳優として最初に仕事をした寺山修司さんに、あることで愚痴をこぼした時、「何もすることないんだろう、だったらやってみろよ」と言われたことの意味が、今になってよくわかるという。

「世の中、結末なんて誰にもわからない。予期せぬ人が現れたり、はかり知れないことが起こるかもしれない。あるいは何も起こらないかもしれないーよいことも悪いことも、すべては人間の意思を超えたところで起こるんですね。やれるだけやったら後は流れに従って天命を待つだけ。結局、最後はゆだねる。サレンダーしかない」。

「心はいつもサレンダー、人生緩やかに流浪していきたい」。

因みに、英語で「Surrender」は「降伏・降参」の意味だが、三上さんにとっては「自分のとらわれている価値観を一度明け渡し、流れに身を任せる感じに近いかな」ということらしい。

ドラッガーの言う「予期せぬ成功」に通ずるものがあるかもしれない。

彼のインタビュー記事が載っているとは知らずに買った「BIG ISSUE」もね・・・。