「時間軸」。

10年以上前の話しになるが、西武百貨店の社長をしていた水野さんという方の「インタビュー記事」で印象に残っていることがある。

西武の経営が上手く行かず、彼は責任を取って社長を辞任したと記憶しているが、社長在任時の心境を「暗闇の中のカーブを全速力で走っている感覚だった」と語っていた。

人間は誰でも、あとどのぐらい頑張れば、こういう結果が得られるということが見えれば、前向きな気持ちを維持することができるし、最後の最後で頑張ることができると思う。

しかし、「出口が見えない」中で頑張り続けるには、とても強靭な精神力が要求される。

僕は20代半ばの頃、ODSというコンサルティング会社で働いていたが、自分のキャリアデザイン(将来像)が描けず、毎日がとても辛かったことを今でも鮮明に覚えている。

本当にこのまま頑張っていて、先(将来)があるのだろうか?
自分の努力は報われるのだろうか?

常に、そういう想いに駆られており、心の安らぎは一切なかったと言っていい。どこにも「ロールモデル」が無かったことも大きく影響していたのかもしれない。

あとどのぐらい(時間軸)頑張れば、どんな凄いこと(ご褒美)が待っているのか?

そのことを明確に示すことができれば、そして、そのことに「リアリティ(現実味)」を感じられれば、人は高いモチベーションを持って働くことができる。

「有能な指導者は、これぐらいやれば結果が出るというのが分かっているから、冷静でいられる」。

将棋の羽生善治氏の言葉である。

経営者(指導者)の端くれとして、肝に銘じたい。