第03回 本間毅氏 vol.3 (1)
2016-05-14ソニーへの「就職」。
さて、激動のイエルネットを解散した本間さんは、どのような経緯でソニーに「就職」したのか?
前述のETICというNPOの宮城さんが中心となり、経団連で、ベンチャー起業家とベンチャー企業を支援するオジサンたちの会合があり、そこで、ソニーの CEOだった出井さんと会う機会があったそうだ。その時に出井さんに紹介された方々の中に、ソニーのインターネット事業部門の人事部長だった方がいた。
そこからご縁が始まり、ソニーとのビジネスは続いていたそうだが、イエルネット解散の挨拶に行った際、「おまえ、これからどうするんだ?」と言われたのがきっかけで、ソニーへ「就職」することになる。
「人事部長ですから、自分で話を聞いちゃうんです。『人、欲しいんだよね』という話になって、その後、数回会って、採用です。2002年の終わりにイエルネットを終わらせて、2003年1月1日から入社していますから、思わぬ急展開ですよ。よく拾ってもらえたなと思います」。
その時の本間さんには、他にも選択肢はあった。
当然のことながら、イエルネットの解散を知った当時の起業家仲間から「ウチでやらないか?」という話しがあったが、「同じチャレンジを同じようにやっても、経験値は上がらないし、その時は疲れていたので・・・」ということで、長年、憧れていた会社でもあり、「何かできるかもしれない」と思い、ソニーを選らんだ。
よく拾ってもらえたなと思いますよ(笑)。
ソニーでの「学び」。
周囲の人間はかなり心配をしていたらしいが、本間さんは、どうにかこうにか、生まれて初めてのサラリーマン生活をスタートさせた。
余談だが、ソニーに「就職」して、人生で初めての「歓迎会」をしてもらったそうだ。「自分で会社を創っちゃったら、誰も歓迎なんてしてくれないでしょう・・・」。
何とか、ソニーでの生活を始めた本間さんであるが、やはり、ギャップはあった。
「もちろん(ギャップは)ありましたよ。同じフロアを見渡すと何百人か人がいますけど、ベンチャーの創業者のように資金繰りを気にしている人はいないんだ、気にしなくていいんだよなと・・・。やっぱりベンチャーとは金銭感覚が違うんですよ。常にお金が出ていく、入っていくということを気にしながらやっていく視点と、どうにか回っていくさという話では、大きく違いますよね。ポジティブに考えれば、仕事さえちゃんとやれば給料をもらえる。当たり前ですけど、それはすごい話だなと思った」。
「また、ソニーに入ってみて凄いなと思ったのは、『どこまで行っても、この会社には未知の部分がある』ということ。『これをやらなければ、会社は回りません』というような仕事も自分にはない。僕も会社もお互いに依存していないんですよね」。