第08回 津田 全泰氏 vol.1 (5)

第08回 津田 全泰氏 vol.1 (5)

成長するベンチャー。「ドッグイヤー」の3年間を過ごす。

そんなことで、創業2年目の楽天に入社した津田さんは、当時の言葉どおり、「ドッグイヤー」の3年間を過ごす。

「最初の3年が楽天市場、次の2年が楽天トラベルをやりました。楽天市場はとにかく人数も少ないですし、何でもやらなければならなかった。とりあえず、まず営業ということで、『お店を出しませんか?』と毎日回るみたいなことを半年やり、その後、広告企画みたいな形で、トップページのバナーの枠を自分でつくって、自分で値決めして、出店者さんに自分で売るみたいなことをしていました。トップページ5万円みたいな感じで、今思えば安いのですが。そういう広告企画みたいなことを半年やり、その後2年は、『SFC出てタッチタイピングができるから、プログラムも書けるだろう』みたいな感じで、なぜかシステム開発をしていました。今考えると、ちょっと違うと思うんですが・・・。開発部のトップをやっていたのが、当時の副社長で共同創業者の本城さんで、『津田君、できるよね』みたいな感じで開発をやらされていました。大学で、C言語が必修だったし、SFCは全員やっていましたから」。

写真:津田 全泰 氏

当時の楽天は、まだまだ小さな会社でした。ショッピングモールの仕組みを覚えたり、プログラムのバグつぶしをしたりと、すべてが初めてのことで、無我夢中でやっていました(笑)

「(中略)当時は会社も小さかったので、自分の席からいろんな人の業務が見えるし、どんなことをやっているのかも聞けました。自分も営業系と開発系と全然違うところをやれたし、起業するためのオールラウンドなスキルが自然と身についていきました。もちろん、昇進とかも全然なくて、とにかくプレーヤーとしていろいろやらせてもらった。3年間は無我夢中で、毎日、夜帰って寝巻きに着替えて会社に戻り、翌朝5時までやって、家に帰って寝て、また9時出社みたいな感じだった」。

僕の「若いし、続くわけですね」という質問に対して津田さんは、こう答えてくれた。

「楽しいからですね。他の役員の人たちも全員そうやっているわけですよ。そういうノリで、3年間ガーッとやった」。

それが、「成長するベンチャー」というものである。