「成功し続ける経営者の条件」。

今日は年末の支払いを済ませた後、新宿のパークハイアットで、ある方とランチをご一緒した。

因みに、まだまだ弱小のドリームビジョンでは経理担当者はおらず、僕が支払い関係も担当している。

ところで、ランチをご一緒した「ある方」とは、彼女が学生の頃に知り合った。

彼女が、ある学生団体の代表をされていた頃、インタースコープの経営者として、その団体が主催するイベントに参加させていただいたことが縁だった。

まだ20代にも係わらず、「人間」という存在に対する深い洞察や「死生観」というものがとても発達しており、逆の意味で年齢を感じさせない人だ。彼女と話をしていると、僕自身が勉強になることが多い。

お互いの生き方や仕事観について話をしたが、お陰で、ここ数日、乱れ気味だった、自分の心を鎮めることができた。

ところで、一昨日の日経新聞の夕刊から、DeNA南場さんのインタビュー記事の連載が始まった。因みに、彼女の前は、チューリップの財津和夫さんだった。

南場さんの記事を読んでいて、改めて、この人は凄い人だと思った。

DeNAが未公開ベンチャーだった頃や公開して間もない頃に、ベンチャー関連のイベントで何度かお会いしたことがあるが、日本を代表するベンチャー企業の経営者となった今は、僕とは生きている世界が違う。

その南場さんは、「私は社内で『私、アホです』ってカミングアウトしっぱなしです。コンサルタント会社の時は、頭が良いふりをする必要がありましたが、事業を始めてみて、そんなことをしても何の得もないことが分かりました」と仰っていたが、言うまでもなく、それは謙遜以外のナニモノでもないだろう。

彼女が「アホ」であれば、世の中の99%は「アホ」になってしまう。

でも、たしかに、彼女は飾りっ気がない。

僕は、マッキンゼー時代の彼女は知らないが、今の彼女は、とても自分に素直に、自然体で生きているのだろう。

さて、その南場さんのお父さんは、新潟(彼女の実家)で事業を行っていたらしい。とても古風で厳格な方だったそうだ。

彼女がDeNAを創めて何年目かのことらしいが、会社は赤字続きで(そのことはベンチャー企業仲間では有名な話だ)、南場さん個人の銀行預金残高が「ゼロ」になった時があったという。

その何年か前に、お母さんが病気で倒れて、その看病で大変だろうと実家に仕送りをしていたそうだが、お金がなくなってその仕送りが出来なくなってしまった時、お父さんからお叱りの言葉と一緒に「200万円の小切手」が送られてきたそうだ。

手元に新聞がないので正確な文章はわからないが、「達成感や成長は、苦労の大きさに比例するので、頑張りなさい」という趣旨のことが、お父さんの手紙には書いてあったらしい。

そういうドラマチックなことが起きることも含めて、彼女の「生き方」というか「存在」は、人々に勇気や自信をもたらしているように思う。

さて、話しは変わるが、ライブレボリューションの増永さんが発行するプレジデントビジョンの今年最終号に、いつもの経営者インタビューに代えて、「成功し続ける経営者の条件」と題して、彼自身の今年一年を振り返っての感想が書いてあった。

「成功し続ける経営者の条件」。

何とも凄いタイトルに物怖じしつつ、ざざっと斜め読みをしてみたところ、彼がインタビューしてきた経営者の方々の中でも成功し続けている方に共通していることは、「経営が好きだ」ということだという。

世の中には、カネや名誉のために事業を興し、経営者となる人がいると思うが、そういう人は、一度、ある程度のお金や名誉を手に入れてしまうと、現場や顧客を顧みなくなってしまうと、増永さんは書いていた。

たしかに、一理あると思う。

では、僕はどうかというと、わざわざこうしてブログで書くまでもない。成功とは程遠い。

そんな僕だが、今年一年を振り返ってみて思うのは、100人の組織から、たった7~8人の組織に戻ったお陰で、経営というものの何たるかを、ほんの少しではあるが理解できるようになったように思っている。

特に、ここ2ヶ月は、会社の現状、将来について、とても悩み、考え、メンバーと議論を重ねてきたが、そのプロセスを通じて、少しずつではあるが、会社としての求心力や一体感が醸成されてきたと思う。

ひと頃のエントリーでしばしば書いていた「Unfinished Business(終っていない宿題)」を、この調子で頑張っていけば、終らせることができるかも?しれない。

またまた話しは変わるが、紀伊国屋書店に電話して取り置いてもらって買ってきた「Voice(PHP)」という雑誌で、「進化するリーダーシップ」と題する、田坂広志さんと増田宗昭さん(CCC社長)、新浪剛史さん(ローソン社長)の対談記事を読んだ。

その記事の最後に「対談を終えて」として田坂さんの論考が掲載されていたが、新浪さんの「夜も眠れぬ日々がある」という発言を紹介して、「その言葉は、企業の進化とは、経営者の心の深化であることを教えてくれる」と結んでいる。

まだまだ会社とは言えない、とてもちっぽけな会社ではあるが、安田・泉谷・松本という、とても個性的で優秀な彼らが、それぞれの能力を存分に発揮し、充実した人生が送れる会社にできるよう、これからも物事を「割り切らず」、むしろ、積極的に悩んでいこうと思う。

ところで、ランチをご一緒した彼女は、「怖いときほど前に出る」と言っていた。

僕も頑張ってみるか?