久しぶりの「小田急線」。

昨日は、大学時代に毎日お世話になっていた「小田急線」に、久しぶりに乗車した。

渋谷から「井の頭線」で「下北沢」まで行き、小田原方面行きの「小田急線」に乗り換えた。

新宿と下北沢の間は、過去数年で、一度や二度は乗車したことがあったと思うが、「成城学園」以西に向かったのは、記憶にないほど前になる。

「登戸」の駅がとてもキレイになり、「相模大野」に関しては、東横線の日吉のような感じになっており、隔世の感を覚えた。

でも、あれから「20年」以上も経っているわけであり、考えてみれば、当たり前のことである。

ところで、久しぶりに「小田急線」に乗ったのは、某電鉄グループ(ぼかす意味はないのだが)のある会議にお招きいただき、そこで講演をするためだった。

その会議は、各グループ企業の支店長や営業部長の方々が集まり、各グループの近況を共有し、懇親を深めることを目的としているものだった。

そこで、僕が話をさせていただいたことは、以下の3点である。

・組織にはなぜ、「目的」が必要か?
・「カルチャー(価値観)」は、組織の意思決定にどのような影響をもたらすか?
・「劣後順位(なすべきではないこと)」の決定はなぜ、難しく、なぜ、重要か?

本来、僕のような人間に話ができるようなテーマではないのだが、今回の講演内容を考えるプロセスにおいて、インタースコープはなぜ、あそこまで行ったが、あそこまでしか行けなかったのか?ドリームビジョンではなぜ、自分の思うような事業展開が出来ていないのか?を整理することができ、自分自身がもっとも勉強になった。

また、一個人として、日常生活において電車を利用していはいるが、「鉄道」というものを基盤とした「事業」に関しては、まったくの門外漢であったため、自分自身の「予習」として、主要な「鉄道グループ(4社)」をピックアップし、各社の財務諸表や決算資料等をもとに収益構造を分析したものを、講演の冒頭にお話させていただいた。

「鉄道」というものを基盤としつつも、グループによって、収益構造は大きく異なり、それはすなわち、マネジメント(経営戦略)の違いによるものであることを実感した。

話は変わるが、最近は死語となった感もある「Web2.0」時代を迎えて、「知識」の持つ価値が低下し、「知恵」がますます重要になるという論調があるかと思うが、僕は、それは、ミスリードのリスクが大きいと思う。

僕は、「知識」を入手するための「難易度」と要求される「努力」水準が低下したというべきだと思う。

むしろ、「知識=知見(成果を得るために必要な情報)」とするのであれば、その重要性はますます増大しており、それ無しには、いかなる「知恵」も持ち得ないと思う。

例えば、今の僕が持っている「知識」をもとにインタースコープなりドリームビジョンを創業したならば、結果は大きく異なっていたはずであるし、その自信がある。

ビジネススクールが提供する価値は、そこ、つまり、必要となる知識の「事前取得」にあるのだと思う。

しかし、個人差が大きいとは思うものの、その「知識」のもつ「意味」を、ビジネスなり経営の経験を踏まえずに、文字どおり「事前」に学ぶことと、それらの「経験を踏まえて学ぶ」のとでは、その理解と吸収力に大きな違いがあるように思う。

因みに、今回の講演の準備をしながら、巨人の「堀内投手(現役最後の頃)」が、デビュー間もない「槙原投手」に、「今の俺に、お前のスピード(150キロ)があったら、年間30勝はできる」と言っていたことを思い出した。

プロスポーツの世界であれば、肉体の衰えは如何ともし難いと思うが、ビジネスにおいては、経験から学んだ「知識」を活用することによって、加齢とともに衰えたものを補って余りある成果を出すことが、充分に可能だと思う。

ドラッガーが言うように、知識社会においては、ひとつの「事業の定義」が有効なのはせいぜい「10年」であり、組織の寿命よりも、(知識労働者としての)個人の寿命の方がはるかに長いわけであり、誰しもが「セカンドライフ」を必要とし、生涯に渡っての「学習」が必要である意味がそこにある。

ところで、マクロミルが、子会社の再編を含めて、事業構造を変えるという。

インターネットリサーチがビジネスになって約10年。

「顧客の情報収集(調査)に関わる時間とコストを激減する(スピードと低コスト)」という「事業の定義」が、それが達成されたが故に、陳腐化したのだと思う。

では、これからのインターネットリサーチ業界に求められるものは何か?

インターネットリサーチ業界発展の恩恵を受けたひとりとして、考えてみたいと思っている。