商品の多様化により、個人にとってより身近なものに
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森本泰三
高校からハワイ州に留学をし、ハワイにて大学を卒業。卒業後1年間のオアフ島での就業経験を経て、Hawaii Pacific UniversityにてMBAを取得(専攻:ファイナンス(ポートフォリオマネージメント))し、2001年に帰国。
帰国後は、金融ベンチャー企業にてエンジニアとしての勤務経験、および、2社の外資系金融機関にて個人金融のリスクマネジメント業務の経験を有する。
早稲田大学ビジネススクールMBA1年在籍
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近年、日本でもカーボンオフセットを活用した商品やサービスを販売する企業が増加しています。この背景には、消費者の環境問題への関心の高さという社会的意識の醸成、それに伴い、企業によるCSR活動の推進の必然性、そして商品やサービスの付加価値を上げる(環境配慮により商品やサービスを差別化する)戦略変化など、様々な理由があると考えられます。
ここでは、私森本が、皆様の日常生活に特に関わりがありそうな業界から、注目のカーボンオフセット商品をピックアップして、簡単な概要と共にそれらを紹介させていただきます。
個人向けカーボンオフセット商品
旅行:
■JTB「
個人向カーボンオフセット海外旅行」
旅行代金とツアー収益の一部を自然エネルギーに投資し、旅行から排出されるCO2をオフセットする。帰国後にグリーン電力証明書を旅行者に発行する。
■近畿日本ツーリスト「
団体旅行向けカーボンオフセット旅行」
団体客を通して、旅行中に排出されるCO2を相殺する団体旅行を販売する。まず修学旅行など移動距離が長い団体旅行にプラス500円ほどで販売をする。(排出枠はリサイクルワンから購入)
ここで、旅客輸送において、各輸送機関から排出される二酸化炭素の排出量を、輸送量(※)で割り、単位輸送量当たりの二酸化炭素の排出量を試算すると、下図のようになる。
(※)輸送量の単位は、人キロ;輸送した人数に輸送した距離を乗じたもの
旅行者に排出権を販売し、旅行中に飛行機やバス等の移動手段として排出される二酸化炭素を相殺することで、旅行者に環境への配慮をテーマとした優しい旅行をしてもらう事が可能である。
金融:
■滋賀銀行「
カーボンオフセット定期預金・未来の種」
預金残高の0.1%相当額の排出権を購入し、その排出権を日本政府へ移転する。また、『未来の種』の預金を原資とし、「環境配慮に先進的な企業」や「環境配慮事業者が実施する温室効果ガス削減につながる取組」を支援するために、事業者向け環境配慮型融資『未来の芽』も取り扱う。
※『未来の種』は、平成20年9月3日現在、当初募集予定金額の60億円を超える62億30百万円の預入れを実現し、
募集は終了された。
■ソニー銀行「
青い地球ファンド」
ファンドの販売から得る手数料や信託報酬の一部を排出権購入に充て、日本政府に寄付する。
滋賀銀行による『未来の種』『未来の芽』の取組が注目されているように、今後も金融機関による金融商品を通じた取組、さらには、同じ金利や手数料を払うのなら少しでも環境の為にと考え金融商品を選択する預金者が増えることを期待したい。
郵便:
■日本郵政グループ「
カーボンオフセット年賀状」
定価55円(通常の年賀状は定価50円)のうちの5円をCO2の削減プロジェクト(「クリーン開発メカニズム」)の支援に充てる。
■佐川急便「
CO2排出権付き飛脚宅配便」
商品購入者にCO2排出権付き飛脚宅配便を選択してもらい1円(宅配便1個当たりの輸送にかかるCO2排出量346グラムに相当)を追加負担してもらい、千趣会(通信販売事業者)が1円と佐川急便が1円の合計2円を追加し、合計3円分の排出権を購入する。購入された排出権は、日本政府に無償譲渡される。
二酸化炭素の排出量を部門別でみると、郵便や宅配便を扱う運輸部門は産業部門に次いで2番目に多く二酸化炭素を排出するセクターである。個人的な意見では、この産業は少し活発に排出権を価格に転換し、個人や法人に販売してもいいと思う。
小売店:
■ローソン「
個人向け排出権販売」
大口販売が主流の排出権を小口化して個人に販売する。購入希望者は、会員カードのポイントや、店頭に設置されているLoppiで購入することができる。
■セブン&アイHLDGS.「
オリジナルエコバッグ」
レジ袋有料化ではなく、逆にオリジナルエコバッグを、セブンイレブン、イトーヨーカドー、ヨークベニマルなどグループ傘下1,500店舗にて販売している。バックの売上の一部で、国連から承認された環境プロジェクトから排出権を購入し、日本政府に寄付する。
日本の家庭からの二酸化炭素の排出は日本全体の13%を占めている。スーパーやコンビニは消費者との接点が比較的強い業種であるため、今後、各家庭での環境への取り組みにより強い影響を与えうる業界だと期待される。
ユニークな法人向けカーボンオフセット商品
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電通
電通は約3,000t分の排出権を購入し、広告主のその排出権を小口販売していく。カーボンオフセットを検討する広告主(クライアント企業)は、キャンペーンやイベントを通じてCO2オフセットすることが可能となる。
■ビットアイル社「
CO2ゼロサーバ」
IT化が進み、サーバ自身の電力と、サーバ室を一定の温度に保つために冷房などにより電気使用量は増加しCO2の排出も増加をしている。その為、カーボンオフセットサービスを標準セットとし、サービスを提供している。(排出権は、
ジーコンシャスから購入)
電通やビットアイル社は主に企業にカーボンオフセットを販売するBtoBで環境への取り組みを推進していく。中小企業などは、金額的に大口販売されている排出権を購入するのは難しく、手数料を払い小口排出権を購入し、環境への関心度をアピールしていく事が可能になってきている。
このように、カーボンオフセット商品は、個人向けはもちろん企業向けにも拡大しつつあります。今年の秋に東京取引証券所が試験的に排出権の取引市場を開設されますが、現段階では当市場では、大企業が取引の主要プレイヤーになると考えられ、資金力の無い個人や中小企業などは市場への参加は難しいようです。カーボンオフセット商品やサービスの提供は、個人や中小企業に対し、地球温暖化についてメッセージを投げかけるよい機会であると考えられます。