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創業記念 トークセッション 2006/6/1

平石郁生

皆さん、こんにちは、ドリームビジョンの平石でございます。 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。 今、ご紹介いただいたとおり、今回「自分らしい生き方」ということでこういうセッションを開催させていただいたんですが、最初に簡単に自己紹介をさせていただきたいと思います。 今回の会社は、私にとっては、3度目の起業にあたる会社です。 1度目は、1991年の3月、私が27歳の時、当時は起業といわず、独立と言ったんですけれども、初めて会社をつくりました。 その会社は丸9年やってたんですけれども、最初の3年はリサーチ&コンサルティングを、その後3年は、DTP(デスクトップパブリッシング)という、当時流行っていた事業をやっていました。

                       

最後の3年間は、ある総合商社の新規事業開発のお手伝いや自らネットビジネスのインキュベーションを行うようになりました。その延長線上で2000年の3 月、2度目の起業にあたる、インタースコープという、インターネットリサーチの会社を立ち上げることになりました。

                                                                   

当時は、まったくインターネットリサーチという市場はなかった状態だったんですが、幸いにもインターネットが社会に急速に浸透して行って、私の立ち 上げたインタースコープもインターネットリサーチ御三家の一つとして数えられるようになり、パートタイムを含めると100人を超える規模に成長することが できました。

                       

しかし、私には考えるところがありまして、今年の3月にそのインタースコープを退任いたしました。

                       

その理由は2つです。

                       

1つは、インタースコープを6年やってきた中で、やり残したことがあったということ。
それがずっと僕の頭の片隅にあったんです。それをやり遂げない限りは終われないな、と。

                       

2つ目は、子供のためです。
私は今、43(歳)なんですが、去年の9月に子供が生まれました。
普通であれば子供が生まれたらもうリスクはとれない、ってなるかと思うんですが、私はまったくそうは思わず、逆のことを思いました。

                       

子供が小学生になって、学校で「おまえの父さん、何やってんの?」と聞かれたときに、胸を張って答えられるような父親でいたいと思ったんです。

                       

インターネットリサーチで認知された平石としてこの先やっていくのと、
終わってない宿題をやるために、もう一度、創業から出発するのと、どっちが子供に胸を張れるか、と考えたとき、私の場合は後者だったんです。

                       

そうして、ドリームビジョンを創りました。

                       

では、なぜドリームビジョンという事業を起こしたのか。

                       

それは、日本人の価値観を変えたいと思ったからです。
一人一人が自分らしさ・自分の個性・自分のやりたいことを見つけて、それを追求していって欲しいからです。

                       

そのことに関連して、個人的なエピソードを紹介したいと思います。

                       

                                             
僕は、小学校の時に友達5~6人で、映画を見に行きました。

                       

その帰りに、ラーメン屋に入ったんですね。
それで、当時のガキ大将風なやつが、最初に味噌ラーメンをたのんだんです。
そしたら、周りがみんな味噌ラーメンをたのみだして、最後に僕だけが「塩ラーメン」をたのみました。

                       

そのとき、そのガキ大将風なやつが「なんでおまえだけ皆と同じものを食べないんだ?」
って言ったんですよ。
僕は、「どうして自分の小遣いで自分の好きなものを食べちゃいけないんだ」と言いました。

                       

次の日、学校に行くと、僕は仲間はずれでした。
そのガキ大将が「平石と口を聞くな」と皆に言っていたからです。

                       

僕はこのように、皆一緒でなくてはいけない、という価値観に納得がいきません。
本当に自分がしたいことをやるべきだと思います。
個々人が主体性をもつこと、自分らしさを大切にすることが大事だと思います。
本当に自分がやりたいことじゃないと本気になれないですし、成果も出せないでしょうから。

                       

DreamVisionとしてやりたいことは、「皆さんが自分らしい生き方を“見つける”・“実現する”、お手伝いをしたい」ということです。

                       

具体的には、お手元のパンフレット、または、当社ウェブサイトにございますので、そちらを御覧下さい。
簡単ではございますが、今回のセッションのご挨拶としまして、私の方からご挨拶させていただきました。

                                                                    
この後は、マネックス・ビーンズ・ホールディングスの松本さんにお話をしていただきます。

「企業とは何か」

ど ういうお話をすれば、一番喜んでいただけるのか、少しでも役に立てるのか、あまり自信がないんですが、「自分らしく生きる、とか、流されない生き方」とい うのは、後半のトークセッションの方でお話しすることにしますので、今は「企業」とは何か、ということをお話させていただきたいと思います。

最初に企業にとって必要なものについてお話します。
まずは、目的です。目的なしに企業は存在する意味がありません。
これは簡単なようなんですが、それができていない企業も現に存在しています。

次は、利益をあげること。
最後に、生き残ること。

この3つですね。

                                                                  

【会社の目的(1)‐エクイティー・バリュー‐】

                                                                     
じゃあ、目的をもつということはどういうことなのか?
それは「エクイティー・バリュー」を提供することだと思います。
「エクイティー」というのは、今までにない新しいものという意味で、「エクイティー・バリュー」というのは、新しい価値のことですね。

私たちは、生まれた時から、扶養家族です。
家族の扶養家族であり、社会の扶養家族であり、会社の扶養家族であるわけです。

                       

しかし、その立場をいつかは転換させなくてはいけません。
いつまでも”お客さん”でいるのではなく、自分が新しい価値を提供したり、意見を言うことによって、自分たちが社会に作用していかなくてはいけない。

もちろん、どんな「エクイティー・バリュー」を提供するかは会社によって違うでしょう。

マネックスとしては、ホンダやSONYという「元ベンチャー企業」が、60年という短い期間で広く世界に価値を提供する会社に成長したのと同じように、世界中に影響を与える会社になりたいと考えています。

                                              

【ベンチャー企業の重要性】

松本 大氏ここで、少し話は逸れますが、過去のホンダやSONYのような、ベンチャー企業が生まれてくることの重要性をお話したいと思います。 生命の進化に例えるとわかりやすいかと思います。 例えば、キリンというのはもともと首が短かったんですよね。 それがある時、ある層から出てくるキリンの化石は首が長い。 段々長くなっているのではなくて、ある時から急に長くなっているんです。これはダーウィンの進化論とも一致していまして、すべて種というものは、連続的に 進化するのではなくて、ある日突然変異が生まれるんだ、と。その突然変異のほとんどは死んでしまうんですが、ある突然変異種はより環境に適応しているの で、反対に既存の種を淘汰してしまう。 キリンの場合は、突然生まれた首の長いキリンが、葉を食べやすかったから、遠くから敵を見つけられるから、とか色々な理由でより優れていたので、既存の種 を淘汰してしまった、と。

このように、すべて種というものは、連続にではなくて、突然進化するわけです。

                       

これは会社にも同じことが言えると思っていまして、突然現れた会社の方が社会により適合していれば、古い会社を淘汰してしまう。

                       

それが社会を新しいステージにもっていってくれる。

                       

そういう意味で、ベンチャー企業というのは非常に重要だと思っています。
ベンチャー企業のほとんどは、そのまま死に絶えていくんですが、ベンチャー企業が生まれなければ、社会も進化していかないんです。

                                             

【会社の目的(2) ‐マネックスの目的‐ 】

                                              
話を会社の目的に戻します。

                       

私は、マネックスの目的は、新しい時代のお金の使い方を世の中に広めることだと考えています。
ですので、今後もそのことを社会に問いかけて、社会と関わっていきたい。

                       

それはもちろん私たちの考えですので、間違っているかもしれません。
しかし私たちは、新しい環境に適用できる長さの首をもったキリンになれると信じています。

                      

【利益をあげること】

                                              
次に、企業というのは利益をあげなくてはいけない。
最近CSRという言葉をよく聞きますが、地域に対して貢献するだとか、寄付をするだとか、色々なことが言われています。

私の理解では、企業の最大のCSR、社会的責任というのは利益をあげて、税金を納めることです。

なぜなら、私は民主的なプロセスによって、市民の代表として会社の社長をしているのではなく、企業が利益をあげるための代表として、株主に選ばれているか らです。ですので、地域への寄付をすることが直接の私の仕事だとは考えていません。

それは、民主的なプロセスによって選ばれた政治家が主にやるべき仕事なんです。
私は、一企業の代表がそれをやるのはやりすぎだと思っています。
私は、企業はしっかり税金を納めることを目標にすべきだと考えます。

                                             

【生き残るために(1) 継続】

                                              
3つ目は、生き残ること。

私たちは、新しい時代のお金の使い方をデザインして提案しているわけですが、それも私たち自身が生き残っていかなくては達成できないわけです。

まず、一番重要なのは、継続することだと思います。
エジソンの「1%の閃きと99%の努力」が重要だ、という話が有名ですが、ビジネスでも、同じアイデアを思いつく人なんていくらでもいるわけでして、アメリカにも大勢いるだろうし、日本国内にもいるでしょう。

その中で、自分が一番最初にそのアイデアを思いついていて、しかも自分が一番優秀だなんていうことはまずありえない。確率論的に言うと。自分より早く、自 分より優秀な人がそのアイデアをもっていると思っておいたほうが良い。

その中で、差をつけられるものはどれだけ継続できるか、ということなんですね。

じゃあ継続させるためには何が大事かというと、ビジネスの領域を自分ができる範囲に限定して、その代わり遠くにいこうと決めることです。

面積を狭めれば、同じ力でも圧力が強くなるわけですからね。
僕は、金融しかやらないけれども、その代わり、郵便局に取って代わってやろうというぐらい、大きな目標を掲げています。

【生き残るために(2) 理念】

松本 大氏僕は、会社にとって理念というのは非常に重要だと思っています。 2人の人がいる場合、それぞれがどれだけ優秀でも、向いている方向(理念)が違えば、合わせたベクトルはゼロになってしまうわけです。 2人が同じ方向を向いて(理念をそろえて)、初めてベクトルは2になる。 2人が北極点を挟んで向かい合って下を向いた場合、2人は180度違う方向を見ている。 2人が北極星を見るとき、2人とも北を見て、同じ方向を見ている。 何が言いたいのかというと、目標を近くに置いてしまうと、例え全員に同じ方向を向かせられたとしても、てんでばらばらのところをみていることになってしまう。

しかし、なるべく目標を遠くに置くと、皆が同じ方向を向くときに、皆の視線が揃う、と考えています。

当社にとっては、「日本の金融環境を変えよう」とか「郵便局に取って代わろう」という遠い目標を立てて、ベクトルをそろえているわけです。

                       

【生き残るために(3) コミュニケーション】

                                                                    
生き残っていくためには、コミュニケーションが必要である。
社内でも、コミュニケーションのミスで問題が起きたときに、その一人を呼んで、「ちゃんとコミュニケーションをとったのか?」
と聞くと、「ちゃんと話しました。ちゃんとメールしました。」と、言う人がたまにいるんです。

まあ、そういうことをいう人はその時点で、コミュニケーションが苦手な人間であると、わかってしまう。

コミュニケーションというのは、相手がどう行動するか、が重要で自分が何をしたかというのはある意味関係ないんです。
相手に動作を起こさせることが大事なんです。

ビジネスでは、自分の価値観というのは、ほとんど関係なくて、お客様の価値観、お客様がどう思うか、が重要なんです。

なので、お客様の価値観を把握して、それに答えることが必要で、そのためにお客様とちゃんとコミュニケーションをとらなくてはいけない。

しかし、コミュニケーションというのはすぐに飽きてしまう、という性格があります。

例えば、社内で部長会議の内容を知りたいという要望があったので全部公開することにしたとしましょう。

ところが、最初の1ヶ月ぐらいは読むんですが、すぐにみんな飽きて読まなくなってしまう。

この“飽き”に対処できるいい方法というのは、特にないんですが、一つあるとすれば、それでも辞めずに継続的に情報を発信し続けるということですね。

私個人でいえば、「つぶやき」というコラムを7年間、毎営業日欠かさずメールで配信しています。

マネックスと日興ビーンズが合併した後も、全社員に毎日メールを送ったり、定期的に全社会議を行ったりして、継続的にコミュニケーションをとるようにしています。

                                            

【生き残るために(4) 軌道修正】

松本 大氏軌道修正できる、ということは重要です。 先程の種の話でいうと、一度適応に成功すれば数万年は安泰でいられる。 しかし、ビジネスの場合は、お客様のニーズが常に変わっていってしまう。 さらに、競争相手がいますから、すぐに真似をされてしまう可能性もあるわけです。 常に、ダイナミックに軌道修正していかないと、勝つことはできない。 軌道修正するために重要なのは、情報摂取です。 カーナビにしても、衛星にしても、今自分がどこにいるかがわかってはじめて進むべき方向がわかるわけです。 ですので、情報の摂取には力をいれなくてはいけません。

【生き残るために(5) 自己旧体制の自覚】

                                              
私は42歳なんですが、日本人の平均年齢は40歳ぐらいだと言われています。
少子高齢化といわれても、この数字はそんなに変わっていかないでしょう。

つまり、お客様の平均年齢は40歳なわけです。

お客様の平均年齢はほとんど変わらないけれども、私は毎年1歳ずつ確実に歳を取っていく。

私も40歳までは1年ずつお客様の年齢に近づいていたんですけれども、今は1年ずつ確実にずれていっているわけです。

自分の感覚とお客様の感覚がずれてくるわけですね。
私は、もっとも根本的な旧体制は自分の中にあると思っています。
それに対して、どう対処していくか。

まずは、組織を古くしないために、新卒の採用を心がけています。
それによって、組織の平均年齢をお客様の年齢に近づけるわけです。

【最も大切なもの 好奇心】

                       
今まで、理念だとか、継続だとか、色々大切なものを挙げてきましたが、その中でも一番大切なのは、好奇心だと思います。

例えば、今ここに200人いるとして、今朝の日経新聞を読んでもらい、その中にたった1つだけある熟語を探してもらうとします。

しかし、普通は誰も見つけられないわけです。

次は条件を変えて、同じ日経新聞を読んでもらいます。
例えば、最初に見つけた方に50万円差し上げるとします。

というと、誰かがあっという間に見つけてしまう。

同じものを、同じ人達が探しているにもかかわらず、結果はまったく違う。

これはひとえに動機付けの問題です。
“好奇心”のなせる業であって、“好奇心”があるからこそできる。
先程から言っている、理念だとか、自己旧体制の自覚だとか、といったことも
自分にやっているビジネスに対する“好奇心”さえあれば個々人でできるわけです。

そういう意味で、好奇心が最も重要なものだと思っています。

ただ、好奇心を高く維持する秘訣というのは、私にはわかりません。
しかし、好奇心が重要だということだけは覚えておいてください。
ストップウォッチがあって初めて、自分の走る速度を把握できるのと同じように、
自分の好奇心を測ることができると、自分の現在の仕事に対する状態を把握することができます。

                       

【ステークホルダーとは】

話は変わりますが、最後にこの話だけはさせてください。

ステークホルダーとは何か。
私は、大きく分けると、お客様・株主・社員・社会の4つだと思います。

平時には、この4者の利益を同時に達成することは可能だと思います。
お客様に喜ばれながら、利益を上げて株主に還元し、社員も喜び、社会にも貢献できる、と。

しかし、自分の力も、企業の力も、何事も有限なわけです。
リソースが有限である場合には、選択をしなければならない。
有事にあれば、4者の利益を同時に達成できないからです。

日本の多くの企業の場合はどうでしょうか?
私には、多くの経営者が「経営者の居心地」を大事にしているように見えます。
経営者というのは、ステークホルダーのどれでもないはずなのに、です。
私たちは、それではいけないと考えています。

                       

【ステークホルダーとの約束】

松本 大氏最後に、それぞれのステークホルダーとの約束事をお話したいと思います。

「お客様に嘘をつかない」

嘘をつかない、というのは簡単そうに見えて 難しいものです。

特に金融系の会社の場合はなおさらです。

そこで、私たちはある基準を設けることにしました。

“お客様に販売する商品は、 自分の親に売ってもいいモノだけにしよう”

ということです。 それでも間違えることはあるかもしれませんが、 最低限のけじめは守るということにしています。

「少数株主」

当社は234万5千株程の株を発行しているのですが、その株主の方の中には、1株だけもっていらっしゃる方も大勢います。
そういう人達は、議決権への影響力はほとんどないわけです。
ただし、その人が持っている1株に対するリスクは、
大株主とまったく変わらないわけです。
大きさが違うだけです。

そういうリスクを犯して、株を買ってくれている少数株主のことを、どれだけ考えられるかということが大事です。

「社員に約束できること」
社員は、同じ舟に乗っているわけですので、会社の経営が傾けば困るでしょうし、不祥事を起こせば恥をかくわけです。

彼らも少数株主と同じように、直接的に経営をかえることはできません。
だからこそ、社員には経営陣が何を考えていて、何をしようとしていて、何はしないのか、ということをガラス張りで、しっかり伝えていく必要があります。

それでついて来てくれるのであればついて来て欲しいし、無理だというのであれば仕方がないと思っています。

株主に対して利益を約束できないように、社員に対しても約束できません。
しかし、伝えられることはしっかりと伝えていこうと思います。

「社会に約束できること」
社会に対しても、同じことです。
どんな会社なのか、ということを社会にはちゃんと伝えるべきだと考えています。

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