母からの手紙。

先月まで当社でインターンをしていた山田くんという学生のお母さんから手紙が届いた。僕の母親からではない。

彼はアメリカの大学を休学してドリームビジョンでインターンをしてくれていたが、大学に復学するために、2週間前にアメリカに戻った。

当社のインターンを辞める時に、カギを返却するのを忘れて実家に持って帰ってしまったので、彼がお母さんに当社にカギを送ってくれと頼んだのだろう。

そのカギと一緒に山田くんのお母さんの直筆の手紙が入っていた。

「御社でのインターンを通じてたくさんの方々と出会い、様々なことを経験し、息子はとても成長したと思います。ありがとうございました」と書いてあった。

何とも言えない嬉しさがこみ上げてきた。

「出会いと気づき」が人間を成長させるのだろう。

人々の成長につながる「出会いと気づき」を提供していきたい。

「時間軸」。

10年以上前の話しになるが、西武百貨店の社長をしていた水野さんという方の「インタビュー記事」で印象に残っていることがある。

西武の経営が上手く行かず、彼は責任を取って社長を辞任したと記憶しているが、社長在任時の心境を「暗闇の中のカーブを全速力で走っている感覚だった」と語っていた。

人間は誰でも、あとどのぐらい頑張れば、こういう結果が得られるということが見えれば、前向きな気持ちを維持することができるし、最後の最後で頑張ることができると思う。

しかし、「出口が見えない」中で頑張り続けるには、とても強靭な精神力が要求される。

僕は20代半ばの頃、ODSというコンサルティング会社で働いていたが、自分のキャリアデザイン(将来像)が描けず、毎日がとても辛かったことを今でも鮮明に覚えている。

本当にこのまま頑張っていて、先(将来)があるのだろうか?
自分の努力は報われるのだろうか?

常に、そういう想いに駆られており、心の安らぎは一切なかったと言っていい。どこにも「ロールモデル」が無かったことも大きく影響していたのかもしれない。

あとどのぐらい(時間軸)頑張れば、どんな凄いこと(ご褒美)が待っているのか?

そのことを明確に示すことができれば、そして、そのことに「リアリティ(現実味)」を感じられれば、人は高いモチベーションを持って働くことができる。

「有能な指導者は、これぐらいやれば結果が出るというのが分かっているから、冷静でいられる」。

将棋の羽生善治氏の言葉である。

経営者(指導者)の端くれとして、肝に銘じたい。

最後は「人」で決める。

先日、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組を見た。

出演者は、ザインエレクトロニクスの飯塚哲哉さん。彼が出るから見たと言っていい。

僕は飯塚さんとは話しをしたことがないが、EOY等のベンチャー関連のイベント会場では何度も居合わせたことがある。飯塚さんは朴訥とした方で華やかさはないが、信念のようなものを感じさせる方だ。

彼は、43才の時、東芝の事業部長のポジションを捨て、起業をされたそうだ。ちょうど今の僕の年齢である。

そんなこともあり、親近感を持った。

番組の中で紹介された彼の「言葉=信念」で印象に残ったものがある。

特に印象的だったのは、
「最後は人で決める」
「どんな相手も切り捨てない」
「金にこだわらないやつは本気でビジネスを考えていない」
という言葉。

それ以外では、
「甘い言葉を吐くやつは信用できない」
「信じられるのは、自分にも相手にも厳しい人間」
「朝令暮改」
など。

そして、何よりも僕が驚いたのは、来年59才になるという事実。とても還暦を迎える人には見えない。
液晶モニター(TV)を通して、エネルギーが伝わってくる。

飯塚さんの生き方を見て、勇気と自信が湧いた。

「所得の再配分」は誰が行うべきか?

世界第二位の富豪であるウォーレン・バフェット氏が、世界第一位の富豪であるビル・ゲイツ夫妻の財団に「約4兆3,000億円」を寄付した話しを知っている方は少なくないだろう。

バフェット氏は、「税金を払って財務省に任せるより、夫妻の財団はお金の効用を最大化してくれる」「貧しい暮らしを強いられている人々がいるのに『王家の冨』を築く考えはない」と述べているという(今日の日経新聞より)。

因みに、米国では、寄付は一切無税だそうである。

同じ投資家でも色んな人がいるということだ。考えさせられる出来事である。

ネットエイジ、いよいよ明日、上場!!!

1999年の年末近かったと記憶しているが、寒い雨が降る中、渋谷にある東急文化村のカフェ・ドゥ・マゴで、ビットバレーの決起集会?が開催された。僕が参加したビットバレーの集まりは、経営者の会合を除くと、その決起集会が最初で最後だった。

あれから約7年。いよいよ最後の大物ネットベンチャーの上場である。

ネットエイジは、9月14日に上場を予定している「MIXI」の株主でもある。ネットエイジの上場は、2000年前後から続いたネットベンチャーブームの終わりでもあり、第2章の幕開けでもあると思う。

そういえば、今朝の日経朝刊の一面に「ネット企業 世代交代の波」という見出しの記事があった。MIXIの月間閲覧者数が楽天のそれを追い抜いたグラフが掲載されていた。

ネットエイジとMIXIの上場を節目に、ネットビジネスの景色が大きく変わっていくだろう。

3年後にどんなプレイヤーが凌ぎを削っているのか? 楽しみである。

女性にとって、子育てと起業は両立するか?

先週の土曜日に開催されたETICのインターンシップに関するイベントに、インターン受け入れ先のベンチャー企業の経営者のひとりとして参加してきた。

そこに、ETICインターンOGであり、つい先日、ワーク・ライフバランスという会社を立ち上げた小室淑恵さんが、「伝説のインターン」のひとりとして参加されていた。

印象的だったのは、まだ、生後4~5ヶ月のお子さんを連れてきていたことで、尚かつ、ワーク・ライフバランスを一緒に立ち上げた大塚さんという方が、小室さんが講演をされている時に、その子をあやしていた姿である。

僕は、自分のブログのタイトルにしているとおり、初めての「子育て」と3度目の起業の両立に格闘しているのでよく分かるが、「子育て」と「起業」の両立は、大塚さんのような方の支援があってはじめて成り立つことである。ましてや、僕と違って小室さんは「母親」なのである。

その小室さんを今日の夜、法政大学のビジネススクールとドリームビジョンとの提携講座(オープン講座)にゲスト講師としてお招きし、子育てとキャリアの両立について講演して頂くと共に、同じ「子育てアントレプレナー」として僕との対談(Q&Aセッション)を予定している。

少子化の改善に少しでもお役に立てればと思う。

将来に対する希望と不安。

「なお」という名前で僕のブログにコメントをくれた大学生の方がいる。

(おそらく)彼女は、「自分のしたいことがみえてこないです。将来が不安でたまりません」とコメントをしていたが、僕も学生の頃、そして、社会に出た直後の頃、自分の将来に対して「漠然とした不安」を抱いていた。

何故だか分からないが、先程、家の掃除をしていて、ふっとその当時のことを思い出した。

では、何故、当時の自分は、自分の将来について「具体的」な不安ではなく、「漠然」とした不安を抱いていたのか? そのことを考えてみた。

今の日本において、生活していくお金が稼げずに「路頭に迷う」ということはあり得ない。つまり、身体的あるいは精神的なハンディキャップを持っていて働くことが出来ないというような事情がない限り、「路頭に迷うことすらできない」のが今の日本社会である。

では、それにも関らず、何故、僕は「漠然」とした不安を抱いていたのか?

それは、「自分らしく生きていく」ことが出来るのか?ということに、自信が持てなかったからだと思う。

ただ単に、世間並みの生活をするのは難しいことではないと思うが、「自分らしい生き方」をするにはどうすればいいのか?それが分からなかったのである。

では、どうすれば、「自分らしい生き方」ができるのか? 大きく「2つの論点」があると思う。

ひとつは、「自分を知ること」。
自分が何をしている時に「楽しい・嬉しい」と思い、自分の「存在意義」や「幸せ」を感じるか? 平たく言えば、自己分析である。

もうひとつは、そういう自分の特性は、どんな「職業や仕事で活かせるか?」を知ること。
そのためには、世の中にどんな職業があり、どんな仕事があるのか?を、具体的に知る必要がある。
これこそ、先日の「職業講話(中学での授業)」に通ずる話しであり、村上龍さんの「13歳のハローワーク」である。

若いうちにこれが出来る人は、なかなかいないということだろう。

では、どうすれば、上記2つが出来るか?

後者は次の機会に譲るとして、前者に関しては、学生の方々や20代の方々と話す度に、とにかく、自分が好きなことは何か?何をしている時に「楽しい・嬉しい」という「感情」が沸き上がってくるか?そして、それは「何故か?」ということに目を向けて欲しいと言っている。

恥ずかしいのを承知の上で、僕自身のこと話すと、中学の頃から音楽を始めて、大学1年生の頃まではミュージシャンになりたいと思っていた。音楽の才能がないと悟った後は、劇団のオーディションに応募して、俳優を目指したりしていた(300人中5人しか受からないオーディションに合格した!!!)。

でも、そのいずれに対しても「リスク(夢が実現しなかった時のハンディキャップ)を取る(覚悟する)」ほどの「勇気」はなかったし、そこまでしてやりたいことではなかったということだ。

しかし、それらの経験により、僕は仕事を通じて「自己表現」をしたい人間であり、自分が思っていることや自分のアイディアを「社会に提案し、具現化したい」と思っている人間だということを知った。これはとても大きな学びだったと思う。

今日はこの後、インタースコープ創業の頃からお世話になっているETICのイベントにお招き頂いて、学生のうちにベンチャー企業でインターンをすることの意味(価値)について、話しをさせて頂くことになっている。

昔の自分を思い出しながら、学生の方々にとって、少しでも有意義な話しができればと思う。