サイバーエージェントの藤田さんとの出会い。

藤田さんと初めて会ったのは、彼がサイバーエージェントを創業して間もない1998年の秋だったと思う。

たまたま、僕が当時経営していた会社に、彼らがお客さん宛に送ったはずのFAX(企画書&見積書)が間違って送られてきた。

それを見て、「このままにしておいては困るだろうな・・・」と思い、彼らに電話をしたのがきっかけだった。僕が電話をしたところ、とても恐縮していたが、おもしろそうな会社だと思い、先方のオフィスを訪ねることにした。

当時のサイバーエージェントは、原宿の京セラビルの前にあるビル(明治通り沿い)の8階にあった。1階に、FILAのお店が入っていた。広さは20坪ぐらいだったと思う。

藤田さんが書いた「渋谷ではたらく社長の告白」という本にも書いてある、ベージュ色のソファーが置いてあった。そこに、藤田さんと僕とで斜め横向きの位置に座り、お互いの会社の話しをした。

その時だったか、その後だったかは覚えていないが、サイバーエージェントの躍進の原動力となった「サイバークリック」のシステムを見せてもらい、「この会社は間違いなく伸びるな!!!」と思った。その時の僕にお金があったら、間違いなく投資していたと思う。もちろん、第三者割当をしてもらえればであるが(笑)。そのぐらい印象的な出会いだった。

藤田さんとは微妙な縁があると思う。

サイバーエージェントが急成長をし、明治通り沿いのビルを出て、表参道と青山通りの交差点からすぐの入来ビルに越した直後、あることで相談にのって欲しいと言われて伺ったことがある。インターネットリサーチのビジネスに興味があり、一緒に出来ないか?ということだった。

当時の僕は、インタースコープを立ち上げる前で、後に一緒にインタースコープを立ち上げた山川さんが経営していた会社と僕の会社(それぞれチッポケなマンションベンチャーだった)でインターネットリサーチ事業の立ち上げをしていた頃だったが、藤田さんが要求するスケールには応えられないと思い、残念ではあるが、その相談にはのれなかった。今にして思うと、その時に、どこからか資金調達をし、そのオファーにのっていれば、今頃はまったく違った人生を送っていたかもしれないと思う。

藤田さんとは僕がインタースコープを立ち上げた後も交流が続き、一時期はインターネットリサーチ事業で提携をしていたこともある。また、僕が創業に携わっていたウェブクルー(保険スクエアbang ! という保険の見積もり比較サイトの運営会社)にサイバーエージェントが出資(上場した後)してくれていたこともあり、ビジネスでの交流があった。

もうひとつ、奇妙な縁がある。

先に書いたサイバークリックは、実はバリュークリック・ジャパンという会社が運営していたモデルを参考にしたもので、尚かつ、サイバーエージェントはバリュークリックの「販売代理店」をしていた。要するに、販売代理店をやめて自社でシステムを開発したわけだ。そのシステムを開発したのが、当時、オン・ザ・エッヂを経営していた堀江さんである。

因みに、バリュークリック・ジャパンの創業者であるジョナサン・ヘンドリックセンは、ドリームビジョンの取締役になってくれている。

なんとも不思議な関係である。

その藤田さんに先日、ドリームビジョン(法政大学ビジネススクールと提携)で行っているオープン講座にゲスト講師としていらして頂けないか?というメールを送ったところ、ふたつ返事で快諾してくれた。

10/16(月)19:00~21:10、法政大学ビジネススクールにて開催されるオープン講座にいらして頂けることになった。

ところで、余談であるが、藤田さんに関してもうひとつ印象に残っていることがある。

上場して暫くした頃にマークシティのオフィスを訪ねた時の「表情」である。とても疲れ切った顔をしていた。後になって藤田さんの本を読んで知ったが、村上さん(村上ファンド)やGMOの熊谷さんにプレッシャーをかけられていた頃だった。

いつだったか、その話しをしたら、「あの頃は若かったですからね」と言って笑っていた。

今や日本のネットベンチャーを代表する創業経営者である。

その藤田さんがどんな話しをしてくれるのか? 僕自身、とても楽しみである。