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注目される牛乳販売店の機能

マーケティング・チャネルとしての牛乳販売店

牛乳宅配店への注目


インターネットを活用した新興流通業、ネット通販事業者等は、流通経路として既存の宅配業者のみならず、牛乳販売店に注目している。各家庭へ牛乳を宅配する牛乳宅配店は、日本全国に1万店弱が存在するといわれており(下段の『参考情報』をご参照下さい)、2日に1回程度のペースで顧客へ牛乳を宅配する。例えばベンチャー企業オイシックス株式会社は、全国に約450店の牛乳販売店ネットワークを有する。
流通経路としての牛乳販売店の特徴は、大きく3つある。
1つ目は、設備として冷蔵庫を有していること。鮮魚や新鮮野菜を扱うものの、流通経路を保有していないベンチャー企業や新興流通企業にとって、牛乳店が供えている冷蔵インフラ設備は商品の管理に最適である。


注)上記はイメージ画像です。

2つ目は、宅配牛乳を利用する顧客は、年齢が比較的高く裕福な方が多く、平均約3,000円/回の注文を期待できること。
3つ目は、配達する方との関係が深い牛乳店は、顧客の好みをよく把握していること。牛乳宅配では、顧客開拓時や集金時などスタッフが顧客と顔を合わせる機会が多いため、自然と人間関係が構築されやすく、結果、顧客のロイヤリティが高くなる。事実、牛乳の解約率を例にとっても、優良店では2%以下と、世の中の定期サービス全般と比べて、非常に低い数値である。
全国の牛乳宅配店と提携し、牛乳販売店の特徴のうち2つ目と3つ目の特徴をうまく活用することにより、流通販売業者は、シニア層への効率的な販売/流通経路を確保することができることになる。

店舗宅配事業への取り組み


ここで、牛乳宅配店との提携にいち早く着目したオイシックス株式会社の事例を紹介する。オイシックスは2000年10月に東京、千葉、神奈川の15店舗の協力のもと、牛乳宅配店経由での事業を開始した。その後、事業規模を拡大し、現在では全国で約450店舗の宅配店を介して約90万世帯の顧客へサービスを提供している。宅配店から顧客へ牛乳を配達する際にオイシックス社の通販チラシを配布し、空き瓶回収の際にスタッフが注文を集める。その後、宅配店で注文を集計してオイシックスへ発注、オイシックスから宅配店へ商品を届け、宅配店が顧客へそれらの商品を宅配する、というサービスの仕組みである。決済方法としては、商品代金は宅配店が牛乳代と一緒に顧客からオイシックス商品の代金も回収し、その後、牛乳宅配店が、オイシックスへ入金する。
牛乳宅配のユーザーは宅配店との関係が深いため、宅配店が配布した通販チラシに対するレスポンスが高く、オイシックシス社の通販チラシでは通常2%以上のレスポンス率を記録している。この数字は、通常のポスティングよりも高いレスポンス率が得られていることを表す。


注)上記はイメージ画像です。

牛乳宅配ユーザーの特徴


牛乳宅配店が顧客としているシニア層は、テレビCMや雑誌などではリーチしにくい層であるが、牛乳宅配店を通すことで深いリーチが可能になる。
ある調査によると、牛乳宅配のシニア層顧客はテレビなどを見ているものの、CMの商品に対して、認知が低いということが伝えられている。例えば、テレビCMが頻繁に流され、一般的に認知が高い食料品等に関して、スーパーやコンビニエンスストアにこれらの商品が並んでいるものの、シニア層からは「テレビで見たことがない」「スーパーでも見かけない」という回答が多く見受けられたそうだ。しかしながら詳しく調査を進めていくと、実際にはテレビCMを目にしていたものの「若者向けの商品だと感じたため、詳しく見ていなかった」「スーパーではいつも購入する商品にのみ注意が向くため、新商品に目が行き届いていなかった」「スーパーでは歩くルートや見る棚が決まっているため、新商品に気付きにくい」といった事実があるようだ。
一方でシニア層顧客からは「牛乳宅配店から配布される資料には目を通す」「宅配員から口コミで情報を教えてもらうことがある」「顔見知りなので牛乳屋さんからの情報は信頼できる」といった意見もある。
このように、牛乳宅配店が接するシニア層顧客は、通常のテレビCMやスーパー店頭の商品陳列だけではリーチしにくい客層だといえそうである。

今後の可能性


牛乳宅配店の中には、通常の牛乳の宅配だけでなく、様々な事業分野に参入することで今後の可能性を模索している事業所も少なく無いようだ。
たとえば、一部の牛乳宅配店では「宅配」という機能に注目し、健康志向食品や地方の特産品といった牛乳以外の商品までラインナップを拡大し『地域の独占的な宅配事業者』を目指している。また宅配に限定せずに、他社の広告をポスティングする『ポスティング代行』や、ソーラーシステムやシステムキッチンなどを牛乳宅配の既存顧客へ紹介して売上マージンを獲得するといった『営業代行』として他社商品を販売する動きもある。さらには、訪問介護や老人ホームの運営等、『介護ビジネス』に参入することで成長を目指す動きもある。

参考情報



(経済産業省:商業統計速報調査【各年6月1日現在】より)

※上記クリック拡大参照

牛乳販売店の事業動向には、業界内外の様々な要因が影響する。主だった例としては、下記のような要因が挙げられる。
【マクロ環境要因】
■高齢者(人口)世帯の増加という社会的要因
■健康志向の高まりという社会的要因
■若年労働力の低下という社会的要因
■老後の所得に影響する医療制度や年金制度という政治的要因
■精緻な顧客データ管理/分析を可能とするITの進化という技術的要因
【業界構造的要因】
■メーカー(大手企業)が運営する大型店による新規参入
■スーパーやコンビニエンスストア等との競合激化
■スーパーやコンビニエンスストア等の店舗数の増加による買い手の選択肢の多様化

牛乳販売店数は、昭和51年をピークとし、平成19年まで減少傾向にある。
一方、平成14年から平成19年にかけては、1販売店当たりの年間販売額は上昇した。このことは、販売店数が減少する中で、高齢者(人口)世帯の増加という環境変化にうまく対応した販売店や、効率的な事業運営を実現したメーカー(大手企業)が運営する大型店等が競争で生き残り、シェアを拡大する傾向にあることによるものと考えられる。

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