最後の取締役会議。

今日は僕にとって最後のインタースコープの取締役会議だった。

昨年3月いっぱいで取締役は退任していたが、創業者であり大株主ということで、オブザーバーとして出席させてもらっていた。それも、今月で最後である。

2000年3月にインタースコープを創業してから、丸7年。とても貴重な経験をさせていただいた。心から感謝をしている。

僕と山川さんでやってきた「インターネットリサーチ1.0時代」は終了で、これからの「インターネットリサーチ2.0時代」を築いていって欲しいと思う。

元「伊藤忠商事」の添田さん

添田さんと初めて会ったのは、昨年末にジョブウェブと一緒に開催したベンチャーズサロンという交流会だった。

彼は、大阪大学を卒業後、伊藤忠商事に入社し、機械カンパニーに配属され、若いにも関らず、ダイナミックな仕事をしていたようである。にも関らず、自分でやりたいと思っていた仕事(部署)が無くなると分かると、何の躊躇もなく、誰もが羨む「総合商社」を飛び出して、女優の山口もえさんとの結婚で話題を振りまいた尾関さんと一緒に「Zeel(メンズアパレルのEC)」の創業に携わった。

売上は順調に推移していたようだが、考えるところがあったようで、先月24日に、新会社を立ち上げた。

その社名がとてもイケている。「XDREAM(エクスドリーム)」。

X-Dream という言葉には、添田さんの「想い」が込められており、彼の人間性が伝わってくる。

そう、本気で夢みたことしか実現しないのである。

追伸:今夜(ふたりとも既に、チョコレート市場からはデリートされている)は、インフォプラントの大谷さんとふたりで、経済会の某重鎮に対して熱いプレゼンをする予定である。テーマはもちろん、八戸を日本のシリコンバレーにする!!!

「梅祭り」で想う「商店街」の役割り。

昨日は、子供を連れて「梅祭り」期間中の羽根木公園(世田谷区)に行ってきた。梅の花は「三分咲き」だったが、大勢の人で賑わっていた。

僕らのお目当ては、梅の花もさることながら、出店で販売されている「焼きそば・たこ焼き・甘酒」だった。

出店は3つあったが、それらは地元の「商店街」が出しているらしく、そこで働いているのは、その商店街の人達のようだった。都会では「地域の繋がり」が希薄になりつつあるが、羽根木公園周辺(東松原駅と梅が丘駅)の商店街では、まだまだ、地元の人どおしの交流があるようだ。

なんとなく「温かい」ものを感じた。

都会の良さは「他所者(よそもの)」を受け入れるところでもあるが、どこの誰がどんな仕事をしているのか?をお互いに知っているということが、治安の良い地域づくりに繋がり、子供達を非行から守る役割を果たすように思う。

利便性を追求した結果、失ったものがあり、それを補填するために多くの税金を使うことになる。

今の世の中は、そんな「矛盾」が多いような気がする。

「成功」とは何か?

NPO法人ETICが主催する「STYLE」という「ソーシャルベンチャー(社会起業家)ビジネスプラン・コンペティション」がある。その審査員として、今年も参加させていただいた。4回目となる今年は昨日(2/10)、代官山(東京都渋谷区)にて開催された。

「社会起業家」とは、営利を一義的目的とするのではなく、社会的な問題を解決するために、行政に頼るのではなく、自ら事業を興す人のことを指す。

その社会起業家を対象としたビジネスプラン・コンペティションである「STYLE」の審査員として、僕は初年度から参加させていただいている。とても幸せであり、光栄なことだと想っている。

審査委員長は「田坂広志さん」。審査委員(ジャッジ&メンター)には、サンブリッジCEOのアレン・マイナーさん、従業員650人を擁する「介護事業」を経営する石川治江さん、日本における「インターネットの父」と言われる慶応義塾大学の村井純さん、リクルート出身で現在はNPOの経営指導を行っている川北秀人さん、リサイクル事業の第一人者の野坂英吾さん等、錚々たる方々である。そのような方々と一緒に審査員として一日を過ごすことができることに、とても感謝している。

「STYLE」に参加させていただくことで毎年、様々な発見があり、多くの気づきや学びがある。

「成功とは何か?」ということを改めて考えさせられたことが、今年の最大の収穫である。

そして、今の自分には「消化できないこと」は無理に消化しようとする必要はなく、消化できる時が来るまで、その課題と付き合っていけばよいと思えたことである。

この社会は「矛盾」に満ちていて、その矛盾は僕を含めた「人間のエゴイズム」に起因しているのではないかと思う。僕は、その矛盾を解決する術を知らないし、きっと解決できないと思う。

そして、今年のSTYLEを総括する言葉として、審査委員長の田坂さんが最後にスピーチされた内容は、とても示唆に富んだ内容だった。

「この地球上で65億人の人がいて、次の5つの条件を満たす人がどれだけいるでしょうか。60年戦争の無い時代を生きていて、世界第2位の経済大国で、科学技術は最先端で、高齢化社会が悩みとなるほど長寿で、誰もが高等教育を受けられる。我々は、ノブリス・オブリージュという言葉の意味を書き換えなくてはいけません。高貴なものが抱くべき義務という意味から、『恵まれたものが持つ義務』という意味へ」。

テーブルの「あちら側」と「こちら側」。

昨年の秋から「人材紹介」事業を始めたが、4ヶ月目にしてようやく「単月黒字」を達成した。先月の臨時株主総会で取締役に就任した創業メンバーの安田の頑張りのお陰である。まだまだ脆弱な経営基盤だが、単年度黒字に達成に向けて自信が深まった。

ところで、この仕事を始めたことで、初めて「感じたこと」と得られた「視点」がある。それは、自分の「立場が変わった」ことで気づいたことだ。

インタースコープを創業した頃の僕は「投資対象(企業の経営者)」として見られていたわけだが、今の僕は、投資ビジネスをしているわけではないものの、逆の立場でベンチャー企業の経営者と向き合うことが多い。

つまり、ベンチャー企業の経営者と「テーブル」を挟んで「あちら側」と「こちら側」とで話しをする際に、以前とは立場が違っているという意味である。

そのことにより気づいたこと&得られたことのひとつは、まだ30代で若かった頃(失ったもの)に対する郷愁を覚えること、もうひとつは、成長するベンチャー企業に必要な要素が、自分なりに理解できてきたような気がすることである。

僕が将来やりたいと思っている事業に対して、とても貴重な経験をしていると感じている。

数年後に振り返った時、そう思えるように「今」を頑張りたい。

静かな心、忍の心、最後の5分。

今日のタイトルは、僕が昨年の自分に言い聞かせていた言葉である。

「静かな心」というのは、プロゴルファーの宮里藍選手が言っていたもの。「無心」「無欲」で「自分のショットを」打つということだろう。

「忍の心」と「最後の5分」というのは自分で考えたものだが、明治神宮に参拝する度に引くおみくじに書いてあったことをベースに自分へのメッセージにした。

ところで、昨日の日経新聞の夕刊に「安田暎胤(やすだえいいん)」という仏教家(宗教家)の方のインタビュー記事が載っていた。

健やかに生きるには、「5つの心が大切である」と説いている。

「感謝の心」「思いやりの心」「敬う心」「赦す(ゆるす)心」「詫びる心」の5つだそうだ。

その中でも、「赦す(ゆるす)心」「詫びる心」が難しいと言っている。たしかにそう思う。そして、人を赦すことができれば「自分の心を解放し、心の安らぎを得る道」につながると説いている。

1971年のことらしいが、松下幸之助さんが、安田暎胤さんの兄弟子のような存在だった方の講演を聴き、「経済の調子はええが、心の教育が足りません。一肌脱いでくれませんか」と頼みにきたらしい。

また、三木武夫元総理は、「法律という網を作って不正や悪事を防ぎ、健全な社会を築くのが政治家の仕事だが、どうしても『網の目』をくぐろうとする者が出てくる。宗教家は網の目をくぐらない人間を育てて欲しい」と言われたらしい。

僕は「物欲」もあるし「経済的成功」を収めたいと思うし、「名誉欲」もある。

でも、そういう「心」を忘れないで生きていきたいと思う。

追伸:今年の「言葉」を考えていなかった。これを機に考えようと思う。

ブログの「社会的意味と責任」。

東大生の家庭の「世帯年収」に関する統計データに言及したエントリーに対して、インタースコープの社員の方々からコメントをいただいた。

さすがは、統計のプロの人たちなので、的確なコメントと指摘が書き込まれている。

以前に、デジタルガレージ共同創業者の伊藤穣一氏(通称JOI)と仕事をしていた時、ブログ発祥のアメリカや欧州のブロガーたちは、間違った情報や別の見方もできる意見を書いていると、その記事に対して、様々なコメントや意見や批判をしてくる、そして、結果的に「民意が反映された記事」になっていく、と言っていた。

そのこと(JOIのいう仕組みや現象と自分の社会的責任)を今回のエントリーで実感した。