第07回 江田 健二氏 vol.1 (3)

第07回 江田 健二氏 vol.1 (3)

これが人生で初めてやるバイトです。

そんなふうにして富山から東京に出て来た江田さんだが、またしても、挫折を味わうことになる。

彼は、きっと自分と同じような境遇の人がいるだろうと思い、「家庭教師」のアルバイトをしようと考え、家庭教師の派遣会社を訪ねた。

ところが、「君みたいな大学1年生で且つ地方から来た大学生に家庭教師はできないよ。東京は中学受験だから、中学受験をやっていない人には、家庭教師はできない。だけど、お金が欲しいなら、君は家庭教師の営業をやりなさい」となり、止むなく、家庭教師の「営業」をやることになる。

「『家庭教師になりたいのなら、まず電話営業しなよ』、みたいな感じで言われて電話営業をしていたのですが、その後、実際にご家庭を訪問して『契約』を取ってくるという営業に回りました。それが、すごい成功報酬の営業でした。でも、1日営業をしても契約が取れないと『0円』だったりしたのです。これが人生で初めてやるバイトです。4月は10数日働きましたが、給料が1~2万円しかもらえなくて、『親のありがたみ』がすごくよく分かりました」。

写真:江田 健二 氏

「大学に入って初めてしたアルバイトは、家庭教師の『営業』だったんですよ」。

その会社で営業のアルバイトをしている人達は、平均で20~30万円ぐらいの給料をもらっていたらしく、「自分の出来なさぶりが、すごくよく分かった」。しかし、苦労と工夫を重ねた結果、6~7月になると、毎月20万円ぐらいは稼げるようになった。

家庭教師の営業のバイトを1年ぐらい続けた後、今度は、株式公開前のインテリジェンスで、PCの設定等をするスタッフの「短期派遣」事業の立ち上げに携わる機会に恵まれ、そこでも、また「営業」を経験する。

江田さんは、「営業」のアルバイト漬けだった大学生活を振り返り、こんなことを話してくれた。

「家庭教師の営業も一発勝負なんです。行って契約が取れるか、取れないかだけ。その一発に賭けるみたいなものがありました。僕が訪問した時には、自分の子供に家庭教師をつけるつもりのない人に、2時間後には判子を押してもらわなければいけない。良いビジネスかどうかは分からないけど、とても良い勉強になりました」。

次回へ続く。