「経営者の品格」。会社は何のために経営するのか?

先週の「点滴」事件以来、あまりに身体が辛いので、久しぶりにスポーツマッサージに行った。筋肉の「疲労回復力」がかなり低下しており、疲れやすい(疲れが取れない)のは当然ということだった。

「病は気から」と言うが「健全な肉体に、健全な精神が宿る」とも言うわけで、やはり、肉体的に健康であることが、とても大切である。精神論だけでは限界がある。

続けて3日ほど通ったところ、だいぶ身体が軽くなり、それに連れて、気持ちが「前向き」になってくるのが分かり、久しぶりに「自分らしい自分」を感じた。リンドバーグさんの言うとおりかもしれない(笑)。

さて、今日は「お約束」どおり、ドリームビジョンの女性陣を紹介したいと思う。

当社では現在、3人の女性スタッフが働いている。元々は3人とも、ビー・スタイルという、主婦に特化した派遣事業を行っているベンチャー企業からの派遣スタッフだった。

「だった」というのは、そのうちの2人は、パートタイムであることに変わりはないが、今年から、ドリームビジョンの直接雇用スタッフになったという意味である。

僕のブログを定期的に読んで下さっている方はご存知のとおり、当社は一昨年の秋に人材紹介業を開始、また、昨年秋から投資育成事業を���始した。しかし、経営的には安定軌道からは程遠く、毎日が試行錯誤の連続である。

そのような中、昨年の夏以降、当初の事業計画どおりに売上が上がらないのは何故なのか?その「阻害要因」を徹底的に解明するべく、すべての業務に関する見直し(BPR)を行ってきたところ、「無駄」な仕事や「非効率」的な仕事の仕方があることが解り、業務プロセスを大きく改造した。

その結果、経済合理的にドライに判断するのであれば、派遣スタッフは「3人」は必要ないという結論に達した。

因みに、3人の過去半年の勤務時間から計算した「実質稼働」は「1.61人/月」。BPRにより新しくデザインした業務プロセスで仕事を行えば、「1.0~1.25人/月」が適正な水準という計算になった。

今でも僕はそう信じているが、この問題は単なる「コスト削減」というテーマではなく、僕の「経営思想」に関する問題であり、ここで僕がどういう判断をするかは、イコール、僕がドリームビジョンをどういう会社にするのかを決めることであり、恒久的な問題だったと思っている。

創業期の会社において「人」に関する問題は、何よりも大きな意味を持っていると思う。

そもそも派遣スタッフを採用しようと思った理由は、上述のとおり、まだまだ試行錯誤の連続であり、どのようなスタッフが、どのぐらい必要かも分からず、フルタイムのスタッフを採用することができないためであり、業務プロセスの変更に柔軟に対応できるためだった。

そのような事情により、派遣契約も3ヶ月単位としており、契約を更新するしないは、当社と彼女たちの双方の意思で決める問題であり、どちらかの事情が変われば、それで仕方ないことだった。

それにも係らず、僕はこの件で、おそらく2~3ヶ月は悩んでいたと思う。

僕以外のフルタイムスタッフ(安田・泉谷・松本)とは何度も議論をしたが、それぞれ微妙に意見が異なっており、それがさらに、僕を悩ませた。

僕が出した結論は、3人にその意思があれば、3人とも契約を継続する、ということだった。

しかし、1.61人/月をキープするのは、どう考えても「経営とは言えない」のは明白であり、僕は、3人がそれを承諾するかどうかは別として、各人の出勤日数を、それまでの「75~80%」にしてもらうことにより契約を更新することを彼女たちに話しをし���みると、安田たちに話しをした。

結果は、彼女たちの1人は、とある事情により、フルタイムでの仕事を探したいということになり、他の2人も、それであれば、ドリームビジョンで働き続ける意味がない、ということになった。

話しは横道に逸れるが、ビー・スタイルの方の話しによると、昨今の景況感により、派遣スタッフの需給は逼迫しているらしく、彼女たちが望めば、フルタイム(派遣形態)の仕事を探すことは決して難しいことではないらしい。にも係らず、週2~4日程度の勤務を希望するのは、家庭の事情、その場合の多くは「子育て」の関係上、フルタイムで働くことはできない人たちだという。そして、そのような彼女たちの多くは、出産前はそれなりの仕事をしており、優秀な方が多いそうだ。

さて、当社で働いている3人に話しを戻すと、3人ともかなり遠方から通ってきており、「収入」だけを考えれば、自宅に近い場所で仕事をした方が、往復の時間も仕事ができ、むしろ、割がいいらしい。派遣スタッフの場合、交通費は自己負担である。

それにも係らず、ドリームビジョンで仕事をしているのは、色々な意味で仕事にやり甲斐があり、刺激になるからだそうだが、それでも、今よりも出勤日数が減るとなると、さすがに考えざるを得ない、ということだった。

僕はさらに悩んだ(笑)。

彼女たちとはひとりひとり面談をしたのだが、僕はその席で、こう提案をした。

「ビー・スタイルとの契約は更新せず、ドリームビジョンとの直接契約に変更する。そして、彼女たちが派遣会社から受け取っている金額以上の時給を支払い、尚かつ、交通費も会社負担とする。出勤日数は今までと同じか場合によっては増やしてもらう」。

彼女たちを直接雇用に切り替えるには、派遣会社に「紹介手数料」というものを支払う必要があるが、直接雇用後に彼女たちに払う時給が、派遣会社に払っていた金額よりも安ければ、上記の「紹介手数料」分を相殺した後は、彼女たちは手取りが増え、ドリームビジョンは支出が減る、という構造になり、どちらにとっても得になる。

しかし、3人の中のある女性が「でも、すぐに辞めちゃったら、どうするんですか?」と僕に質問をした。鋭い質問である(笑)。

そう、僕の試算だと、5ヶ月半で「紹介手数料」を相殺することになるので、それ以上、当社で働いてくれるという前提がなければ、この計算は成り立たないのである。まあ、そうなった場合は、僕が外の株主に陳謝するしかない(笑)。

そんな経緯があり、3人中2人は、ドリームビジョン直接雇用のスタッフとなり、もうひとりは、次の仕事(フルタイム)が決まるまでの2~3ヶ月、引き続き、派遣スタッフとして仕事をしてもらうことにした。

さて、話しは変わるが、直接雇用、平たく言えば、パートなりアルバイトとなった女性のひとりのご主人は、過去10年以上に渡り、走り高跳びの「日本記録」保持者だった方である。

記録的には「オリンピック」に出場する権利を持っていたにも係らず、日本オリンピック協会(JOC)の判断により、「走り高跳び」以外の種目が「優先」されてしまい、記録的には間違いなく出場資格があったにも係らず、他の「跳躍系」の種目の選手に、その「枠」を譲らざるを得なかったという。何とも残念な話しである。

以前に「水泳」でも似たようなことがあり波紋を呼んだことがあったそうだが、JOCの「判断基準」が「不透明」であり、要するに、商業的に分のいい、つまり、「人気���がある種目の方がオリンピックに出やすいという構造がある。

確かに、ビッグビジネスとなった現代のオリンピックを考えると仕方ないのかもしれないが、たまたま自分が選んだ競技が人気がなかったからという理由で、アスリートとしては才能に恵まれながらもオリンピックに出場できないというのは、何とも哀しいものがある。

オリンピックに出場したか否かでは、アスリートとしての「評価」が天と地ほどの差があるだろう。アスリートとしてのご主人は、体操の森末さんや塚原さんらに劣らない人物なのにも係らずにである。

このリストの中に、彼女のご主人の名前を発見した時は、自分のことのように嬉しかった。と同時に、悔しい思いにかられた。そう考えると、彼女のご主人と彼女の気持ちは痛いほど理解できる。

ところで、僕は「理念」に拘っているという話しは何回か前のエントリーで書いたとおりである。

ドリームビジョンの企業理念も、常に考え続けている。その結果、今現在のステイトメントもまだ歯切れが悪く、もっとシンプルに、もっとストレートに表現した方がいいと思うに至った。

こういうステイトメントに変更しようと思っている。

「挑戦する人」を創出し、広く社会に「勇気と自信と感動をもたらす事業=新しい社会的価値」を創造する。

起業する人に限らず、自分の妻を含めた子供を持つ働く女性も、将来的には、記録に挑戦するアスリートも、ミュージシャンや俳優、画家、イラストレーター等のアーティストも含めて、何かに「挑戦する人」を応援し、そのことにより「高い収益」をあげられる事業構造の会社にすることが、僕の「挑戦」である。