第01回 岩瀬 大輔氏 vol.2 (3)

第01回 岩瀬 大輔氏 vol.2 (3)

自分はすごく恵まれている。

彼は、今の気持ちをこう表現していた。

「やっぱり、毎日、自分は本当にすごく恵まれているという感謝の気持ちがあります。もちろん、早く結果を出さなきゃいけないというプレッシャーはあるんですが、こんなに素敵な人たちに囲まれて、こんなに大きなやりがいのある仕事を、こんなに大きなやりがいを任せられていることに対してです。留学前の僕は、投資ファンドの平社員に過ぎませんでした。本来の経歴や実力からすれば、よくて経営企画室長だったかもしれない。それを最初のCo-Founderとして責任ある業務を任せてもらっているということは、それはすごくポテンシャル採用をしてもらった、下駄はかせてもらっている、ということを冷静に分かっているんです」。

そして、「誰と働くかを選べる」こと、「企業風土」というものを自分で創っていけることに、とても大きな喜びと幸せを感じているようだった。

写真:岩瀬 大輔 氏

ヘッジファンドでインターンとして働いてみて、自分はチームで仕事がしたいんだなって思ったんですね。

僕が頭で考えたビジネスプランじゃない。

さて、岩瀬氏にとっては、まさに天国のようなライフネット生命保険であるが、実は、この会社のビジネスモデルは、彼が考えたものではない。社長の出口氏が考えたプランである。

彼はHBS留学から帰国する時、小さな会社でもいいから、自分が社長をやりたいと思っていたそうだが、谷家氏から出口氏を紹介された時、「この人とだったら、自分が社長じゃく、サポート役に回ってもいい」と思ったという。

「これ、僕が頭で考えたビジネスプランじゃなくて、出口が35年間、保険業界の中で生きてきて、矛盾と理想とのギャップと憤りと、そして、『愛』があるんですよね、そこに。そのストーリーがあって想いがあるから説得力があるし、みんながついてきて、僕はそれを拡声器で、こう、プレゼンしているだけであって、まあ、違う切り口で当然思い入れみたいなのはあるんですけどね(笑)」。

そんな出口氏を彼は、「焦りもないし、絶対にブレない。1ミリたりともブレないですよね。でも、テクニカルな面では、すごく柔軟なんですよ」と称している。

また、「すごく僕ら若手を育てようとしてくれている。彼は早く次の若い世代へ任せて行けるように、僕らを育てることが自分の仕事だと最初から言っているんですよね」と言っており、出口氏との仕事を心から楽しんでいる。

そして、僕が個人的に凄いことだなと思ったのは、「この人と一緒にやっていれば絶対、成功するっていう自信があります」という岩瀬氏のひと言である。

ライフネット生命保険という会社は、岩瀬氏にとって大切なものがすべて詰まった場所なのだろう。