久しぶりの「新宿御苑」。

先日の日曜日は、久しぶりに「新宿御苑」に行った。最後に行ったのは、昨年の秋だったような気がする。

残念ながら、先日は天気はいまひとつで曇り空だったが、それでも、広大な敷地に敷き詰められた手入れの行き届いた「緑の芝生」と樹齢何十年という様々な樹木、そして、それらとのコントラストが効いている新宿の高層ビル群。

都会における静寂というか、自然というか、表現が難しいが、人々の心を静めてくれる空間がある。

New York のセントラルパークを思い出した。

前回来た時は、僕らの子供はまだよちよち歩きで、一人にしておくと何をするか分からず、また、長時間歩き続ける体力もなく、途中で眠ってしまった彼を、暑い中、僕が抱っこして歩く、ということがあったが、今回は、何かのオフ会の集団と仲良くなり、彼らが遊んでいた「シャボン玉」が気に入ったようで、一緒になって遊んだりと、成長が見て取れた。

東京の一角に、こんな素晴らしい場所がある。

経済効果だけでは計れない大きな価値を感じる。

「デジタルガレージ」という「文脈(コンテクスト)」。

デジタルガレージ(DG)は、林さんと、JOIこと伊藤穣一氏によって設立された、名前のとおり、常にインターネットの最前線を行くベンチャー企業である。

僕の記憶が正しければ、DGの設立は1995年。今年で13年目になる。

そのDGに関する特集記事が、昨日の日経ヴェリタスに見開きで掲載されていた。林さんたちの顔写真入りで、とてもよいIRになったと思う。

林さんと初めてお会いしたのは、2003年12月だったと思う。ある証券会社の方の紹介で、富ヶ谷にあるDGのオフィスを訪ねた時だった。

デジタルガレージという会社や林さんやJOIのことはメディアを通じて知っていたが、実際に林さんに会ってみると、思ったよりも「気さく」な人だった。

そんなことでご縁ができたわけだが、その後、2004年4月、当時の株主だったベンチャーキャピタルが保有するインタースコープ株式の一部をDGに譲渡してもらい、DGにインタースコープの筆頭株主になってもらうことになった。

2004年という年は、僕にとっては、忘れ難い年である。

インタースコープを創業する前の僕にとって、「JOI」は憧れの人でしかなかったが、その「JOI」と一緒に仕事をする機会に恵まれた。

それは、テクノラティという「ブログ検索エンジン」運営会社を日本にもってきて、DGとの合弁会社を設立しようというプロジェクトだった。テクノラティ本社のあるサンフランシスコに出張に行ったり、日本でのビジネスモデルを議論したりと、「JOI」との仕事はとても楽しかった。

そんなこともあり、僕は、林さんには、とても感謝をしている。また、是非、ゴルフでもご一緒させてもらえればと思っている。

さて、そのDGであるが、株式市場からの評価は決して良いとは言えない。

日経ヴェリタスに書いてあるとおり、子会社の「カカクコム(価格.com)」の時価総額よりも、親会社であるDGの方が時価総額が低いのである。林さんにとって、このことは、とても大きな精神的な負担になっていると思う。

このことも含めて、事業構造と財務体質を改善するため、DGは大きな構造変革を行う意思決定をした。興味のある方は、DGのIRページをご覧いただければと思うが、2年間続けた「純粋持株会社」としての「連結経営」に終止符を打ち、DGでいうところの「ソリューション事業」をDG本体に統合して、DGを「事業持株会社」とすることにした。

株式市場が、そのことをどう評価するか? DGにとって、とても大事な局面を迎えている。

さて、そのDGであるが、同じネットビジネスとは言え、ECやオンライントレード(オンライン証券)などのビジネスモデルと比較すると、分かり難さは否めない。

しかし、それは、DGのビジネスモデル(事業構造)の特徴である。

林さんの言葉を借りれば、DGは創業以来、常に「波打ち際」を走り続けており、つまり、ネットビジネスの最先端を模索し続けるのが「DGらしさ」であり、事業ポートフォリオに占める「研究開発・先行投資」が多い。その結果、数多くの「日本初」というビジネスを世に送り出してきている。

もうひとつ、DGがユニークなのは、林さんのいう「コンテクスト(文脈)経営」にある。

「人と人」や「事業と事業」「会社と会社」というように、その時代の求める「何か」を敏感に察知し、新たな「関係=価値(文脈)」を創造するという、その経営なり、事業運営のあり方そのものが、DGらしさなのだと思う。

その過程においては、失敗することもあり、人が集まっては離れて行く(僕もそのひとりである)ということが繰り返されるのだろうが、それが、ネットビジネスにおける「人脈(コンテクスト)」を創造することにも繋がり、それが、また、新しい「文脈(コンテクスト)」を生んで行くのだと思う。

人によっては、「DGは何をやろうとしているのか分からない」と映るようだが、林さんやJOIたちがやろうとしているのは、大きくはインターネットという領域において、「次の時代」が求める「コンテクスト(様々な関係)」を創っていくことであり、常に「新しい社会的価値」を創造していくということのように思う。

「定量的(時価総額)」には苦戦をしているかもしれないが、そこには「定量化できない価値」があると思う。

これからも、「コンテクスト経営」という「挑戦する生き方」を続けて行って欲しい。

歴史は繰り返す。

「Savings & Loans(米貯蓄金融機関)」の最大手が破綻。1980年代を思い出す。

金融技術は進化しても、人間という生き物は進化していない、ということだろう。

「歴史は繰り返す」というが、これはビジネスやマーケットだけでなく、人間の生き方そのものがそうなのだろう。

会社を替えても、あなたは変わら���い」。僕自身も含めて・・・。

海老根さんの言うとおりである。

ホリエモンの「存在価値」。

ドリームビジョンの元インターンの石川さんのブログで、堀江さんが「沈黙を破った」ことを知った。

今年8月7日からアメブロでブログを始め、9月8日には、IT Proというネットメディアの単独取材に応じている。

石川さんは、とてもマジメな青年で、彼が堀江さんを支持しているとは考えたこともなかったが、堀江さんの存在意義は、現体制下では、その恩恵に与っていない人達の「代弁者」ということなのだろう。

堀江さんは確かに頭の良い人だが、僕は彼のやり方には賛同はできない。

但し、ひとつだけ、彼の生き方を「見習いたい」と思うのは、「他人の評価」を気にしないところである。

自分の人生は、自分しか責任を取ってはくれない。

何の試合をしているのか?

さて、前回のエントリーで前振りした「何の試合をしているのか?」というひと言は、今年7月に福岡で行われた「Asia Innovation Initiative」というカンファレンスで、地元の起業家と出井さん、スタン・シー氏とのセッションでの出井さんの言葉である。

要するに、自分たちの「事業」を、どう定義するか?という意味である。

それによって、競合も違ってくるし、研究するマーケットも違ってくる。当然のことながら、自社の「強み」と「弱み」も違ってくるし、採用を強化すべき人材も違ってくる。

僕が何故、出井さんのひと言を思い出したのか?というと、今の僕に必要なのは、まさしく、その質問に対する答えを考えて、答えを出すことだと思ったからである。

インタースコープの頃は、それなりに、自社の事業を定義していたと思うが、マクロミルや、結果的に合併したインフォプラントと比較すると、それが曖昧だったと思う。

当たり前のことであるが、フォーカスがあまければ、ピンボケした写真になる。

事業にも同じことが言える。

そして、「人生そのもの」にも。

いったい、僕の人生は「何の試合」なのだろう?

その問いに答える必要性を強く感じている。

それが明確であれば、意思決定は簡単になる。

それが曖昧だから、迷うのである。

さすがに、もうそろそろ、この問いに対する明確な回答を出そうと思う。

その選択は「最短距離」か?

昨日のエントリーにも書いたとおり、昨夜は、法政大学ビジネススクールで客員教授としての初めての授業を行った。

計10回シリーズの授業で毎回、I.T.系ベンチャー企業の創業経営者をゲストにお迎えし、創業の背景や差別化戦略・拡大戦略、資金調達、人材採用・組織デザインに対する考え方等についてお話いただき、それをもとに質疑応答を行う。そして、学生の皆さんは、興味のある会社について分析し、自分が経営者だった場合の今後の戦略についてレポートを書く、というものだ。

初回は、ネットベンチャーの老舗である「カレン」の創業者であり、2年前に「Q Life」を創業した山内善行さんをゲストにお迎えし、2社の創業の背景や戦略、そして、生々しい事実を含めて、今日至る奇跡を語っていただいた。

当ビジネススクールの学生諸氏の約2/3が「自費」ということもあり、山内さんの講義の後の質疑応答は、かなり盛り上がった。真剣味が違うというのは、こういうことを言うのだろう。

ところで、山内さんの話しを聴いて、これは「凄いこと」だと思ったことは、カレンとQ Life では事業内容が大きく異なることから、自ずと「カルチャー」が異なることになり、山内さんは、それを見越して、QLife においては、カレンとは全く異なる「経営方針」を取った(ている)ということ。

ご存知の方も多いと思うが、カレンという会社は「ナレッジマネジメント」や「PDC」が得意な会社で、自社のノウハウをメソッドとして構築し、それを出版やセミナーという形で世に出すことにより、自社の知名度と評価を獲得してきたという経緯がある。

一方、Q Life においては、とにかく「スピード重視」で、常に、この選択は目的に対して「最短距離か?」を自問自答し、「PDC」は一切、行わず、管理コストを徹底的に省いているという。そして、それがリスクマネーを提供してくれた株主に対する「責任」だと、山内さんは言っていた。

因みに、Q Life は設立後2年にして、既に「医療情報の口コミ」サイトとして圧倒的「NO.1」の地位を獲得している。

ひとりの創業経営者が、これだけ異なる経営スタイルを取れるということに、僕は、山内さんの経営者としての高い能力を感じた。

それは、山内さんが持って生まれた「才能」の成せる技だと思うが、では、どうすれば、そのような才能が「開花」するのか?そのためには、どのような「環境」が必要なのか? また、ビジネススクールの客員教授という立場で考えた場合、どのような「教育メソッド」が有効なのか? ということを考えさせられた。

と同時に、元SONYの出井さんが言っていた、「何の試合をしているのか?」という一言を思い出した。

そのことについては、別のエントリーで書きたいと思う。

客員教授としての「初仕事」。

「台風一過」の青空があったのかないかの分からないが、今この瞬間の東京は、雨も上がり、雲の隙間から青空が覗いている。

この週末は、子供を連れて初めての温泉に行ったが、台風の影響でキャンセル客が多かったのか、他の客はまばらだった。

僕らが泊まった宿は、目の前に「外房の海」が広がっている素晴らしい温泉があり、僕たちにとってはそれだけでも来た甲斐があったが、僕らの子供は、それよりも、夕食に出てきた「船にのった刺身」にご満悦だった。

「すごいねー!!」という歓声を上げ、喜んで食べていた。

さて、週末の話はさておき、今日はこれから、法政大学ビジネススクールでの「初の授業」がある。

授業と言っても、僕の知り合いの「ネット系ベンチャーの創業経営者」の方にゲスト講師として講義をしていただき、それをもとに「Q&A」のセッションをするというワークショップ形式である。

僕の仕事は、授業のテーマに���り、最適なベンチャー経営者をリクルートすることと、講義の後の質疑応答(Q&A)のファシリテートである。それから大切なことがもうひとつ、受講生の方々のレポートを採点することである。

ということで、そろそろ「客員教授」の仕事に出発である。

受講生の皆さんにとって価値ある授業にするために、精一杯の対応をしたい。