ロシアの「起業家精神」。

さて、今回のロシア出張も明日で終了。今回も、色々な会社を訪問し、色々な人たちと会い、色々な話を聞くことができた。

その中で最も印象に残ったのは、ある会社の創業者のひと言である。

彼は、1991年の大学(大学院だったかもしれない)卒業と同時に現在の会社を創業しているが、その年の12月25日にミハエル・ゴルバチョフが辞任し、それを契機としてソビエト連邦が崩壊したことを考えると、その後の彼の起業家人生は、並大抵の苦労ではなかったことは想像に難くない。

どこにも就職せず、いきなり起業した(それも、それまで共産主義だった国で)彼に、僕が「どうやって起業したのか?」と質問したところ、彼は「I studied(learned) from books. but, I learned from my life.」と答えた。

もちろん、本も読んだし、本からも勉強したが、その後の人生で苦労をしながら学んだことが自分の身になっている、彼はそう言いたかったのだと思う。

成功には幸運が付き物だと思うが、どの国でも、努力と苦労の上に今日の成功があるという当たり前のことを、改���て考えるきっかけをいただいた。

オフィシャルなMTGは無事、すべて終了。ホッとしたせいか、さすがにちょっと疲れが出た。

明日の午後、気をつけて日本に帰りたい。

ロシアの「少子化」問題。

昨日の午後、モスクワを発ち、夕方18時頃、ロシア第2の都市であるサンクトペテルブルグ(SPB)に到着。モスクワは晴れていたが、SPBは、みぞれ交じりの雪が降っていた。

ところで、SPBに来てから聞いた話だが、プーチンが大統領の頃、少子化対策として、第2子の出生に対し、250,000ルーブル(現在の為替レートで約75万円)を政府が補助するという「バウチャー(クーポンのようなもの)」制度をスタートしたという。

簡単に言うと、例えば、子供が大学に入学する祭に、その授業料をバウチャーの金額の範囲内で政府が負担するというもの。

用途は限られているが、そこまで待たなくても、制度上は、子供が生まれてすぐに使える対象もあるらしい。

しかし、ある人に言わせると、「Smart people don’t believe it.」とのこと。

ロシアでは1998年に、深刻な通貨危機を経験したこともあり、また、最近の世界的経済危機やルーブル安もあり、ルーブルという通貨の価値や、10年以上も先の政府の約束を信じられるはずがないという。

一方、その制度が施行されてから、子供の数は確実に増えているとのこと。

昨年5月に初めてロシアを訪れた時のエントリーでも書いたが、ロシアでは、ソ連崩壊とその後の混乱を経て、ようやくつかんだ「消費経済の恩恵」を享受することを優先し、子育て世代にあたる人たちが、子供を育てることよりも、消費生活を楽しむことを優先する傾向があるらしい。

また、そうではない人たちであっても、パブリックセクターでの教育や医療制度だけでは充分なサービスを受けることはできず、子供を育てるには「お金」がかかることも、少子化の一員になっているようである。

「ソビエト時代」の名残りと「21世紀(先進国並みの経済)」が共存するロシアでは、様々な社会制度上の問題を抱えている。

「年金問題」等に苦しむ日本も、ある意味で、似たような問題を抱えていると言えるだろう。

まだまだ、ほんの入口に立ったばかりだが、ロシアという国の輪郭が、少しずつ理解できてきた気がする。

モスクワの「マクドナルド」。

昨夜は、さすがに疲れて、10事半過ぎにベッドに入り、今朝4時半頃に目を覚ました。

そのままPCに向かい、現在、ロシア時間で3/18(水)朝の6時半過ぎ。

ところで、昨年5月に初めてロシアに来た時のエントリーでも紹介したが、「マクドナルド」はロシア人に人気である。

ロシア第1号店は、クレムリンの近くにある店舗。オープンは、1992年とのこと。

オープン当時は、大変な行列ができ、2~3時間待ちは当たり前だったようだ。中には、列に並んで、その順番を「売る」人もいたらしい。

因みに、日本のマクドナルド第1号店は、銀座4丁目にオープンした店舗で、1973年だと思うので、それから約20年遅れての出店ということになる。

1992年という年は、ソビエトが崩壊した直後であり、世の中はカオスの真っ只中だったはずである。

そこに「西側」の「文化の象徴」とも言えるマクドナルドが出店してきたことは、当時のロシアの人々にとって、かなりの衝撃だったに違いない。

「Most Criminal Age」と言われるほど荒廃していた1990年代を経て、2000年に入った頃からロシア経済はテイクオフし、現在に至っているわけだが、それは、西側先進諸国が「20年」をかけて今日に至った道のりを「5~6年」で達成しようとしている(事実、一部は達成されている)ということであり、そこに様々な歪みが生じているのは当然の帰結である。

以前のエントリーにも書いたが、今のロシアは「旧ソ連時代」の諸制度・生活と「21世紀」のそれらが、混在一体化している状況にある。

それが「活力」を生んでもいるし(若者には希望を与えている)、大きな「格差」を生んでもいる。

どこに光を当てるかで、この国のピクチャーはかなり違って見える。

帰国後に時間を作り、そのあたりのこと(ロシア社会の「光と影」)をまとめたいと思う。

追伸:モスクワの中心部に「カジノ」がある。しかし、モスクワ市長は、市からカジノを追い出そうとしているらしい。モスクワでは、カジノに嵌ってしまい、借金を重ね、家族が崩壊してしまうような人がたくさん発生し、社会問題になっていると聞いた。これも「急激な市場経済化」がもたらした「負の一面」なのだろう。

ロシアの「不良債権」。

モスクワで2日目の朝@ホテルのロビー。

インターネットにアクセスするPINコードにトラブルが発生し、接続に時間がかかる。前回のホテルよりも幾分安いホテルなので、そのぐらいのトラブルは仕方ないか?

昨日は、知り合いの会社を何社か訪問し、仕事の話はもちろんだが、ロシア経済に関するディスカッションをした。この国を理解する上で、とても有意義な議論ができた。

原油価格に大きく依存するロシア経済は、昨年秋ぐらいから、じわじわと後退してきているが、それでも、民間の消費は、それほど落ち込んではいないようだ。

初日に入ったレストランも昨夜のレストランも、そこそこのお客さんで賑わっている。

但し、問題になってきているのは、日本語でいう「不良債権」とのこと。

要するに、借金を返せなくなる人が増えてくるだろうということ。

構造は違うが、アメリカのサブプライムにも通ずる話である。

詳細なレポートは、また改めて。

3度目のモスクワ。

昨日17時過ぎ、無事にモスクワ(シェレメチェボ)空港に到着。予定時刻よりも30分早い到着でラッキーと思ったのも束の間、イミグレーションで1時間以上も待たされた。

因みに、昨年12月に来た時は、30分も待たずにイミグレを通過できた。どちらが正常なのか?よく分からない。

空港を出て、モスクワ市内に向かう。日曜日のせいか、道は空いていて、1時間弱でホテルに到着。

今回は、前々回と前回泊まったホテルとは別のホテルにトライ。クレムリンから近くにあり、周囲にはレストランもたくさんあり、便利なロケーション。

但し、ホテルの設備は今までのホテルの方がベター。ちょっと失敗したか・・・。何事も経験。

ところで、モスクワの経済は、日本で例えば「海の家」のようなもの。

夏と冬とでは、ホテルの宿泊料金が全然違う。

今回のホテルは比較材料がないので分からないが、過去2回泊まったホテルは、為替レート(ルーブルが激安になっている)の変化を差し引いても、12月は5月の「1/3」。為替レートの無視すると、なんと「1/4」である。

では、そろそろアポに出発。

追伸:デジカメの画像をPCに取り込むケーブルを忘れたため、在露中は、写真無しのエントリーにてご勘弁を!

3度目の「ロシア」。

昨年末のロシア出張でのことで書きそびれたことを書けないまま、今日からロシア出張。
まだまだ寒いロシアを堪能してきます。

「5円」のビニール袋。

本日夕方、ちょっとした食事を買うために、久しぶりに青山にある「ナチュラルハウス」に入った。

商品を手に取りレジに並ぶと「袋はどうされますか?」と訊かれたので、「お願いします」と答えると、「5円かかりますが、宜しいですか?」との返事が返ってきた。

金額自体はさておき、予想外の答えにびっくりした僕は「結構です」と答えた。

尚、後で気がついたことだが、お箸もついていなかった。

もし、これが普通のスーパーだったら、考えられないだろう。かなりの割合で、お客さんが競合(他店)に流れると思われる。

では、なぜ、ナチュラルハウスでは、それが出来ているのか?

それは、「ロイヤリティの高い固定客」が殆どだからだと思う。

因みに、ナチュラルハウス、いちご1パックが、なんと「980円」もする!!

普通のスーパーの倍の値段である。

たしかに、「オーガニック栽培」や「生産者の顔が見える商品」とは言え、それにしても高い。

僕には、とても買えないが、ナチュラルハウスが提供する「付加価値」に対価を支払う人たちが大勢いるのである。

大手スーパーであれば、1枚1円するかしないかのビニール袋だろうが、何万人というお客さんを相手にしていると、バカにならないコストである。

「ブランドロイヤリティ」は、こういうところでも効いてくるということだろう。