「自由が丘」の午後。

今月末にドリームビジョンのオフィスを移転することになった。

場所は「原宿」。

僕が初めて起業した時にオフィスを借りたのも原宿だった。ある意味で僕の起業家人生の原点でもある。

そんなことで、今週末は、会議室で使うテーブルのセットと僕の机と椅子を探していた。

単なる事務机ではなくデザイン性に優れているオフィス家具は値段が高く、今のドリームビジョンの財務体力ではとても買えないので、オフィスでも使えそうな住宅用のものを探しに、昨日は渋谷のロフト、新宿の in the Room(丸井)、今日は目黒通り沿いのインテリアショップ、自由が丘のFranc Franc を見に行った。

安くあげようと思えばアスクル等で買えば済むが、これから「人材紹介業」を立ち上げるので、キャンディデイト(転職を検討している人)が転職に際して「夢」を感じられる雰囲気のインテリアでないとマズいので、リーズナブルで質感の良く、尚かつ、オフィスで使っても違和感の無いものを探すことにした。

因みに、当然のことながら子供を連れてのお店回りは結構大変である。途中でぐずったり、ミルクをあげたりすることを考えて、完全装備でのお出掛けである(笑)。

その甲斐があってか、来客用のMTGテーブルは、Franc Franc で見つかった。自分の机は、値段と品質のバランスが良いものがなく、自宅に帰ってきてから通販カタログをみて、何とか見つけることができた。

そんなことで忙しい週末だった。

ところで、今日の午後、自由が丘で遅いランチを食べようと入ったお店の前で、画家と思しき女性が、連れの女性が弾くアコーディオンが奏でる音色に合わせて、道行く人々の「似顔絵」を書いていた。

場所柄、子供連れの母親が多く、親バカな彼女達を狙っての「大道芸(有料)」をしていた。弾���ていた曲はフランスの民謡のような感じだった。

彼女は結婚しているのだろうか? 美大を出ているのだろうか? どのぐらいの収入になるのだろうか? そんなことを考えつつ、悠生をあやしながらお昼(カレーライス)を食べていた。

と同時に、そういう考え方は「経済的豊かさ=幸せの必須条件」という前提に立っており、ついついステレオタイプな考え方をしてしまう自分を振り返っていた。

「自分らしく生きる」ということが、僕自身のテーマでもあり、ドリームビジョンのテーマでもある。

幸せの条件は、その人によって異なると思うが、色々な国に行ってみたり、好きな車に乗ったりと、僕にとってやりたいことを実現するには、どうしてもある程度のお金が必要になる。

また、ブログにも何度か書いたように、僕は30代の半ばに物凄い貧乏な生活をしてきており、お金が無い生活の惨めさを散々味わってきたせいか、とにかく、どんな仕事に対しても、無意識のうちに「経済価値」を考える癖がついている。

そのくせ、インタースコープを辞めて、わざわざ好き好んで「苦労」をしているわけで、何とも矛盾した生き方をしているとも言える。

人間は何かを諦めれば、何かを得ることができる。

似顔絵を描いていた女性の生き方(活き活きとした表情をしていた)をみて、自分はいったい何を最も大切にしているのか?ということを改めて考えた午後だった。

サイバーエージェントの藤田さんとの出会い。

藤田さんと初めて会ったのは、彼がサイバーエージェントを創業して間もない1998年の秋だったと思う。

たまたま、僕が当時経営していた会社に、彼らがお客さん宛に送ったはずのFAX(企画書&見積書)が間違って送られてきた。

それを見て、「このままにしておいては困るだろうな・・・」と思い、彼らに電話をしたのがきっかけだった。僕が電話をしたところ、とても恐縮していたが、おもしろそうな会社だと思い、先方のオフィスを訪ねることにした。

当時のサイバーエージェントは、原宿の京セラビルの前にあるビル(明治通り沿い)の8階にあった。1階に、FILAのお店が入っていた。広さは20坪ぐらいだったと思う。

藤田さんが書いた「渋谷ではたらく社長の告白」という本にも書いてある、ベージュ色のソファーが置いてあった。そこに、藤田さんと僕とで斜め横向きの位置に座り、お互いの会社の話しをした。

その時だったか、その後だったかは覚えていないが、サイバーエージェントの躍進の原動力となった「サイバークリック」のシステムを見せてもらい、「この会社は間違いなく伸びるな!!!」と思った。その時の僕にお金があったら、間違いなく投資していたと思う。もちろん、第三者割当をしてもらえればであるが(笑)。そのぐらい印象的な出会いだった。

藤田さんとは微妙な縁があると思う。

サイバーエージェントが急成長をし、明治通り沿いのビルを出て、表参道と青山通りの交差点からすぐの入来ビルに越した直後、あることで相談にのって欲しいと言われて伺ったことがある。インターネットリサーチのビジネスに興味があり、一緒に出来ないか?ということだった。

当時の僕は、インタースコープを立ち上げる前で、後に一緒にインタースコープを立ち上げた山川さんが経営していた会社と僕の会社(それぞれチッポケなマンションベンチャーだった)でインターネットリサーチ事業の立ち上げをしていた頃だったが、藤田さんが要求するスケールには応えられないと思い、残念ではあるが、その相談にはのれなかった。今にして思うと、その時に、どこからか資金調達をし、そのオファーにのっていれば、今頃はまったく違った人生を送っていたかもしれないと思う。

藤田さんとは僕がインタースコープを立ち上げた後も交流が続き、一時期はインターネットリサーチ事業で提携をしていたこともある。また、僕が創業に携わっていたウェブクルー(保険スクエアbang ! という保険の見積もり比較サイトの運営会社)にサイバーエージェントが出資(上場した後)してくれていたこともあり、ビジネスでの交流があった。

もうひとつ、奇妙な縁がある。

先に書いたサイバークリックは、実はバリュークリック・ジャパンという会社が運営していたモデルを参考にしたもので、尚かつ、サイバーエージェントはバリュークリックの「販売代理店」をしていた。要するに、販売代理店をやめて自社でシステムを開発したわけだ。そのシステムを開発したのが、当時、オン・ザ・エッヂを経営していた堀江さんである。

因みに、バリュークリック・ジャパンの創業者であるジョナサン・ヘンドリックセンは、ドリームビジョンの取締役になってくれている。

なんとも不思議な関係である。

その藤田さんに先日、ドリームビジョン(法政大学ビジネススクールと提携)で行っているオープン講座にゲスト講師としていらして頂けないか?というメールを送ったところ、ふたつ返事で快諾してくれた。

10/16(月)19:00~21:10、法政大学ビジネススクールにて開催されるオープン講座にいらして頂けることになった。

ところで、余談であるが、藤田さんに関してもうひとつ印象に残っていることがある。

上場して暫くした頃にマークシティのオフィスを訪ねた時の「表情」である。とても疲れ切った顔をしていた。後になって藤田さんの本を読んで知ったが、村上さん(村上ファンド)やGMOの熊谷さんにプレッシャーをかけられていた頃だった。

いつだったか、その話しをしたら、「あの頃は若かったですからね」と言って笑っていた。

今や日本のネットベンチャーを代表する創業経営者である。

その藤田さんがどんな話しをしてくれるのか? 僕自身、とても楽しみである。

ライブレボリューションの増永さん

僕の好きな「ナナロク世代」の起業家のひとりに、ライブレボリューションの増永さんという方がいる。

彼からは、教わることが多い。

彼のブログで僕のことをご紹介頂いたことがあるが、彼と知り合ったのは、2003年の秋だったと思う。彼の会社で発行しているプレジデントビジョンというメルマガで取材して頂いた頃だ

彼のブログの中でも触れられているが、僕は個人株主として、とても小額ではあるが、ライブレボリューション(というよりも増永さん)を応援させて頂いている。

彼の会社に出資をさせて頂く際には、もちろん、事業計画書を拝見させて頂いたが、僕にとってそれは判断材料にはなっていなかった。

僕自身が起業家の端くれとして、投資家から資金調達をして会社を経営してきたので身を以て経験してきているが、どんなビジネスも事業計画どおりに行くことは、まず、あり得ない。

大切なことは、その起業家なり経営者が、めまぐるしく変わる状況に対して、臨機応変に対応できるかどうかだと思う。そして、どんな困難があっても、やりぬく「強い意志」があるかどうかである。

事実として、ライブレボリューションも、ある新規事業が軌道に乗らず、撤退した経緯がある。

しかし、その決断が功を奏して、まったく別の事業で急成長をしている。

要するに、ビジネスモデルや事業計画に投資するのではなく、起業家自身に投資するのである。

僕はベンチャーキャピタル(VC)事業を行ったことはないので詳しくは知らないが、シリコンバレーのVCは「経営チーム(起業家とその仲間)」に投資をするらしい。つまり、「人」が投資に際する「判断基準」だということである。

投資の世界というと、ROI、PER、DCF、EBITDA等、難しいアルファベットが頻繁に出てくるが、その裏側には、もっと「泥臭い人間模様」があるのだと思う。

そして、僕は、そういう「人と人との出会いと繋がり」を大切にしていきたいと思う。これからも。

初めての誕生日。

今日は僕らの子供(悠生)の初めて誕生日、つまり、満1才になる。

当たり前の話しだが、昨年まではこの世に存在していなかった命であり、僕らにとっては新しい家族である。余談だが、名前(悠生)はどうやらヒットの予感!!!

先程、夜中に起きて来て、おむつを替えたり、少々あやしていたが、自分のDNAを受け継いでいる別の個性(命)であることが、何とも不思議な感じがする。子供がいらっしゃる方にはご理解頂ける感覚ではないだろうか。

最近、色々と考えることがある。

悠生が生まれる前までの僕の人生は、極端に言ってしまえば、自分のキャリアのことしか考えてこなかった。

正確に言うと、28才で起業してから40才ぐらいまでは、ベンチャー企業を立ち上げる&経営するということもあり、他のことを考える精神的な余裕が無かった。

それが、僕が40才になるかならないかの頃、妻が大学に編入したいと言い出したことがきっかけで、初めて彼女の人生を考える、多少カッコよく言えば、僕に何が手伝えるか?を考えるようになった。

でも、それでもまだ我々夫婦だけのことであり、お互いに大人なわけで、自分の人生には自分で責任を持つのが大前提であり、特に、何らかの責任のようなものは感じてはいなかったと思う。

しかし、子供が生まれたことにより、さらに正確に言えば、悠生が笑ったり、はいはいをしたり、つかまり立ち歩きをしたり、言葉にならない言葉を発するようになったりと、だんだん一人の人間としての「人格」が形成されてくるに連れて、彼が大人になるまでに、まだ、20年近くもあり、それまで親としての責任を果たす必要があることを、リアリティを持って実感するようになった。

きっと個人差が大きいのだと思うが、これは、僕にとっては大きな変化である。

子供が生まれたことと関係があるかどうかは分からないが、起業ということや会社を経営するということに関しても、考え方が変わったような気がする。

せっかく軌道に乗ったインタースコープを退任し、その前年には子供が生まれ、今年の春からは新しい会社の立ち上げに奔走し、安定というものとは程遠い生活を送っている。

時々、弱気になったりもするが、強い「意志」を持って生きていこうと思う。

「泥臭さ」が足りない。

僕が社外取締役をしているラソナの顧問をされている中さんという方がいる。若い頃に松下電器で働き、松下幸之助さんの薫陶を受けられた方である。

松下電器を退職された後は、経営コンサルティングをされたり、出版社の社長をされたりして、現在は、事業再生やM&A等のコンサルティングを行う会社を経営される傍ら、たくさんの会社の顧問をされている。

その中さんが本日、ドリームビジョンのオフィスに遊びにきてくれた。

中さんから頂いたアドバイスは、ドリームビジョンの事業ドメインや構想は「キレイ」にまとまり過ぎていて、「泥臭さ」が足りないということだった。

ベンチャー企業というのは創業者のキャラクターが色濃く出るものだが、ご指摘のとおりである。

僕自身のキャラクターとして、そういう面が足りないことは、よく分かっていた。

それは、僕が子供の頃からのことであり、父親が総合病院の事務長をしていたり、母親が教師をしていたこともあり、いわゆる「泥臭さ」とは遠い家庭環境にあったことが影響していると思っている。

この先、未公開のベンチャー企業を中心とした「人材紹介事業」を立ち上げていく予定であるが、それに際しても、中さんに指摘された「泥臭さ」が必要になるような気がする。

しかし、人間は誰しも「向き不向き」や「適性」というものがあるので、無理に自分を変える必要もないし、変えられることと変えられないことがあると思う。

その一方、自分には「泥臭さ」が足りないこと、ともすると「お上品」にまとまってしまう傾向があることを「自覚」しているかいないかでは、大きな違いがあることも事実である。

今日の中さんのアドバイスは、僕個人に留まらず、今後のドリームビジョンにとって、大きなメッセージになった気がしている。

ウノウ

しばらく前になるが、僕のブログにトラックバックを貼ってくれた「ウノウ」という会社を経営している「山田さん」という人がいる。

堀江さんの影響か、ネットベンチャー=拝金主義のように思われたりしているが(実際、そういう人もたくさんいるだろう)、彼が僕のブログ(オプトの鉢嶺氏のことを書いたエントリー)を受けてコメントしていることは、とても素晴らしく、拝金主義とは縁遠い。

そういう人がいるということを知って欲しいと思い、今日のエントリーで書くことにした。

彼が僕のブログにトラックバックしてくれたお陰で、もうひとつ、オモシロい事実を知ることができた。

サイバーエージェントの創業メンバーとしてアルバイトから参加した「石川さん」という人がいる。藤田さんが書いた「渋谷で働く社長の告白」にも登場している方だ。

当時の石川さんは、千葉大学の大学院に通っていたが、藤田さんに誘われてサイバーエージェントに「第1号」社員として入社された。

僕は、ひょんな縁からサイバーエージェントを創業して間もない頃に藤田さんと知り合い、当時のオフィス(明治通り沿いで1FにFILAが入っていた)にお邪魔したことがあり、ひょっとしたら、その時に顔を合わせているかもしれない。

人の縁とは不思議なものだ。これもきっと「必然」。

近いうちに連絡を取り、山田さんと石川さんを訪ねてみようと思う。

何事も「平常心」。

今日はNILS(New Industry Leaders Summit)メンバーでのゴルフコンペだった。

優勝はネットエイジの西川さん。上場直後のコンペで優勝するあたりが西川さんらしい。素晴らしい!!!

僕はどうだったか?というと、結果はボロボロ(泣)。

原因は、良いスコアを出そうと思って「平常心」を忘れてしまったことと、コーチから指摘されたトップの位置のことが気になってスウィングのリズムが狂ったことのふたつ。

救いは、パーが5つ取れたことと、パットがそこそこ入ったこと。

いずれにしても、ナイスショットをしようとか良いスコアを出そうという「欲」が出て、素直なゴルフが出来なかったことが原因である。

せっかく覚えたはずの「致命傷になるミスとリカバリー可能なミス」の違いを、今日は忘れてしまった。

ゴルフは本当にメンタルな部分が結果にダイレクトに結びつくスポーツであり、勉強になる。

次回は余計なことを考えず、自然体でゴルフができるようにしたい。