レンタカーを洗車する人はいない。

昨年の12月から読み始めた「波乱の時代(アラン・グリーンスパン)」を、約1ヶ月前に読み終えた。上下刊を合わせると700頁以上あり、本を読むスピードが遅い僕は、約3ヶ月の時間を要した。

僕は決して読書家とは言えないが、「波乱の時代」は今まで読んだ本の中で五指に入ると言っても良い。僕は彼の本から、多くのことを学んだ。

インタースコープの個人株主のひとりだった方から、ブログで連載ものをやってみてはどうかと言われているので、近い将来、僕が「波乱の時代」から学んだことを何回かに分けて書いてみたいと思うが、ひとつだけ、今日のエントリーで紹介したい。

それは、「国の統治」に関するものだ。

グリーンスパンは自身の著作を通じて、「資本主義」経済が根付くには「法の支配」による「財産権の保護」が保証されていることが極めて重要だと主張している。

つまり、せっかく頑張って得た富を、政府に吸い上げられてしまうのでは、そもそもやるきが起きるはずがない、ということである。なるほど、ごもっともな主張である。

グリーンスパンはそうは言っていないが、国という存在を「企業」に見立てれば、「国王=オーナー経営者」であり、「大統領なり首相=雇われ経営者」ということになる。

そして、その国を潤すためには、より多くの「税金」が必要であり、その税金を払うのは「個人と法人」である。

つまり、「企業」にしても「個人」にしても、どの「国」で「働く(経済活動を営む)」ことが、自社(自分)の事業(生活)にとってメリットが大きいか?によって「本社(市民権)=納税国」を決めるのではないか?と僕は考える。

こんなことを言うと、企業はさておき、個人にはそんなことは当てはまらないと思われるかもしれないが、現に、僕の知り合いで、拠点(納税国)を「シンガポール」に移してしまった人がいる。

また、僕の世代の人は知っているだろうが、一時期、テニス界を席巻した「ビヨン・ボルグ」は、その納税率(額)の高さに嫌気が指して、スウェーデンから他の国に移住してしまった話しは有名である。

さて、「レンタカーを洗車する人はいない」という今日のタイトルは、世界的に著名な投資家である「ウォーレン・バフェット」の言葉である。

つまり、実際にオーナーかどうかは別として、「オーナー(当事者)意識が無い経営者」が自分が経営する会社を良くしようと思って難題に取り組むはずがないし、その企業のオーナー(=株主)を向いた経営をするはずがない、ということを言っているのである。

話しを「国」に戻すと、大統領なり首相が、その国が自分の「財産」だと思えば、事なかれ主義なり、派閥の論理に任せたり、任期を大過なく過ごそうとは思わないだろう。

そういう意味で、衆議院を解散してまで「郵政民営化」を実現しようとした小泉さんは「オーナー意識のある首相(政治家)」であると言える。

僕が物心ついて以降の首相では、「田中角栄」以来と言ってもよい、リーダーシップのある政治家だと思う。

中国問題や靖国参拝等での問題はあったにせよ。

そう、誰だって「レンタカー」を洗おうとは思わないのである。

創業者精神やオーナーシップが大切な理由は、そこにある。