マクロミルの杉本さん

杉本さんと初めて会ったのは、2000年12月27日に開催された「次世代インターネットリサーチ・フォーラム」というイベントだった。

ネットレイティングスの萩原さんが音頭を取っていたイベントだったが、まさにインターネットリサーチが世の中に認知され始めたばかりの頃で、200人以上の人が集まっていた。

イベントの内容は主要なインターネットリサーチ会社の経営者が壇上に座り、萩原さんが司会をするというパネルディスカッション形式のものだったが、杉本さんは、客席から向かって一番左側に座っていた(残念ながら、僕には声が掛からなかった/笑)。その時の杉本さんの印象は「神経質そうな人」というものだった。

しかし、付き合っていくうちに、「この人は相当に手強い人だ」というふうに考えが変わった。そして、特に「財務戦略」的分野においては、様々なことを杉本さんから学ばせて頂いた。

杉本さんの右側が、GBネクサイトの女性(申し訳ないがお名前は覚えていない)、その右側がインフォプラントの大谷さん、その右側がビートレンドの井上さん、そして、一番右側にインターネットリサーチのユーザー側ということで、当時は三和総研にいらした谷内さんというメンバーだった。

杉本さんとはその後も交流が続き、その翌年のある日、初めて食事を共にしたが、その帰りの西麻布の交差点の横断歩道の上で、「将来は何か一緒にやりましょう」と握手をした。また、あれは2002年だったと思うが、杉本さんと彼の奥さん(とてもキレイな方だ)と我々夫婦の4人で代官山のレストランで食事をしたこともあった。何を話したかは覚えていないが、とても楽しい時間だった。因みに、僕の妻は、かなりの杉本さんファンだ(笑)。

杉本さんとインフォプラントの大谷さんは、一緒に「インターネットリサーチ業界」を創り上げてきた「盟友」のような存在で、ビジネスの上では「競合」であるが、そういう関係を超えて、親しく付き合ってきた。

昨晩の弊社のレセプションにはネット業界の錚々たるメンバーが集まってくれたが、その中でも、杉本さんが出席してくれたことは、僕にとっては特に嬉しいことだった(残念ながら大谷さんは所用があり出席されなかった)。

男(女もそうか?)という生き物は、どうも見栄っ張りというか虚栄心が強いのか、マクロミルを一部上場企業にまで育て上げた杉本さんに対して、「レインチェック(雨天試合の代替チケット)」を切って3度目の起業をした僕は、何となく引け目のような感情を抱いていたが、昨日のレセプションのアレンマイナーさんのスピーチで、そういう感情もだいぶ無くなったような気がする。

さて、昨晩、その杉本さんに言われたことがある。僕がこのBlogに「BMW Z4」に乗っている写真を掲載していることについて、「Z4の写真は出さない方が(ドリームビジョンに対して)お金が集まるんじゃないの?」ということだ(以前のBlogにも書いたが、Z4は妻の妊娠に伴い売却して、今は中古で買った330i に乗っている)。

そのことは、もちろん僕も考えた。経営者として、果たしてどうしたものか?と。でも、今回は敢えてそうした。

実は、Z4 を買った時、山川さん(インタースコープの共同創業者)からも同じようなことを言われたことがある。それは、「会社には乗ってこない方がいいと思う」というアドアイスだった。

BMW Z4 は、同じマンションベンチャーからスタートした渡辺さんが立ち上げた「保険スクエアbang !(後に、ウェブクルーという会社になる)」というネットビジネスに僕も創業メンバーとして参加させてもらったことで、ウェブクルーの上場に伴い得ることができたキャピタルゲインで買ったもので、インタースコープで高い役員報酬を取っていたわけでもなく、貧乏な頃から額に汗して頑張ってきた結果、得たお金で買ったものなので、誰の目を気にする必要もなかったのだが、まだまだ、ろくに利益も出ていなかったインタースコープの株主や社員の人達への配慮として、そういうアドバイスをされたのだと理解している。

しかし、その一方で、夫婦の年収が300万円もないという貧乏にも負けずに頑張っていれば、いつかこういうこともある!!!ということを社内に示すことができるという想いもあり、僕自身、かなり悩んだが、結局、インタースコープ時代は会社には乗っていかなかった。厳密に言えば、会社の駐車場には停めなかった。

では、何故、このBlog に、Z4 に乗っている僕の写真を掲載したのか?

それは、僕はとにかく、Z4が好きだったということや、僕は既にインタースコープの経営者ではないということと、ドリームビジョンには外部株主は入っていないこともあるが、それよりも、僕の考えとして、特に、これからの時代は、「清貧」という生き方ではなく、「崇高な理念」と併せてそれなりの「財力」がある人でないと、社会に対して「プラスの影響力」を与えることが出来ないと考えるようになったからだ。

つまり、海外旅行に行くにもお金はかかるし、オシャレなレストラン(昨日の船上ラウンジも)で食事をするにもお金はかかるし、子供を大学に入れるにもお金はかかるわけで、いくら崇高な理念を唱えても、ある程度の財力が伴わなければ何も実現できない。

今日の午後、あるところが主催する講演会に行ってきたのだが、そこで紹介された言葉が印象に残っている。

一言一句は覚えていないが、「財を残すは下、事業を残すは中���人を残すは上。しかし、財なかれば事業は保たれず、事業なければ人は育たない」というものだった。

なので僕は、正々堂々とBMWに乗ろうと思うし、3年後にポルシェに乗ろうと思う。

3年後にポルシェに乗ることに意味があるのではなく、ポルシェが買えるほどの経済的余裕があるようになっていること、つまり、会社としてドリームビジョンが成長しているということが大切だということだ。

僕よりも優秀な素晴らしいスタッフがたくさんいて、みんなが楽しく元気に自分らしく働いている会社にしたい。