K-1 創始者 石井和義氏

高校生の頃、ある友人の影響で「極真空手」のファンになり、わざわざ郡山から上京し、12月の武道館で「極真空手」の世界大会を観たことがある。

その「極真空手」出身で、その後、ご自身で「正道会館」を設立され、さらには、格闘技を「メジャー」なスポーツにしたいとの想いで「K-1」を創られた、「石井和義」氏のお話を聞く機会に恵まれた。

昨日の「QM義塾社長大学」でのことである。

僕は「K-1」には興味はなく、石井さんのお名前も聞いたことがある程度でしかなかったが、普段はお会いする機会もない方のお話を聴いてみたいと思い、参加させていただいた。

ファンの方はよ~くご存知のことなのだろうが、石井さんは、法人税法違反、つまり「脱税」で、2007年から1年2ヶ月、「服役」されたことがある。

いわゆる「詐欺」に合った結果のことらしいが、しかし、そのプロセスにおいて、不適切な対応があったと、ご自身が仰っていた。

僕が勝手に期待していた「いかにも格闘家」という感じではなかったが、そんなご経験をされたからか、「腹が据わっている」というか、「静かな強さ」が感じられた。

ところで、「空手」は、野球やサッカーと異なり、ウエアや道具でビジネスをすることができず、「空手」をメジャーにするには、その「戦い(試合)」自体の生産性を上げる(商品価値を上げる)しかないと思ったことが、石井さんが「K-1」を創られた理由だったという。

そう言われてみれば、ボクシングにしても、同じことが言える。

さて、「K-1」という競技は、今や世界の「100箇所」以上でテレビ放映されており、スポーツビジネスとして、サッカーの「ワールドカップ」や自動車の「F-1」に匹敵するレベルとなっているそうだが、そんな派手な事業を創られた方にも関わらず、石井さんの話に派手さはなく、むしろ、「地味」なものだった。

特に、僕が考えさせられたのは、会場からの「K-1の経営に戻るつもりはないのですか?」という質問に対し、「自分が戻れば、誰かの席がなくなります。自分の仕事は、次の石井をつくることだと思っています」というひと言である。

つまり、後進に「自分の席を譲る」ということ。

そして、もうひとつ、「独房での生活は、結果として、自分と向き合うことになり、とても為になった」ということ。

人生で大切なことは「芯」だということ。

それが、石井さんのメッセージだと理解した。

但し、同じ話を聴いても、3年前の僕だったら、受け取ったものは違ったと思う。

チャンスを活かすのも、何かを学ぶのも、それを受け取る本人の問題だということだろう。

石井さんは、1953年生まれ。僕より、ちょうど10歳先輩である。

石井さんを講師として招いていただいたパソナの南部さんにも感謝である。