第06回 保坂 高広氏 vol.1 (2)

第06回 保坂 高広氏 vol.1 (2)

ボクシングとの出会い。

彼は6歳から高校時代までサッカーに熱中しており、大学でも体育会サッカー部に所属するつもりでいたが、国際文化学部という、在学中に「留学」することが必須の新設学部に入学する。法政の市ヶ谷キャンパスには「グラウンド」がなかった。

「サッカーをやりたいなら、多摩キャンパスまで行かないとダメよ」ということだったけど、『留学もあるしなあ』と思って(サッカーは諦めました)。それで、フラフラと神楽坂のゲームセンターでみんなで遊んでいたら、隣に『帝拳ボクシングジム』というのがありました。しかも、見学自由と書いてあった。帝拳って、物凄く名門なんですよ。『有名じゃん!!』と思って見に行って、そのまま入っちゃったんですよ」。

実は、彼の祖母と父親が大のボクシングファンで、彼は幼い頃から自然とボクシングに興味を持っていた。

写真:保坂 高広 氏

保坂さんのデスク。リラックスした表情で取材に応じてくれた。

「タバコも吸っていたし、プロなんて雲の上の存在で、なれると思わないし、なるつもりはなかったので、本気で目指してはいませんでした。でも、中途半端だけは嫌だと心では思っていましたので、「あわよくば」くらいで・・・」。

こうして、ボクシング生活が始まったが、半年のフランス留学から冬休みに帰国し、横浜から市ヶ谷のジムまで通うのはシンドイと感じた。かなり迷った結果、転籍したのが、横浜にある、設立後間もなくプロ選手も少ない、小さな「大橋ボクシングジム」だった。

最初は毎日通っていたわけではないそうだが、「センスあるね。毎日練習すれば、プロになれるよ」というトレーナーのひと言で、保坂氏は考えを変えた。

それからは、日曜日以外は毎日ジムに通い、毎晩のロードワークを欠かさない生活が始まる。