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吉川欣也氏vol.2

シリコンバレーの強さの秘密?

さて、ここまでは、吉川さんの今までの起業家人生を凝縮して紹介してきたわけだが、ここからは、彼が教えてくれた「シリコンバレーの強さの秘密?」を紹介したい。

彼は、日本の将来をとても危惧していた。それは、日本には、I.T.産業のヒストリーというか、歴史を後世に残していく(ナレッジを共有する)仕組みがない、ということのようだ。

「シリコンバレーには、ルールとか事例がたくさんあるわけですよ。その中で、また自分のオリジナリティを出すという、それが個性なわけですよね。
(中略)次の時代を作るのは自分達だと思っている人間がたくさんいるので、ちゃんとトランジッション(変遷)があるということですね。でも、ボードミーティングに行けば、フェアチャイルドの時代をちゃんと話せる人がたくさんいるわけですよ。インテルの時代、LSIロジックの時代、アップルの時代をちゃんと語れる人が大企業にもスタートアップにもいる、もちろん、VCにもいる。日本にもすばらしい方はたくさんいるのですが、大企業とスタートアップを行き来する人が殆どいないから、上手く伝承されていかない。残念なことです。富士通やNEC、日立、東芝などの歴史はもちろんのこと、もっと遡って、北辰電機と横河電機の合併の話とか、ビジコンとインテルの話とか、日本に立派なというか、おもしろい話がたくさんあるわけで、そういう人達の話を誰かがちゃんとしていかないといけないんです。シリコンバレーでは、そういう話がみんな出来るんです。その上に、I.T.やソフトが成り立っているので、ケイタイのソフトウェアとかの話をしても、全然、それこそ話が違うわけです。iPhoneを開けた時のチップやバッテリーの話をする時に、日本では、『グラフィックチップの話がないと分からないし、ソフトウェアなんか作れるはずがない』という話がないまま、アプリケーションの話ばかりになってしまうんです。この開発にどれぐらいかけたのかとか、そういう雑誌にも書かれていない情報が、シリコンバレーではみんな常識としてあるわけです。知り合いがやっていますから。そういうケイタイの話をする時にインフラの話とかしますけど、日本では、技術的な話がポンポン抜けるわけですよ。だからおもしろくないんです。でも、ここではそういうチップの話から、アプリケーションの話、ネットワークの話、キャリアの話、そういうものが全部あって1つのソフトウェアを作るんです。シリコンバレーの会社が負けない理由というのは、そういうものをみんなで共有しているから、1つがダメになっても次が出て来るんです。それがおもしろいところなんですよね。ですから、そういう話をした時に、日本で何かやろうと思っても、やることが多すぎて、僕がコントリビューション出来ることがすごく少ないのが見えちゃっているんです」。

吉川欣也氏 <空白> 世界で最も注目を浴びる場所で成功することが一番重要です。

「世界で最も注目を浴びる場所で成功することが一番重要です」。

日本でも、アントレプレナー精神が足りないとか、ベンチャー企業を育成する必要があるとか、そのような議論が盛んだが、吉川さんがこんなことを言っていた。

「自分が大成功すれば、『僕が出来るんだから』ということは本当に言えるので、まず成功することです。メジャーリーグを見ても、イチローや野茂が成功していて、そうなればみんな来るわけです。だから、『世界で最も注目を浴びる場所で成功する事が一番重要です』。メジャーリーグの評論も、好きな人はかなり前からやっています。でも、野球だって、サッカーだって、選手が来るからメディアが取り上げる。だから、僕の役割は、このシリコンバレーに、そういう、ちょっと頭のおかしいアントレプレナーが来て、それを見て、ここでやるんだという人が増えることに繋げることだし、そのことが重要だと思います」。

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PROFILE

吉川 欣也(よしかわ よしなり)

愛知県出身。1967年生まれ

法政大学法学部を卒業後、NIF(現大和SMBCキャピタル)に入社。その5ヵ月後に、同社を退職。
その後、独立系シンクタンク「プロトコル」に転職し、当時で言う「ニューメディア」関連のビジネスに関する知見を得る。
プロトコルでの経験を踏まえ1994年、独立。翌1995年に、デジタル・マジック・ラボ(DML)を設立し、代表取締役社長に就任。その後、DMLのCTOだった石黒氏と共にシリコンバレーに渡り、ルーター開発ベンチャーの「ip infusion」を設立。現地のベンチャーキャピタルから約20億円の資金調達に成功。2006年に同社をACCESSに売却(EXIT)する。
現在は、自身にとって「3度目の起業」となる「miselu」を創業。シリコンバレー在住。

これまでの取り組み
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