第05回 伊佐山 元氏 vol.2 (2)

第05回 伊佐山 元氏 vol.2 (2)

人生は短い。

さて、ここまでは、これまでの伊佐山さんの「人生の軌跡」を辿ってきたが、ここからは、彼が「この先の人生」でやってみたいと思っていることを紹介したい。

ところで、冒頭で、伊佐山さんに親近感を覚えたと書いたが、僕は15歳の時、母を「肺ガン」で亡くした。高校受験の2週間前だった。また、24歳の時、父を「大腸ガン」で亡くした。

そのような経験をしていることもあり、僕は、妹さんを亡くされた時の伊佐山さんの気持ちが分かる気がして、インタビューのテープ起こしを読みながら、目頭が熱くなった。

人生には「保証」はないし、僕の自作の座右の銘のとおり、「人生は短い」かもしれない。他人の目や評価を気にして、失敗を恐れて、やりたいことを我慢しているうちに、ひょっとしたら、明日、交通事故でこの世を去ることになるかもしれないのである。

「人生はリスクの塊」であり、スティーブ・ジョブスのスタンフォードの卒業式でのスピーチのとおり、自分の「直感」を信じなかったら、何も出来ない。

それが「人生」だと思う。

写真:伊佐山 元 氏

取材に同席した教授陣に渡された論文に目を通す伊佐山さん。
一度かしない人生を一生懸命に生きている人である。

て、話を伊佐山さんのことに戻すと、彼の人生は、彼が「18歳の時の出来事がすべてに関係している」ということである。

「突然1人になってしまったので、親がいなくなったら、自分の想いをぶつけられるのは友達しかないんですよね。それだけ人に対する想いというものが強くなるんです。それだけ『生きている』ということの『価値』、生きるということに対する想いというのは、他の人より強いと思います。また、何かを選択する時には、無難な選択肢は取らないようにしています。失敗してもいいから、とにかくやってみる。そういう時って、無難なことをやるよりうまくいくケースが多いです。選択を迫られる時は、後悔しない選択肢を常に選ぼうと思っています。大学に行く時も、後で東大に行っておけば良かったと後悔しないよう、東大を選んだし、学部を選ぶときにもそのように、常に一番自分にストレッチして、手の届かないところを目指してやってきていると思います。また、普段から、自分の心地よいゾーンから一歩外に出るような小さい努力を積み重ねるよう意識しています」。