「パーソナリティは最高戦略」の意味

この言葉は、ETICが主催する「STYLE」という「ソーシャルアントレプレナー(社会起業家)ビジネスプラン・コンテスト」の最後に、審査委員長を務める田坂広志さんが「書いた」メッセージだ。

各審査委員がその日一日(ほぼ一日がかりのイベントであり、毎回、僕も審査委員のひとりとして参加させて頂いている)を通じて感じたことを、参加者の皆さんに対するメッセージとして発表するというセレモニーで、田坂広志さんが書かれたものである。

田坂さんがその言葉を提唱されたのは、フェアトレードをテーマにコロンビアからコーヒー豆を輸入し、カフェ・スローというお店を出していた(出そうとしていた?)「藤岡さん」という大学生(だったと思う)のピュアで飾らない「パーソナリティ」に、周囲の大人達が魅せられてしまい、自分から「おせっかい(支援)」を買って出てしまうという姿をみてのことだった。

ドリームビジョンのお披露目レセプションで、アレンさんが僕のことを見ていて同じことをイメージしたということは、僕という「大人」は、大人のくせに「危なっかしく」て、周囲が「おせっかい」をやいてしまうということだろう。

実は、「パーソナリティは最高戦略」ということを僕の脳裏により強く焼き付ける話があった。それは、昨日の講演会で聴いたアントレプレナーセンターの福島さんの話である。

福島さんの話(講演会)を聴くのは2度目だが、初めて福島さんに会ったのは、彼が、まだ30代の頃、「就職予備校(その後、アントレプレナーセンターに改称)」という会社を経営されていた時だった。月並みな話で恐縮だが、時の経つのは速いもので、僕の記憶が正しければ、あれから既に13年になる。

福島さんは「シルベスタ・スタローン」にまつわる逸話を教えてくれた。

シルベスタ・スタローンは売れない役者時代に、役者志望の友達から飲みに誘われても、「明日、ハリウッドの超大作への映画出演の依頼が来るとも限らないので、早く帰って(演技の)練習をする」と言って、一度も?飲みに行かず、毎日練習していたらしい。

ある時、その話を聞きつけた大物映画プロデューサーが、「それはおもしろい。そのまま映画にしよう」と言って出来上がったのが「ロッキー」だそうだ。

そのストーリーは、いつか世界チャンピオンと戦うことを夢見て、毎日、ボクシングの練習に打ち込む青年がチャンスを得て、実際にチャンピオンと試合をし、結局は敗れ去る(僕はロッキーを観ていないので正確なストーリーはわからない)というものらしいが、シルベスタ・スタローンは「大根役者」であり、ロッキーは「演技ではなく」、彼の「素」のままだというのである。

シルベスタ・スタローンの「パーソナリティ」をモチーフにしてボクシングという世界を題材にし、演技が下手な彼が「地」で臨んだ映画を撮ったことが、人々の感動を呼び、商業的成功を生んだということだ。

「パーソナリティは最高戦略」とは、「自分らしさを思いっきり出す」ということである。そのことが人々の感動を呼び、人でもモノでも「ブランド」に繋がる、ということだろう。

「戦略」という概念については、もうひとつ、とても印象的なことを田坂さんはご自身のメルマガで紹介している。

「戦略」とは「戦い」を「略す」と書く。つまり、戦いを「避ける」ことを意味するということだ。

マーケティング的に言えば、自社なり自社の商品の「USP(Unique Selling Proposition)」を明確に打ち出し、独自のポジショニングを構築することができれば、そして、そのUSPが「魅力的且つ顧客が求めているもの」であれば、他社との「戦いは無くなる(顧客から選ばれる)」のである。

かのマイケル・ポーターが言う「選択と集中」とは、そういうことも含んでいるのだろう。

What’s the USP of Dreamvision ? This is what I’ve been thinking of.